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インタビュー:「負のスキュー」に着目、ブラックスワンに有効=CFM

[東京 6日 ロイター] - 仏CFM(キャピタル・ファンド・マネジメント)のジャンフィリップ・ブショー会長はロイターとのインタビューで、統計学の正規分布とは異なって価格急落の可能性が高くなる「負のスキュー」に着目した戦略が、可能性の低い暴落リスク(ブラックスワン)に有効であるとの考え方を示した。

同社は統計物理学のアプローチや数理モデルを駆使して運用を行う独立系のクオンツ系ヘッジファンド。1991年創業でパリに本拠を置く。4月末時点の運用資産残高は113億ドル(約1.2兆円)。ブショー氏は物理学者としても知られ、これまでにファイナンスおよび物理学の分野で400超の論文や著書を執筆している。

インタビューは5日実施した。

主な一問一答は以下の通り。

──会長業の傍ら、チーフサイエンティストとして自らリサーチチームも統括しているそうだが。

「当社のリサーチチームは現在総勢56人だが、実はファイナンス分野の出身者はおらず、物理学の出身者の集まりであるのが特徴だ。そこで常に運用戦略に応用可能なモデルの開発や改良を行っている」

「例えば、一般的には、リスクとリターン(収益)には相関関係があって、追加でリスクを取ればその分超過リターンが高まるとの考えが広く普及しているが、われわれの研究によると、ボラティリティーは重要なファクターではない。リスクプレミアムはボラティリティー(価格変動リスク、標準偏差)が大きいほど高いと思われているが、実は、重要なのはスキューである。リスクとリターンはネガティブスキュー(負のスキュー)と関係があり、リスクプレミアムはボラティリティーでは説明できない」

──ネガティブスキューとの関係、とは。

「例えば損害保険を想像すれば良いかもしれないが、確率は低いが非常に悪い結果が起きる『くじ』のような状態だ。われわれの見解では、リスクプレミアムはネガティブスキューの投資に対して存在する、リスクプレミアムは想定される下落リスクに対する代償である。ネガティブスキューを持つ複数の戦略、スキュー同士に相関性がない複数の戦略を組み合わせることで、いつかは分からないし、頻繁ではないが時々確実に起きる暴落リスク(負のテールリスク)を軽減することができる」

──それを具体的な運用戦略に落とし込むとどのようなものになるのか。

「当ファンドのリスクプレミア戦略は、株式指数先物、通貨先物、債券先物、短期金利先物、コモディティー先物といった複数の資産クラスの組み合わせに分散投資することにより、ボラティリティーを低く、期待リターンを上げることを目指す投資戦略だ」

「運用戦略の実行においては、ポジションの選定から発注、管理までコンピューターがシステマティックに行い、高過ぎないフィーで下落リスクに備える。ボラティリティーのターゲットをあらかじめ設定し、運用シグナルを常時計測している」

──運用シグナルをモニタリングして、人間が介入するのか。

「われわれの運用を例えるならば、飛行機のオートパイロット(自動操縦)のようなものと言える。飛行機は平常時は、オートパイロットで操縦されており、パイロットは計器のシグナルをモニターし、トラブルが発生した時に介入する。われわれも同様に、緊急の事態が起きた場合には人間が人為的に介入を行う」

──2月にはVIXショックが、また先週はイタリアショックが起きた。

「実は、2月にボラティリティーが急上昇した局面では、緊急の投資委員会を招集し、リスク目標を一時的に引き下げる判断を人為的に行った。これは、運用シグナルが示す想定リスクと実現リスクの乖離が一定水準を超えたためだ。人為的なリスク目標の引き下げについては、事態が収束したと判断されるまで、今回の場合は10日前後継続し、その後解除している」

「イタリアショックの時には、そういった対応は行っていない。通常の相場波乱においては、自動でリスクターゲットを調整する機能が働いている。また、昨年のフランスの選挙においても、特別な対応は必要なかった」

「われわれが介入することまれにあるが、それは数年に1度程度だ。過去に投資委員会に緊急招集したのは(2001年9月の)米国の9・11同時多発攻撃、2008年の世界的金融危機(リーマンショック)、2016年のブレグジット(英国のEU離脱が可決された国民投票)と米大統領選でのトランプ氏勝利くらいで、昨年は1度も実施していない」

──2月のVIXショックのようなことはまた起こり得ると考えるか。対応策はあるか。

「いつ起きるかを予測することはできないが、起きるかどうかという質問であれば、また起きると言える。実は、ボラティリティー目標を緊急で引き下げる、また元に戻すといった対応についても、自動でやる仕組みを検討している。今夏にもスタートできる見通しだ」

(インタビュアー:植竹知子)

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