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ガソリン価格は160円台にまで上がるか-原油市場を揺るがす中東の三大ミサイル危機

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  • 国際的な原油価格に大きな影響力をもつサウジアラビアは、価格上昇を図っているとみられる
  • その一方で、中東では主に三つのミサイル危機が緊張を高めており、そのいずれもが大産油国を巻き込んでいる
  • 中東のミサイル危機は、産油国の思惑を超えて、原油価格を上昇させる懸念が大きい

 5月末、1リットル150円台(東京都区部)を突破したレギュラーガソリン価格は、その後も高止まりの様相を呈しています。その今後の動向を大きく左右するのが、6月22日に開催される石油輸出国機構(OPEC)の総会です。

 今回の総会の焦点は、OPEC加盟国が生産量の制限(減産)を維持して原油高に向かうか、増産に転じて原油安に舵を切るかにあります。

 どちらに転ぶかはエコノミストの間でも予測が分かれますが、OPECで大きな影響力をもつサウジアラビアが減産の維持、つまり原油価格の引き上げに傾いているという観測は、大方の一致するところです。サウジ政府は1バレル80ドル以上の水準を望んでいるともいわれます。

 OPEC総会の行方は見守るしかありません。しかし、1バレル80ドルを越えれば、ガソリン価格が160円台に突入する見込みも出てきます。のみならず、OPEC総会の決定にかかわらず、中東で大産油国を巻き込んだ緊張が高まる状況は、原油価格の先行きに悲観的な材料となります。

 特に注目されるのがイランとイスラエルの直接対決ですが、今日の中東ではこれを含めて三つのミサイル危機があります。この緊張の高まりはガソリン価格をはじめ、日本経済にも影響を与えかねないものとみられます。

イランとイスラエル

 5月10日、イスラエルはシリア領内のイランの軍事施設を、70発以上のミサイルなどで攻撃。これに関して、イスラエル政府は同日イランがイスラエルに対して行なったミサイル攻撃への報復と主張しています。

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 イランとイスラエルは、中東屈指の軍事大国。このうち、イランは冷戦期に北朝鮮製の弾道ミサイル、火星5を購入したのを皮切りに、その後独自に改良を重ねてきました。現在では、射程2,000キロにおよぶ中距離弾道ミサイル、セッジールなどでイスラエルを射程に収めています。

 これに対して、イスラエルは米国製の迎撃ミサイル、パトリオットなどで防備を固める一方、射程約5,000‐6,000キロの中距離弾道ミサイル、エリコ3など自国製ミサイルを配備しています。

イラン産原油の流通量は減る

 イランとイスラエルは、もともとパレスチナ問題などをめぐって対立してきました。しかし、トランプ政権が2015年のイラン核合意を破棄し、経済制裁を再開したことは、米国の同盟国イスラエルのイラン攻撃を加速させてきました。

イランとイスラエルの「ミサイル応酬」―米国を引っぱり出したいイスラエルの焦点は「米国防長官の去就」

 ところで、ブリティッシュ・ペトロリアムによると、イランの原油埋蔵量は1兆5,840億バレルで、世界第4位(2016)。中東ではサウジアラビアに次ぐ規模です。

 トランプ政権はイランと取り引きする外国企業への制裁も検討しており、ただでさえイラン産原油の流通量は減る見込みです。この上、イランとイスラエルの緊張が高まり、ミサイルなどでお互いに相手国本土を攻撃する事態になれば、大きな被害をもたらすだけでなく、イラン産原油が市場に出回ることはさらに難しくなります。

 日本もその影響は免れません。2015年段階で、日本の原油輸入の約5パーセントはイラン産です。大産油国イランの行方は、原油市場そのものを揺さぶるインパクトを秘めています。

サウジとカタール:兄弟げんかの果てに

 第二の危機は、サウジアラビアとカタールの間の対立です。

 6月2日、サウジアラビア政府はカタールに対する軍事活動があり得ると示唆。カタール政府がロシア製迎撃ミサイルS-400を配備したことへの警告でした。

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 サウジアラビアとカタールの対立は、約1年前にさかのぼります。サウジアラビアは2017年6月、カタールと断交。アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、エジプトなどもサウジにならい、これまでに8カ国がカタールとの外交関係を断絶しました。これにともない、カタールとの貿易や人の移動も遮断されています。

サウジアラビアの対カタール断交:イラン包囲網の「本気度」

 カタールが周辺国から「日干し」にされた原因は、同国がハマスやムスリム同胞団などの勢力を支援し、イランとの関係を維持してきたことにありました。

 サウジアラビアはこれらの組織を「テロ組織」に指定して締め付けを強化する一方、宗派の異なるイランとの対決姿勢を鮮明にしています。そのサウジにとって、「ペルシャ湾岸の君主制国家」で共通し、サウジの足場である湾岸協力機構(GCC)メンバーでもあるカタールは、いわば弟分の一人。その弟分が自らの方針に従わない状況は、兄貴分サウジにとって見過ごせないものだったのです。

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