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池上彰が解説する「米朝会談」日本にとって最悪の展開は?

 6月12日、シンガポールで米朝会談が行われる。
 会談の目的のひとつは、北朝鮮に核廃棄を実行させることにある。だが、多数の地下核施設や、1000基以上保有するといわれる弾道ミサイルをどうやって廃棄するのか。

 池上彰氏が解説する。

「まずはIAEA(国際原子力機関)の査察チームが入って調査することになりますが、査察チームの専門家は300人。世界中で査察をしていて、北朝鮮で査察する人員が足りません。莫大な資金もかかるでしょうが、トランプ大統領は、これを韓国や日本に負担させようとしています」

 アメリカは「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」を要求してきたが、トーンは変わった。

「トランプ大統領は会談直前になって『核廃棄は急がなくてもいい』と言いだしました。CVIDがいかに難しいか、ようやく理解したのでしょう。『段階的に実行していこう。実務レベルで長期にわたって検討する』ということになる可能性が高いと思います。

 経済制裁についても、当初は『完全な核廃棄で解除』と言っていましたが『段階的に解除』という北朝鮮ペースで進む可能性が高くなっています」

 米朝和解で核の脅威が弱まることは日本にとっても歓迎すべきことのはずだが……。

「和解の内容次第。『アメリカに届かない核ミサイルなら開発していいよ』という和解なら、日本にとって最悪です」

 米大陸に届くICBMは廃棄しても、日本が射程に入る中距離ミサイルは200基以上配備されているのだ。

 米朝和解なら日本にとって新たな懸念も生じてくる。在韓米軍の撤退だ。それは日本が中露や北朝鮮と最前線で対峙することを意味する。

「トランプ大統領は在韓米軍を撤退させて経費を削減したい意向ですが、軍は反対するでしょう。削減の可能性はありますが、撤退はないでしょう」

 池上氏が続ける。

「今回の会談には『朝鮮戦争を終わらせる』という大きな課題があります。しかし、日本はそもそも朝鮮戦争に関与していないので、この南北融和に日本が関われないのは当然のことなのです」

 では、日本が独自にできることは何もないのか。

「核廃棄のプロセスに日本がどう関わるか。『日本が参加しないと進まない』という状況を作り出せるかどうか、です。そして、米朝が平和協定を結ぶことになったら、そこで日本の出番です。それぞれの国に日本がどんな支援ができるかを考えておくべきです」

(週刊FLASH 2018年6月26日号)

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