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エフ・オー・アイ被害者株主、会計監査人・監査役を提訴

エフ・オー・アイ事件といえば、株主の方々が引受証券会社や証券取引所に損害賠償請求訴訟を提起されていることは知っておりましたが、このたびエフ・オー・アイ社の元会計監査人、監査役の方々を被告として「監査見逃し責任」を追及する訴訟を提起されたそうであります(東京新聞ニュースはこちら)。以下では、とくに監査役さんの「監査見逃し責任」追及について一言。

原告の方による「不正会計の兆候についての確認調査を怠った」との会見内容から推察されるところでは、当ブログで従来から申し上げておりますとおり、監査見逃し責任の追及では、「おかしな兆候」の存在、そしてこれに対する「監査役の気づき」が争点となるものと思いますので、争い方としては正鵠を得たものではないかと思われます。

ただ、アイ・エックス・アイ事件の監査役3名の代理人を務めた経験からいたしますと、監査役、会計監査人の責任追及のハードルはめちゃくちゃ高いです。原告側に「不正の兆候」の立証責任がありますので、膨大な記録から、なにが不正の兆候なのかを裁判官に説明しなければなりません。いっぽう、まじめに監査役を務めていた方からすれば、いかんせん社内の事情に精通していますので、「それは不正の兆候ではない」と、合理的な理由をつけてあっさりと反論してしまいます。

私の感想として申し上げますと、監査役が敗訴するのは、①経営執行部と粉飾を共謀していた場合、②明らかに粉飾を知っていて、これを放置していた場合、③上場企業の監査役としての、ごく普通の職務すら怠っていたような場合、のいずれかのケースではないかと。ですから、「異常な兆候」で争う「正道」でいくよりも、少し荒っぽいかもしれませんが、「監査役もグルだった」的な争点形成の戦法でいくほうが勝てる見込みがあるかもしれません。

たしかに、ライブドア株主損害賠償訴訟、大原町農協事件、釧路生協事件、大和銀行株主代表訴訟事件、ダスキン株主代表訴訟事件等で、まじめに勤務していた監査役さんに任務懈怠が認められたケースもありますので、これらを工夫して引用して、いかにして「異常な兆候」が監査役の目の前に存在していたのか、説得的な主張を展開する必要がありそうですね。

できれば、会計監査人と監査役が同一の訴訟で審理され、「会計監査人の第一次的責任」や「監査役による会計監査人監査の相当性判断」あたりの論点にまで踏み込んだ判決がでることを期待したいと思います。

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