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- 2011年05月11日 01:29
ユッケ食中毒事件−厚労省の見解変更は「後だしジャンケン」ではないか?
当ブログ的には富士バイオメディックス粉飾決算事件や債権法改正中間論点整理に関する話題を取り上げるべきなのかもしれませんが、ユッケ食中毒事件につきまして、どうしても個人的には興味があるもので、またまたそちらの話題でございます。
すでに申し上げたとおり、FF社の代表者の方のキャラクターがマスコミ各社を本気にさせてしまったばかりに、皆さまご承知のとおり、FF社や(生肉販売業者である)Y商店に関する不祥事の新事実が連日報道されております(やはりマスコミはコワイ・・・)。生食用として販売したことを示すメール、飲食店側でトリミングは不要と指示されたようなメールなど、どうも最近の報道内容からしますと、FF社よりもY商店のほうにマスコミの目が向いているようにも思われます。
FF社の手元にそんなメールが存在するならば、最初の記者会見のときにマスコミに示しておけばよかったのに・・・・・と第三者的には思うのでありますが、時間的な余裕もなく、FF社の代表者としては、おそらくそこまで頭が回らなかったのかもしれません。しかし5月2日の記者会見の際、このメールは経営陣からマスコミに示されたことが5月3日の中日新聞ニュースで明らかになっております。つまり、「生食用」としてFF社はY商店から買い受けたのである、またY商店からトリミングは不要だということの指示を受けたから、それまでやっていた細菌検査も、飲食店におけるトリミングもマニュアルからはずしたのである、というFF社側の主張を裏づける証拠として、メールを示したのですね。
こういった方向性からしますと、FF社として業務上過失致死傷を基礎づける根拠事実が存在しないのではないか、ともいえそうな気がしてきます。
しかしここで不思議なのは厚労省の見解の変更。本日(5月10日)の山形新聞のニュースによりますと、山形県の担当者が、厚労省の「生肉に関する衛生基準の解釈変更」によって、たいへん困惑している、というニュースです。一部だけ引用しますと・・・
その衛生基準の見解変更といいますのは、従来は生肉流通に係る衛生基準に基づく検査にあたっては、「生食用」という表示の有無を調査して、その表示がない場合には販売もしくは提供してはならない、ということを重点とするよう指針が出ていたそうです。しかし、今回の厚労省見解では、生食用という表示自体にはそれほど意味がなくて、たとえ生食用という表示があってもなくても、実際に販売業者、飲食店がトリミング加工や調理器具の衛生チェックを履行しているかどうかを中心に調査する、というものに変わったそうであります。
しかしそうなりますと、FF社の立場が不利になります。FF社はY商店の「生食用である」「トリミングは不要である」とのメールを信じて提供していた、といった主張をしていたのですが、そもそも表示はそれほど重要ではない、むしろ実際に衛生基準に準じたチェックを行っていたかどうかが重要なのだ、ということが厚労省見解として出てきましたので、これは業務上過失致死傷罪における「過失」を裏付ける事実が変わってくることになります。たとえば捜査機関が「本件はFF社とY商店の過失の競合によって被害が発生したものである」といった捜査方針をとっているならば、FF社がたとえ生食用であること、飲食店側でのトリミングが不要であることを信じていたとしても、衛生基準の重要性は実際にトリミング加工を飲食店側で行うことにあるわけでして、FF社経営陣の注意義務違反が問われやすくなるものと思われます。
前のエントリーで述べたとおり、生食用牛肉の衛生基準の内容からすると「食品偽装」というよりも「性能偽装」に近い偽装が行われるものと思いますので、この厚労省の見解の変更自体は私も正しいのではないか、と思います。しかし、メールの公表→捜査の開始→厚労省の基準解釈の変更、といった時系列からみますと、これはFF社経営陣の刑事責任が認められやすくするための厚労省の意図的な後出しジャンケンのようにも推測されます。いずれにしましても、今後FF社経営陣に業務上過失致死傷罪が立件されることがあるとすれば、規制ではなく、行政指導の根拠にすぎない衛生基準の解釈が問題とされる可能性は十分にあると思います。O−111感染ルートが未だ明らかにされていない現時点においては、FF社経営陣の刑事立件は相当高いハードルがあるように感じられます。
すでに申し上げたとおり、FF社の代表者の方のキャラクターがマスコミ各社を本気にさせてしまったばかりに、皆さまご承知のとおり、FF社や(生肉販売業者である)Y商店に関する不祥事の新事実が連日報道されております(やはりマスコミはコワイ・・・)。生食用として販売したことを示すメール、飲食店側でトリミングは不要と指示されたようなメールなど、どうも最近の報道内容からしますと、FF社よりもY商店のほうにマスコミの目が向いているようにも思われます。
FF社の手元にそんなメールが存在するならば、最初の記者会見のときにマスコミに示しておけばよかったのに・・・・・と第三者的には思うのでありますが、時間的な余裕もなく、FF社の代表者としては、おそらくそこまで頭が回らなかったのかもしれません。しかし5月2日の記者会見の際、このメールは経営陣からマスコミに示されたことが5月3日の中日新聞ニュースで明らかになっております。つまり、「生食用」としてFF社はY商店から買い受けたのである、またY商店からトリミングは不要だということの指示を受けたから、それまでやっていた細菌検査も、飲食店におけるトリミングもマニュアルからはずしたのである、というFF社側の主張を裏づける証拠として、メールを示したのですね。
こういった方向性からしますと、FF社として業務上過失致死傷を基礎づける根拠事実が存在しないのではないか、ともいえそうな気がしてきます。
しかしここで不思議なのは厚労省の見解の変更。本日(5月10日)の山形新聞のニュースによりますと、山形県の担当者が、厚労省の「生肉に関する衛生基準の解釈変更」によって、たいへん困惑している、というニュースです。一部だけ引用しますと・・・
県は9日、あらためて厚労省に衛生基準を確認。同省の判断のあいまいさに振り回された県の担当者は「生食用の表示がなくても飲食店での処理が適正であれば生肉を提供できるとの見解だった。これまでの指導内容と異なる回答で困惑している」と述べた。厚労省は新たな解釈基準を5月6日の午後6時にHP上で公表したので、それまでの山形県による検査が無意味なものになってしまったそうであります。この厚労省のリリースは合同捜査本部の一斉捜査が開始された直後、ということになります。
その衛生基準の見解変更といいますのは、従来は生肉流通に係る衛生基準に基づく検査にあたっては、「生食用」という表示の有無を調査して、その表示がない場合には販売もしくは提供してはならない、ということを重点とするよう指針が出ていたそうです。しかし、今回の厚労省見解では、生食用という表示自体にはそれほど意味がなくて、たとえ生食用という表示があってもなくても、実際に販売業者、飲食店がトリミング加工や調理器具の衛生チェックを履行しているかどうかを中心に調査する、というものに変わったそうであります。
しかしそうなりますと、FF社の立場が不利になります。FF社はY商店の「生食用である」「トリミングは不要である」とのメールを信じて提供していた、といった主張をしていたのですが、そもそも表示はそれほど重要ではない、むしろ実際に衛生基準に準じたチェックを行っていたかどうかが重要なのだ、ということが厚労省見解として出てきましたので、これは業務上過失致死傷罪における「過失」を裏付ける事実が変わってくることになります。たとえば捜査機関が「本件はFF社とY商店の過失の競合によって被害が発生したものである」といった捜査方針をとっているならば、FF社がたとえ生食用であること、飲食店側でのトリミングが不要であることを信じていたとしても、衛生基準の重要性は実際にトリミング加工を飲食店側で行うことにあるわけでして、FF社経営陣の注意義務違反が問われやすくなるものと思われます。
前のエントリーで述べたとおり、生食用牛肉の衛生基準の内容からすると「食品偽装」というよりも「性能偽装」に近い偽装が行われるものと思いますので、この厚労省の見解の変更自体は私も正しいのではないか、と思います。しかし、メールの公表→捜査の開始→厚労省の基準解釈の変更、といった時系列からみますと、これはFF社経営陣の刑事責任が認められやすくするための厚労省の意図的な後出しジャンケンのようにも推測されます。いずれにしましても、今後FF社経営陣に業務上過失致死傷罪が立件されることがあるとすれば、規制ではなく、行政指導の根拠にすぎない衛生基準の解釈が問題とされる可能性は十分にあると思います。O−111感染ルートが未だ明らかにされていない現時点においては、FF社経営陣の刑事立件は相当高いハードルがあるように感じられます。



