記事

第3国開催の米朝首脳会談 会場費、キャンセル料の負担は?


【本当に実現するのか(朝鮮通信=時事)】

 つい先日まで、一国のトップ同士とは思えないような罵詈雑言を浴びせ合っていた2人が急転直下、首脳会談をやるというのだから、一筋縄でまとまるはずもない。その狭間で右往左往するのが、“開催地”だ──。

 米朝首脳会談は、トランプ大統領の随行スタッフだけで1000人規模、世界から集まる報道陣の数は南北首脳会談の3000人をはるかに超えるとみられている。開催地・シンガポールの準備も大がかりだ。

 空の玄関・チャンギ国際空港(乗降客数1日16万人)には厳戒態勢が敷かれる。現地在住の日本人金融マンが語る。

「空港の警備は警察官だけでは足りないため、シンガポール軍の予備役軍人にも招集がかかっています。知人の予備役のビジネスマンもお呼びがかかり、『軍服を着てトランプの後ろに立つかもしれない』と興奮していました」

 人口約560万人のシンガポールには、陸海空7万人以上の正規軍と約23万人の予備役軍人がいる。期間中は空港も街中も警備の軍人、警察官であふれかえることが予想される。

◆「6月12日、予約できますか?」

 日本からも数百人の取材陣が参加する見込みだ。民放キー局の記者が語る。

「報道陣は事前にシンガポール政府の情報通信省メディア部門に取材申請が必要。5月29日の申込締め切りまでに、わが社はキャスターや追加要員を含めて40人ほど登録した。宿泊先は5つ星ホテル。1泊3万円ほどで、他局も大体、同じような態勢だ」

 当然、ホテルは予約が殺到。会談会場の有力候補である市内の「シャングリラ」(747室。1泊約3万3000円~)と「マリーナベイ・サンズ(MBS)」(2561室。同約4万3000円~)は大混乱した。

 現地メディアでは〈シャングリラは報道機関の予約申し込みが殺到、宿泊料は通常の3倍近い1泊1000シンガポールドル(約8万円)に跳ね上がり、間もなく満室となった〉(シンガポール時事・5月25日)と報じられたが、トランプ大統領の“ドタキャン騒動”でキャンセルが続出。

 それが一転、予定通りの日程で首脳会談が開催される見通しになったのだから、6月12日の両ホテルは再び満室になっているだろう──本誌がMBSの予約窓口に電話すると、日本語対応のスタッフが「空イテマスヨ」と答えた。シャングリラも同様に「空室あり」。

 ただし、一般客の料金は全額前払いで、返金・変更不可の規定がついていた。この条件であれば首脳会談が再び中止になったり、会場が別の場所だと発表されてキャンセルが殺到しても、ホテルがメディア関係者などの予約客から料金をとっりぱぐれる心配はない。

◆“割り勘”か“三方一両損”か

 ただ、会談するはずの“当事者”たちが、中止の場合にキャンセル代を払うかは、また別問題だろう。そもそも、今回のように第3国で開催される首脳会談の場合、会場等の費用は誰が負担するのか。

 参考になるのが同地のシャングリラホテルで2015年11月に開催された習近平・中国国家主席と台湾の馬英九・総統(当時)の初の中台首脳会談だ。このときは互いに対等な立場での会談であることを示すために、首脳会談が行なわれたスイートルームの部屋代から晩餐会の食事代まで完全な“割り勘”と公表された。

 報道陣向けのプレスセンターの準備と運営、警備にかかる経費も合わせると莫大な金がかかる。

「今回は世界中が注目する会談だけに警戒も厳重で、報道陣の人数を考えると伊勢志摩サミット並みの経費がかかってもおかしくありません」(第一生命経済研究所・永濱利廣首席エコノミスト)

 2016年の伊勢志摩サミットは、会場のホテルやメディアセンターの整備・運営費に約150億円。警備費やテロ対策費用も合わせて計300億円超の費用を、開催国の日本が全額負担した。

 そうした費用を3国がどう分けて負担するかは明らかではないが、いずれにせよ最も悩ましいのは、トランプ大統領が「やっぱりやめる」と言い出した場合だ。

 一般客と同じ規定が適用されるなら、トランプも金正恩も“使っていないホテル代”を払わされることになる。ただ、シャングリラに、「再び会談が中止になった場合でも、一般客と同様に、米朝政府は予約した部屋代の全額を払うことになるのか」と質問したところ、「答えられない」とするのみだった。ホテル側の不安が窺える。

 当然だろう。仮にそうなった場合、北朝鮮は“米国がドタキャンしたのだから、トランプに払わせろ”とゴネる可能性が十分にある。果たしてその時、ホテルは請求書をどこに回すのか。

※週刊ポスト2018年6月15日号

あわせて読みたい

「米朝首脳会談」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    電子マネー乱立で不便になる日本

    かさこ

  2. 2

    4Kと8Kテレビの購入はまだ早い

    krmmk3

  3. 3

    南青山住民にひろゆき氏らが苦言

    キャリコネニュース

  4. 4

    大金撒いてもPayPayは普及しない

    藤沢数希

  5. 5

    なぜ女性は夫の趣味を許せないか

    PRESIDENT Online

  6. 6

    安倍長期政権に忠誠誓う官僚増加

    fujipon

  7. 7

    女性用風俗が急増 性意識に変化?

    AbemaTIMES

  8. 8

    トランプ氏の中国つぶしは本気

    MONEY VOICE

  9. 9

    池上氏 政府は4島返還を断念した

    文春オンライン

  10. 10

    HUAWEI事件の代償支払うカナダ

    飯田香織

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。