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野党が犯した三つの間違い(佐藤甲一)

情けない。野党の体(てい)たらくである。5月の連休明けに一部の新聞社が報じた世論調査では、有権者の6〜7割がそれまで国会で審議拒否を続けてきた野党の姿勢に懐疑的な目を向けているとの結果が出た。その途端、野党の安倍政権追及がしりすぼみを始めた。

5月16日には西村康稔官房副長官が記者会見で、安倍晋三首相と財務事務次官セクハラ問題で失言を繰り返す麻生太郎財務大臣が閣議後に「お互いに注意しような」と言葉を交わしたと明かした。

腹ではそう思っていても口に出すと厄介だから気をつけようと言わんばかりの秘密の会話の“暴露”。国民の3分の2以上が加計学園問題については安倍首相に対する不信感を募らせている中で、平然と、しかも堂々と記者会見でこのような発言を明示されるとは、野党も国民も舐められたものである。

各種の世論調査が支持率30〜40%台で推移し、支持率低落が底を打ったような状態になったこともあり、安倍首相をはじめ自民党もにわかに活気づいてきた。もう悪くなることはないとの判断は、野党の支持が一向に広がらないことが背景にある。

つまりは野党の拙攻だ。事実、国会では働き方改革法案やカジノ解禁のIR法案が続々と与党主導で採決に向かって動き出した。各委員会で野党は反対するものの、与党選出の委員長職権によって質疑や採決が設定されつつある。TPP協定も衆議院で承認され、本国会での批准が確定した。政府・与党のワンサイドゲームになりつつある。

なぜこんな事態になってしまったのか。連休前から休み中にかけて野党は三つの間違いを犯したと筆者は考える。それは、(1)問題追及からかけ離れた国民民主党の結成(2)国会内での場外戦をサボった(3)連休明け国会追及の材料を手に入れなかった、という致命的な3点だ。

まず、国会会期中に政党を作る余裕があるのなら、国民不在の安倍政権の疑惑追及に血道を上げるべきだった。あげく、多くの離脱者を出し、立憲民主党との関係を修復することすらできていない。

野党結集が進めばもう少し安倍政権に緊張感を与えることになっただろうが、逆効果だったとしか言いようがない。野田佳彦元首相や岡田克也氏など、これらの動きを他人事のように突き放した元民主党大物議員の責任感のなさも「大罪」の一つと言えよう。

さらには野党が審議拒否している間に与党のみで国会審議を進めていたが、なぜこのとき各委員会室などの前で議場を封鎖するなどして与党議員を排除しなかったのか。その騒動にテレビカメラが入れば、少なくとも国民は「ズル休み」などとは言わなかったはずだ。

最後に一連の疑惑に対して野党議員が「爆弾質問」を安倍首相に投げつけたことが一度でもあったか。連休中に自ら新事実を発掘する努力もせずに、再開した集中審議に出てくるだけの「無策」では、もはや野党の安倍政権を追い込む力がないことは明らかだ。

5月21日になって愛媛県の新たな文書が明らかになり、そこには安倍首相が15年2月に加計孝太郎理事長と面会し獣医学部構想を「いいね」と評価したとの記述があった。その直後から、事態は急速に動き出した経緯が淡々と綴られている。野党はこれだけの材料を得て、なお政権を追い込むことができないのか。最後の真剣勝負となろう。

(さとう こういち・ジャーナリスト。2018年5月25日号)

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