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九電社長の「辞任届」の法的効果

いわゆる「やらせメール」事件は経営トップの方の進退問題にまで発展してしまったようであります。昨日(7月29日)の取締役会で進退をはっきり審議してもらう、とのことだったようですが、社長さんが欠席され、審議はされなかった、と各紙が報じております。果たして九電メール事件は、経営トップが辞任しなければならないほどのことだったのかどうか、そのあたりはまた別途論じることにいたします。

九州電力の社長さんは7月19日に、既に会長さんに辞表を提出していた、とのことであります。しかし7月20日の国会審議の場では「私の意向は(個人的には)決まっている」とは述べたものの「進退の時期については27日の取締役会で審議してもらう」と回答されています。

ということは、19日の段階で会長さんに提出したのは、表題がどうであれ正式な辞任届ではなく「辞任伺い」ということなんでしょうね。正式な辞任の意思表明であれば、会長さんは代表権がありますので19日に受理されてしまう(つまり社長さんは19日の時点で取締役ではなくなってしまう)ことになりそうです(まあ、代表取締役の解職という手続きがありますので、取締役会で受理する、という解釈もありますが)。しかし、19日に社長さんが提出したのは辞任伺いであり、進退は取締役会決議もしくは会長さんの判断に一任する旨を表明したもの、と解釈したほうがよさそうであります。したがって、取締役会の審議次第では、社長さんは今後も辞任の意思を撤回することも可能となります(辞任の意思表示が受理されていませんので)。

マスコミ報道では27日の取締役会に社長さんが欠席したために、審議ができなかったとされていますが、上記のとおり「辞任伺い」ということであれば、社長さんは今回の取締役会では「特別利害関係人」となり、会社法上は出席することはできないものと思われます(議決に参加できないのか、役員会そのものに参加できないのかは争いがありますが、通説は役員会における審議そのものに参加できない、ということなので)。したがいまして、社長さんが今回の取締役会に欠席するのはむしろ当然のことではないでしょうか。

むしろ社長さんから「進退伺い」が出されていたにもかかわらず、取締役会ではなぜ社長の辞任伺いに対する審議、受理するとして、いつ受理すべきか、という時期に関する審議をしなかったのか、ということであります。善解すれば、第三者委員会が発足し、更なる事実調査や原因究明、再発防止策が検討されるので、それまで審議を中断する、といった審議がなされたとみるほうが良いのかもしれません。現社長さんが就任する際、14人抜きといわれる抜擢人事だったそうですから、それだけ会長さんの支配力が強いのではないかと。そうであるならば、どこまで取締役会で実質的な審議がなされるかは、ちょっと疑問が残るところであります。

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