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  • mkubo1

FOMCから見えてくる米国の実情

昨晩のFOMCと一昨晩の一般教書演説でいくつかのことを感じました。
内容には、大きなサプライズはありませんでした(ほぼ想定内でしょう)。
確かに、FOMCの2014年末まで低金利を継続するという決定は、思い切った措置だとは思います。
3年間も政策金利を上げないということ、つまり時間軸の長期化には、多分、そうしなければいけない理由があるのだと思います。

独断でFOMCの解説をしてみます(ご意見のある方はコメントへお願いします)。
まず、FOMCが、バーナンキさんが、もっとも避けたいことはどのような状況でしょうか。
これは、簡単なことで、「デフレ」もしくは物価の低下だけは、なんとしても回避したいはずです。

QE2を実施したのも、基本、デフレを回避し、なんとしても、期待インフレ率をプラスに保つことが根源的な理由です。
何回も書いたことですが、デフレになれば、インフレ率がマイナスになりますので、実質金利は必ずプラスになります。
これでは、なかなか、景気を押し上げる策など機能しなくなります。
(実質金利をマイナスにすることができませんからね)

そういう中で、3年間、金利を上げないということは、多分、FOMCの方々は、インフレなんて気にもしていないのが本音でしょう。
今の米国では、物価の大幅な上昇なんて起きないことを分かっているのでしょう。
何を気にしているのか、それは、やはり「デフレ」なのです。

そんなこと言ったって、デフレの気配は見えていないのですが、ちゃんとバーナンキさんは、発言しています。
今、最大の問題は、住宅価格なのです。
全米で、ネガティブ・エクイティを7000億ドルも抱えており、これを解消する政策は、思いつかないと発言しているのです。
このネガティブ・エクイティとは、住宅ローンの残高(借金)と現在の住宅価格の差のことを言います。
もちろん、借金>住宅価格という関係で、今、住宅を売っても、すべての借金を返せず、借金が7000億ドルも残ってしまうと言っているのです。
このマイナスが残ってしまうがために、ローン金利を下げるために、住宅ローンの借換もできません。

もっと身近で説明しましょう。
今、私が、銀行から1億円借りて、1億円分の株を買いました。
1年後、株価は半分になっていました。
今、株を売れば、私は銀行に5000万円の借金が残るのです。

困りました。
要は、個人のバランスシートが、債務超過状態になっているのです。
これでは、景気もよくなりません。

今までは、様々な政策を打ち出してきたので、その効果で、フローが回って、変なはなし、自転車操業が上手く回転していたと考えれば良いのです。
今後も、政策的に、お金を回していくつもりですから、簡単に景気が折れることもないと思います。
実際、昨年後半の景気指標は、ポジティブサプライズが多かったですよね。
政策が上手く効いていたのだと思います。

では、根本的な治療をしていこうとすると、個人の債務超過の状態を解消しなければいけません。
これが企業ですと、増資するか、内部留保を増やすかです。
増資、つまり、誰かが、資金を与えてくれるわけがありません。
結局、内部留保を増やす、簡単に言えば、働いて給与を貯めていく、借金を返していくしかないのです。

そうなのです。
フローが回っている間は、借金を返していけるので、問題はありません。
しかし、いったい、いくらお金が返せるでしょうか。
運良く、高収入の仕事でもあればよいのですが、そんなの一握りです。
多くは、簡単に貯蓄は増得ませんし、借金は減りません。

これでは、消費が盛り上がることもなく、景気は、政策に左右されるという、人工生命維持装置をつけているようなものです。
点滴をはずせば、どうなるか、まだまだ、健康体には程遠いのです。

となると、残された手段は、一つです。
実は、簡単なことなのです。

住宅価格が上昇すれば良いのです。
住宅価格が上昇すれば、ネガティブ・エクイティは劇的に減少します。

それには、時間が必要だということです。
1年、2年では、難しいのです。
FRBの理事の中に、2016年まで利上げすべきでないという方もいらっしゃるようですが、それは、こういう理由によるのです。
もちろん、時間をかけても、住宅価格が値上がりする保証なんてどこにもありません。

こういうときは、逆説的に考えると少しわかりやすいと思います。
今、景気指標も割りと良かったし、金利を上げたらどうなるのか、考えてみてください。
そんなことになると、住宅価格は、底割れする可能性が高いことは、容易に考えられます。

ということで、米国のバランスシート調整、つまり、債務超過の解消には、時間が必要だと言うことです。
住宅ローンだけで、まだ、7000億ドルもあるのですよ。
当然、それ以外にもいろいろあるとは思います。

だから、金融緩和を続けるし、量的緩和(QE)も、さらに行う可能性が高いと思うのです。

今回のFOMCで、「ああ、やっぱり、米国の病巣は深いのだな」と改めて思ったのでした。
それが3年利上げをしないというメッセージの本当の意味ではないでしょうか。
後は、ECBの3年LTRO(3年間1%での貸し出し)にも合わせたのかもしれません。

じゃあ、株は、ダメじゃないかって?
目先は、やや上値が限定的かもしれませんが、QEなどの緩和は株式市場にはプラスだと思います。
今年は、「金融緩和期待」年なので、株には、まあ、プラスだと思っています。

そういえば、英国も更なる資産買入を行う準備があると言っていましたね。
さて、日銀は、何をするのか、楽しみにしています。

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