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リスクゼロ症候群が日本をさらに停滞させる - wasting time?

東日本大震災。痛ましい災害であり、今なお多くの人々が苦しみ続けている。そして、もちろん亡くなられた多くの方々のことを思うと今なお心が痛む。

先日テレビを見ていたら、地震などが頻繁に起こりやすくなる時期に入ったのではないかというテレビをやっていた。たしかにその可能性はあるんだろうなあと超ド素人ながら僕も思う。

しかしだ。政府の対応もそうだが、多くの専門家やコメンテーターなどが、「想定外といういいわけは許されない」だとか、「今ままで想定されていなかったような規模の災害にも対策を取っていかねばならない」と述べているのには個人的には大きな疑問以外の何物でもない。そして、これは間違いなく日本という国家の活力を奪い、モラルハザードを助長し自主独立の精神を奪いさらにその国力を貶めることは間違いないと思う。

などというと、「何を言っているんだ。災害に対して万全の備えを行うことは国家の仕事だろう」だとか、「震災で亡くなった人々の死を無駄にしないためにも我々は災害に万全の体制を整えねばならないのだ。お前は頭がおかしいのか?」との批判を受けそうである。

しかし、まず重要なことはどんなに対策を取ろうともリスクをゼロにすることはできないということを我々は改めて認識しないといけないだろう。過去に起こった最大規模の被害を想定して何があっても死者が出ないというような対策を取るとしたらそのコストはどれほどのものになるだろうか?もし、過去にもなかったような規模の災害が起こったら?もし、宇宙人が攻めてきたら。。。?考え始めたらキリがない。今の日本の財政状態でそのような対策が可能だろうか?これにはおそらく多くの人が明白に「それは難しいだろう。。。」と認めるはずだ。


要はある程度レベル以上の災害で起こる可能性が低いもの、たとえば、1000年に一度だとか数百年に一度だとか言うものに関しては目をつぶらざるを得ないのが費用対コストの観点やわが国の財政状態を考えれば正しい選択だろう。

また、地震予知や災害予知というのは限界がある。また、それらの対策を過剰に行うことで我々国民が自分たち自身で災害に備えようというインセンティブを削ぐことは間違いない。保険に入るという行動はもちろん、災害に備えていろんなものを備蓄しておくという準備にしてもそうだ。

もっと言えば、災害が多い地域に住むということはそれだけのリスクがあることである。災害に遭うのがいやならばそこからより安全と言われる地域に移住するのが本来あるべきリスクヘッジだろう。また、災害に遭う可能性が高い場所は他の地域よりの安価な場合が多いはずだから災害に遭うリスクを犯してより安価な住居費をその地域に住む人々は享受しているはずだ。なのに、国民の税金を使ってそれらの地域の災害に過剰に対策を施すことは、危険な地域に住むことを避けるというあるべき人間のインセンティブを損ない被害を却って拡大させる。また、より高い費用を払っても安全な地域に住んでいる人からより安い費用で危険な地域に住んでいる人に対する所得の移転であり、まったく不公平なことでもある。公平性の観点からも効率性の観点からも過剰な災害対策は正当化されないはずだ。

原発事故なんてのはどうなんだ?という人もいるだろう。重要なことは原発事故を起こした東京電力が政府によって救済されようとしていることである。リスクゼロは決してない。だから、リスクは常に残る。リスクをとった結果、起こった問題に対して責任を取るのは自由市場においては当たり前の話で東京電力は倒産して当たり前だ。このような市場の常識に反した措置はモラルハザードを助長し、市場機能を通した資源の適切な配分を妨げるだろう。一方で原発周辺に住む人はその恩恵にあずかってきたことも考えねばならない。以上を考えると今回の政府の対応ははっきり言って滅茶苦茶だ。

そんなことを言っても先祖伝来の土地を離れることはできない!という人もいるかもしれないが、いつからあなたの先祖はそこに住んでいるのだろうか?せいぜい100年?500年?そんなに価値があることなのだろうか?あるいは、あなたの祖先はおそらくよりよい生活を求めて、それ以前に何百年も住んできた地域から今の土地に移り住んだだけだろう。いずれにしてもそれにこだわるのは結構だが、そのために他の地域に住む人や先祖伝来の・・・という価値観にあまり同調できない人の税金を巻き上げる権利はないことは明白だ。

少なくとも一定以上の災害対策は国の税金ではなく、地方自治体が自らの税収の範囲内で行うべきだろう。

これからやってくるであろう数々の災害対策によって建設業界が再び利権をむさぼるだろう。

また、東日本大震災に際して集まった義捐金の少なさにもぼくは唖然とした。一人が10万円を払えば、10兆円が集まり、増税など必要が無くなるはずだ。口先だけでは東北がんばれ、福島頑張れというものの、結局自分が少しでも痛みを分かち合おうという気持ちはこの国の多くの国民にはないようである。結局、国がなんとかすべきだと考えているのだろうか。この国が昔から持ってきた自己責任の精神が最近はただの身勝手なものになり、国が何とかすればよいとの考えに変わってきているとしたら恐ろしいことである。

過剰な災害対策は人間に間違えたインセンティブを与える。すなわち、自分のことは自分で考えて人様に頼らないようにするという当たり前の原理原則をゆがめることによる悪影響は多くの人が考えるよりもはるかに恐ろしいものだとぼくは思う。また、なんでも国に頼ればよい・政府が何とかしろという精神への変容が一番おそろしいことである。また国家の財政をさらに圧迫されるだろう。災害対策に絡んだ利権が市場機能を通した資源の適切な配分をゆがめるだろう。

最大のリスクに備えよとの叫びや要求は間違いなく日本を悪い方向に導くことは間違いない。そして、自己責任を重視する一方で助け合いの精神を持った日本人の精神は実は大きく変容してしまったのではないか?と僕は思っている。日本は素晴らしい国では最早無くなっているのかもしれない。

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