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消費者事件は常に後追い、追いつけない 18歳、19歳がターゲット

 成人年齢が18歳になり4年後に実施されることになりました。
 多くの懸念を残しながら、審議も不十分なまま採決されてしまいました。国会が審議の場でなくなっていることは憂うべき状況です。

 問題の1つが成人年齢の引き下げに伴う、未成年者保護の規定が適用対象外になるということです。
成年年齢を18歳に引き下げる民法改正について,消費者被害防止の観点等から反対する意見書」(札幌弁護士会)

 参議院では、若い人の消費者被害を防ぐために2年以内に必要な法整備をすることという付帯決議がなされましたが、本来はこれを検討してからというのが筋ですが、結局、法案成立を優先する与党が反対意見に耳を貸さなかったということでもあります。

 これまで未成年者であるという理由だけで契約を取り消すことができました(民法5条)。取消ができない契約をするためには親権者の同意を必要としていました。だから消費者被害を防げてきました。
 20歳を18歳にまで引き下げるとどういうことになるのか、18歳の方がより社会経験も少なく、判断能力も未熟なわけですから、20歳の成人以上に18歳の「新成人」の方が悪徳業者にとってはカモにしやすいということです。

 未成年だからカモにしやすいというわけではないのです。騙して契約させることは簡単だったとしても未成年者保護の規定があるためにターゲットにはできなかったのです。20歳の誕生日をまって契約させるというのも手口の1つです。

18歳成人、お金のトラブル注意 契約取り消し対象外に」(朝日新聞2018年6月13日)

「債務問題に詳しい都内の弁護士は「最近は、20代からの相談も増えてきた」と話す。相談に来た20代前半の会社員女性は、自己啓発セミナーの受講料や車の購入のために、カードローンなどで250万円を借りていたという。この弁護士は「若い人は、言葉巧みに勧誘されて不要な契約をし、多重債務に苦しむケースが少なくない」と語る。」
 現状で法整備や消費者教育など全く追いついていません。ここが問題なのです。

 法務省の見解
民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について
成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議
 民法が定める成年年齢を18歳に引き下げるに当たり,若年者の自立を促す施策や消費者被害の拡大を防止する施策などの環境整備が必要であるとの指摘がされています。

 政府では,このような指摘を踏まえ,成年年齢の引下げに向けた環境整備のための様々な取組を行ってきたところですが,こうした環境整備のための取組は,今後も引き続き取り組むべき課題であると考えています。今後の民法の成年年齢引下げを見据え,そのための環境整備に関し,関係行政機関相互の密接な連携・協力を確保し,総合的かつ効果的な取組を推進するため,成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議において,これらの課題に取り組んでいきます。
成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議

 今に始まった問題ではなく、成人年齢の引き下げによって、より深刻な問題になるのですから、法整備が後追いが甚だしく、結局、手口を変えれば、また法整備に時間をかけましょというお決まりのパターンになることが目に見えています。消費者教育も全く追いついていません。

 この年齢の事件の特徴は、先輩後輩や友達関係を利用して断れないという状況を利用したものが少なくありません。朝日新聞記事で紹介されていたような事例は、こうした人間関係を悪用したものです。大学の中でも蔓延っています。

道内大学に一斉に送付したポスター『友人の紹介による投資用DVDの儲け話にご注意!』を札幌大谷大学で掲示してくれました。」(消費者支援ネット北海道)

ホクネット大学生消費者被害

 札幌市では大学向けの教材を作成しました。
消費者教育教材の紹介

 しかし、これらのための費用も危機状況にあります。
地方消費者行政に対する財政措置の継続・拡充を求める意見書」(札幌弁護士会)

 被害が拡大しなければよいのですが、現状を見る限り、全く期待できません。

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