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IR推進本部事務局の「言い草」が幾らなんでも酷い

IR推進本部の中川真同本部事務局次長が、以下のような発言をしているようです。以下、赤旗からの転載。
カジノ法案問題点次々 野党合同ヒアリング
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-06-14/2018061402_03_1.html
日本共産党の塩川鉄也衆院議員が、政府のIR推進会議が依存症対策として示していたカジノ面積の絶対値(上限値)での規制が法案から削除された経緯をただしたのに対し、中川真同本部事務局次長は「与党プロジェクトチームの議論を経たもの」と答え、与党の検討の過程で消えたことが明確になりました。
幾らなんでもこの言い草は酷いですわ。そもそも2016年12月に成立したIR推進法の審議時に行なわれていた論議の中で、カジノ面積を絶対値で規制するなどという案は存在しなかったんです。以下は当時の内閣委員会における質疑から。
○佐藤(茂)委員 ちょっと通告をしていないので、今まさに岩屋先生の答弁の中にありましたが、シンガポールは法律で三%以内、全面積の比でいくと、そういう規定をされているわけですが、これからこの推進法が通った後の第二段階の実施法の議論にもなろうかと思いますけれども、日本もやはりそういう意味でいうと、IRの中におけるカジノの占める広さの制限というんですかね、そういうものについてはどのように考えておられるか、提案者として答弁いただければありがたいと思います。

○岩屋議員 具体的な規定は、これから政府がつくる実施法の中で規定をしていくということになるわけでございますが、先ほど紹介をさせていただいたシンガポールの事例などは大いに参考になるというふうに思っておりまして、やはり複合型、統合型観光施設というからには、ゲーミング場の比率というのは一定程度以内に制限されてしかるべきだというふうに考えております。
(出所:衆院内閣委員会 平成28年11月30日)
上記で下線を引いた部分に示されているようにあくまで当時語られていたのは、全体施設面積に対する「カジノの比率」に対する制限であって、絶対値による制限ではありません。ところが、このような法案審議時における論議を無視して「絶対値による制限が必要である」という論を牽引したのは、寧ろ役所側。この絶対値制限の必要論に関して、役所側はIR推進会議による取りまとめ資料として当時、以下のような「謎」論法を構築しました。以下「IR推進会議とりまとめ」より。
附帯決議第3項では、「特定複合観光施設全体に占めるカジノ施設の規模に上限等を設ける」こととされており、カジノ施設が IR 施設の一部であることを前提としている。

また、依存症予防等の観点から、区域の数を少数に限る旨の附帯決議が付されていることを踏まえると、IR 施設全体の大きさに比例してカジノ施設が無制限に広がることも容認すべきではないことから、相対的な位置付けのみではなく、上限値(絶対値)でもカジノ施設の面積の規制を設けるべきである。
(出所:特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ)
上記取りまとめの文面では、あたかも「IR推進法の付帯決議を受けて絶対値が必要とされた」かのように表現していますが、IR推進法の付帯決議の該当部分の実際の記載は以下のようなもの。
三. 特定複合観光施設については、国際的・全国的な視点から、真に観光及び地域経済の振興の効果を十分に発揮できる規模のものとし、その際、特定複合観光施設全体に占めるカジノ施設の規模に上限等を設けるとともに、あくまで一体としての特定複合観光施設区域の整備が主眼であることを明確にすること。

四. 特定複合観光施設区域の数については、我が国の特定複合観光施設としての国際的競争力の観点及びギャンブル等依存症予防等の観点から、厳格に少数に限ることとし、区域認定数の上限を法定すること。
(出所:IR推進法付帯決議)
「カジノ施設の規模の上限」に対して直接言及している第三項の記述は、「あくまで一体としての特定複合観光施設区域の整備が主眼であることを明確にする」と併記されたものであり、これは全体面積に対する比率による制限に言及したものです。また「IR推進会議取りまとめ」が引用している「依存症予防等の観点から、区域の数を少数に限る」という第四項の記述も、あくまで「特定複合観光施設区域の数」に言及したものであって、そこには絶対値による面積規制なんて主張は一切含まれて居ません。

ところが、この国会による付帯決議を捻じ曲げて「依存症予防等の観点から、区域の数を少数に限る旨の附帯決議が付されていることを踏まえると、IR 施設全体の大きさに比例してカジノ施設が無制限に広がることも容認すべきではない」などという謎解釈を展開し、IR推進会議に絶対値規制の必要性を主張「させた」のは役所側なのです。

一方で現実はというと、この役所側の主張する「IR 施設全体の大きさに比例してカジノ施設が無制限に広がる」なんていう主張自体が、投資っちゅうものが一切判ってないトンデモ論法。公共事業じゃあるまいし、「投資回収」を前提として適正規模が算定される民間施設開発が「(比率制限だけだと)無制限に広がる」なんて状況自体がが起こりえない。この絶対値規制自体が、投資回収の判ってない役所ならではのトンチンカンな主張と言いますか、はっきり言って見当違いもいいとこの制度案であったわけです。

結果として、そのように役所側から出てきた意味不明な規制論は、あらゆる関係者から反論を食らった挙句、引っ込めざるを得なくなった。それが絶対値制限が取り下げられた経緯なのであって、その役所側が作り出した「迷走」を与党プロジェクトチームのせいにするのは違うだろ、と思ってしまうわけです。

そして今、野党側はこの絶対値による面積規制が一時的に主張され、それが取り下げらるまでの経緯を攻撃の対象にしているわけで、誰がどのようにこの混乱の責任を取るべきか。少なくとも本件に関して糾弾されるべきは政治サイドではない、ということだけは明確にしておきたいと思います。

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