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待機児童はいないという杉田水脈氏の珍論 萩生田氏のママがいい ならば育休に対応する期間の所得保障を実現してください

杉田水脈氏のツイートを見て、すごいことを言うなと思いました。

杉田水脈
待機児童、待機児童っていうけど

世の中に「待機児童」なんて一人もいない。子どもはみんなお母さんといたいもの。保育所なんか待ってない。待機してるのは預けたい親でしょ。
すごい屁理屈です。子がお母さんと一緒にいたいということはその通りだとしても、だから待機児童がいないという屁理屈を言ってしまうのは、母親(妻)は家にいろという発想があるからなのでしょう。保育所に預けるなんて育児放棄とでも考えているのでしょうか。

杉田氏は極右で有名ですが、この屁理屈にはたまげます。

子どもを預けなければならないのは、働かなければならないから。

こうした現状を杉田氏はどのように考えているのかが全く伝わってきません。

他方で育休なるものが奨励されていますが、育児に専念することも1つの選択肢として与えられています。専念せよではなく、あくまで選択肢です。

しかし、育休をとれるのはあくまで公務員や大企業など育休を取れるだけの職場環境にある人の話で、多くの家庭では育休どころか保育所に預けて働かなければならないというのが実情です。

そういった現実を無視して子どもを預けることに難癖をつけるなど議員としての資質も問われます。

いくら安倍総理でも、杉田氏と同じことは言えないでしょう。

ところで萩生田光一氏も先般、同じようなことを言って物議を醸しました。

萩生田氏「赤ちゃんはママがいいに決まっている」」(朝日新聞2018年5月27日)
「自民党の萩生田光一幹事長代行は27日、宮崎市内で「0~3歳児の赤ちゃんに『パパとママ、どっちが好きか』と聞けば、どう考えたって『ママがいい』に決まっている。お母さんたちに負担がいくことを前提とした社会制度で底上げをしていかないと、『男女平等参画社会だ』『男も育児だ』とか言っても、子どもにとっては迷惑な話かもしれない」と語った。」
要旨も紹介されていますが、そこから抜粋します。
「東京ではいま0歳の赤ちゃんの保育園が足りないことが問題になっていて、国では「待機児童0」を目指すと言っています。もちろん今の対処として待機している赤ちゃんを救済していくのは大事なことでしょう。しかしみなさんよく考えて頂きたい。0歳の赤ちゃんは生後3~4カ月で赤の他人様に預けられることが本当に幸せなのでしょうか。」
「0~3歳の赤ちゃんに、パパとママどっちが好きかと聞けば、はっきりとした統計はありませんけど、どう考えたってママがいいに決まっているんですよ。0歳から「パパ」っていうのはちょっと変わっていると思います。」
実際に赤ちゃんがパパではなく「ママがいい」というのは、現実にはそのような傾向があるとは思います。2018年6月8日付の北海道新聞の朝刊には、男性の声として「娘からは『パパもママも好き』と言われる。萩生田氏には男性の子育てのイメージがないのではないか」と紹介されていますが、ちょっとこの視点からの批判は違うと思います。

正直なところ、子どもがどっちも好きというのはその通りなのであったとしても、どちらをという意味では、赤ちゃん、幼児は、圧倒的多数は「ママ」なのです。これが現実で、父親の立場からは、悲しいというか、残念ながら、選択されるのは「ママ」なのです。

この現実を否定してみても始まりません。離婚に伴う親権は、家庭裁判所では、この年齢であれば特に母親側に問題がなければ、父親側が何をどうがんばろうとも母親に親権が認められます。

ましてや他人に預けられるよりもママの元にいる方が安心というのもその通りでしょう。育休制度はそのためにあります。

その限りにおいて萩生田氏が言っていることは正しいのです。

他人に預けられるよりは親の方がいいということから育休制度もそのためにあるのですが、しかし、取得が困難という現実があるのです。

これは待機児童の問題と父親の育児参加の問題は全く次元が異なる問題なのです。

赤ちゃんが母親がいいというのはそもそもの接する時間にも比例しているという事情もあるでしょうし(残念ながら、それだけでもないようです。)、いずれにせよ、育児休暇もとれないという経済的事情や、そもそも育休を取ることすらできないような職場などの問題が背景にはあるわけです。

にもかかわらず、政権与党の幹事長代行という立場にある萩生田氏が、「子育てというのは大変な仕事です。これを「仕事をしていない」というカテゴリーに入れてしまうのがおかしい。世の中の人みんなが期待している「子育て」という仕事をしているお母さんたちを、もう少しいたわってあげる制度が必要なんだと思います。」(前掲朝日新聞)など言ってみても全く説得力を感じないわけです。

私自身が育休制度にどこかひっかかりを感じているのは、これを取得できるのは一部の階層に限定されているからです。国会議員やトップ(社長など)が育休をとることが国民に育休制度をとることを奨励することになるんだという立論には私は懐疑的で(国会議員は職責として育休は不適格、本来、所属政党で対応を考えるべきもの)、結局、一部の育休を取れる階層のためだけの制度ではないか、それがなお一層、大きな格差社会を見せつけているのではないかと思わざるを得ないからです。

萩生田氏らの考えを推し進めれば、保育所に予算を掛けるのではなく、育休に対応する期間は国が所得保障をすれば済むことというようにもなります。萩生田氏は「お母さんと子どもが一緒にいられるような環境が必要だ」というのであれば、そうなります。

所得保障を受けるか働くかは母親の選択にはなりますが(被用者か自営かも問わない))、少なくとも育休をとることに躊躇することはなくなり、これで赤ちゃんは母親と一緒にいることができるようになります。

富の再配分を断行するのであれば今の日本の生産力でも可能と思いますが、いかがでしょうか。

ところで、ここでは育休を取るのは母親という前提で意見を述べました。父親も育休を取るべきだという主張もあることは承知していますが、そうなると父も母もとなりますが(なので、母親が働いて、父親が育休を取るという選択を否定する趣旨ではありませんので、念のため)、現実に日本国民全員が育休などととれるはずもなく、遠い将来の理想ではあっても非現実的な主張にしか聞こえないでしょう。取れる人だけが取るということにしかならないという現実を無視した立論だからです。

男性の育児休暇が人として当たり前と言われると違和感しかないすべての国民が育児休暇を取れるようにしますか

男女共同参画というのであれば、色々な選択ができるように制度を充実させるというのは国の責任です。

萩生田氏も杉田氏も与党の立場でそういう発言をするのかなという意味でも無責任な発言と言えます。

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