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- 2011年06月26日 01:21
提携契約の実務(シチュエーション別)
今朝(6月25日)の日経新聞によりますと、日本企業が関わるM&A金額は、昨年と比べて約80%増ということで、国内外を問わず企業買収攻勢を強めているそうであります。企業買収とまではいかなくても、事業効率化や震災後の収益源分散のため、アライアンス(企業間提携)もさかんに行われているようです。私がときどきお邪魔する会社さんも、JV事業体のガバナンスをどちらの出資会社がコントロールするのか・・・といったことで大いに悩んでいるところでして、いまになって、もっときちんとガバナンスに関する取り決めをしておけばよかったのに・・・と後悔しているところであります。
リンク先を見る ということで、アライアンス、企業買収における提携交渉について、ビジネス条件の面からではなく、法律的な側面からノウハウを示した本は、これまでなかったのではないかと思いますが、今回書店で目に留まりましたのが本書であります。
シチュエーション別−提携契約の実務(淵邊善彦 編著 商事法務 3,400円税別)
淵邊先生のご著書は、以前にも「企業買収の裏側−M&A入門」(新潮新書)をご紹介させていただきましたが、今回はTMI総合法律事務所に在籍していらっしゃる弁護士の方々の共著となっております。本書には、弁護士の著作にありがちな「膨大な注書き」がほとんどございません。つまり、著者の実務経験に基づく第一次情報がほとんどであります。こういった本は正直、「当たり・はずれ」がありますが、販売提携や技術提携をはじめ、提携交渉にあたって基本的に押さえておくべき筋道、また柔軟に対応すべき勘所がきちんと記述されており、「即戦力」として有用性の高い本でありまして、まさに「当たり」の一冊です。とくに各所で述べられている「交渉&落とし所」は、実際に問題が発生するリスクを念頭に、当事者が(提携交渉時点において)可能な対処レベルをつかむことができます。これは企業の法務担当者などにも大いに参考となるのではないでしょうか。
私自身はガバナンスにも配慮された「資本提携(合弁会社)」がもっとも参考になりましたが、全体を一読して感じましたのは、こういった提携契約のコツというものは、普通はコンサルティングする事業者が自社の「秘伝」として、あまり外部に伝えたくないのではないか・・・と思うところです。たとえば私も大手の監査法人さんのコンサル部門の方々と一緒に「子会社不正を防止するための内部統制構築」の作業などを、何カ月にもわたって行うわけですが、監査法人の担当者の方と「本にしたら売れるかも。でも、これって公表したらもったいないですよね」などと、かなりセコイことを語ったりしております(ホンマ、せこい 笑)。しかし、そういった秘伝を堂々と公開する、というのは、懐の深さを感じさせますね。本書で語られているところは、基本的なところであり、たとえば海外企業との提携交渉など、もっと奥が深いところもあるのでしょうね。
ただ、コノテの本は(前にも述べたことがあるかもしれませんが)、アライアンスや企業買収に反対派の人たちにも有益になる、という面がございます。事業提携はからなずしも、企業が一枚岩になって行われることではなく、組織力学上これをつぶしたい、と画策する社内一派もいらっしゃるわけで、提携話をつぶしにかかる人たち、あるいはそういった人たちを支援する専門家にも、どの段階でつぶすのが効果的なのか、「次の一手」がとてもよくわかり、参考になりそうであります(ひとつの事業提携に参画する法律事務所は、かならずしもひとつではない、ということであります)。想定すべき相手方は提携先、買収先企業だけではない・・・・ということも、けっこう配慮する必要があるのではないか、と。いずれにしましても、実務担当者の方々にはたいへんお勧めの一冊です。
リンク先を見る ということで、アライアンス、企業買収における提携交渉について、ビジネス条件の面からではなく、法律的な側面からノウハウを示した本は、これまでなかったのではないかと思いますが、今回書店で目に留まりましたのが本書であります。
シチュエーション別−提携契約の実務(淵邊善彦 編著 商事法務 3,400円税別)
淵邊先生のご著書は、以前にも「企業買収の裏側−M&A入門」(新潮新書)をご紹介させていただきましたが、今回はTMI総合法律事務所に在籍していらっしゃる弁護士の方々の共著となっております。本書には、弁護士の著作にありがちな「膨大な注書き」がほとんどございません。つまり、著者の実務経験に基づく第一次情報がほとんどであります。こういった本は正直、「当たり・はずれ」がありますが、販売提携や技術提携をはじめ、提携交渉にあたって基本的に押さえておくべき筋道、また柔軟に対応すべき勘所がきちんと記述されており、「即戦力」として有用性の高い本でありまして、まさに「当たり」の一冊です。とくに各所で述べられている「交渉&落とし所」は、実際に問題が発生するリスクを念頭に、当事者が(提携交渉時点において)可能な対処レベルをつかむことができます。これは企業の法務担当者などにも大いに参考となるのではないでしょうか。
私自身はガバナンスにも配慮された「資本提携(合弁会社)」がもっとも参考になりましたが、全体を一読して感じましたのは、こういった提携契約のコツというものは、普通はコンサルティングする事業者が自社の「秘伝」として、あまり外部に伝えたくないのではないか・・・と思うところです。たとえば私も大手の監査法人さんのコンサル部門の方々と一緒に「子会社不正を防止するための内部統制構築」の作業などを、何カ月にもわたって行うわけですが、監査法人の担当者の方と「本にしたら売れるかも。でも、これって公表したらもったいないですよね」などと、かなりセコイことを語ったりしております(ホンマ、せこい 笑)。しかし、そういった秘伝を堂々と公開する、というのは、懐の深さを感じさせますね。本書で語られているところは、基本的なところであり、たとえば海外企業との提携交渉など、もっと奥が深いところもあるのでしょうね。
ただ、コノテの本は(前にも述べたことがあるかもしれませんが)、アライアンスや企業買収に反対派の人たちにも有益になる、という面がございます。事業提携はからなずしも、企業が一枚岩になって行われることではなく、組織力学上これをつぶしたい、と画策する社内一派もいらっしゃるわけで、提携話をつぶしにかかる人たち、あるいはそういった人たちを支援する専門家にも、どの段階でつぶすのが効果的なのか、「次の一手」がとてもよくわかり、参考になりそうであります(ひとつの事業提携に参画する法律事務所は、かならずしもひとつではない、ということであります)。想定すべき相手方は提携先、買収先企業だけではない・・・・ということも、けっこう配慮する必要があるのではないか、と。いずれにしましても、実務担当者の方々にはたいへんお勧めの一冊です。



