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日本には高等教育を受けた「超エリート」は数多くいても、「真のリーダー」は不在だ

◆日本には「リーダー不在だ」という思いが強いのか、NHKが1月21日午後7時30分から8時45分まで「NHKスペシャル危機の時代のリーダーを生み出せ!午後9時から10時15分まで「NHKスペシャル日本でリーダーを生み出す決定打は何か?」というテーマで、番組を構成していた。

しかし、結論的に言えば、「エリート養成論」が強すぎて、「リーダー輩出論」になっていなかった感は拭えなかった。「エリート」は、高等教育によっていくらでも養成できるけれど、「真のリーダー」は、高等教育をいくら高等にしても輩出させることができないからである。知能指数が高く、偏差値も「70以上72、73」であっても、そして知識豊富で優れた技術を身につけていて「超エリート」になり、組織の頂点に立ち得たとしても、「真のリーダー」にはなれない。政治家で言えば、古くは関白・豊臣秀吉公、近くは田中角栄元首相、経済人で言えば、松下幸之助翁、農政家では二宮尊徳翁などは、「真のリーダー」であった。だが、高等教育から生まれた「真のリーダー」ではなかった。高等教育はもとより、初等中等教育すらまともに受けていなかったからである。

もし、高等教育を受けた「超エリート」のなかから「真のリーダー」が生まれるのなら、日本には「真のリーダー」がうじゃうじゃ、馬に食わせるほどいるはずだからである。真のリーダー不在を嘆き、待望する必要はないのである。

ならば、なぜNHKは、「スペシャル番組」まで組んで、「リーダー」を生み出そうと躍起になるのか。それは、ここ数年、政治の世界で「リーダー不作」が続いているのが原因であるからであろう。安倍晋三、福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦とどう見ても、「真のリーダー」とは思えない。この危機の時代を切り抜けるには、みな役不足である。これらの国家最高指導者に共通するのは、「最低最悪」という言葉である。これは、国民有権者やマスメディアも悪い。「真のリーダー」たり得る小沢一郎元代表を寄ってたかって袋叩きにして、政界から葬ろうとしてきた。つまり、いまの国民有権者、マスメディアは、「真のリーダー」を必要としていないのではないかとさえ感じられるのだ。

◆それでも、地域によっては、国政レベルにしろ、地域レベルにしろ、「真のリーダーの輩出」を待望する気持ちが強いところが少なくはない。私は1月17日、群馬県商工会連合会主催の県内商工会長・事務局長を対象とした研修会に講師として招かれて「日本の政治はどう動くか」を演題に講演してきた。群馬県商工会連合会は「今後の商工会発展を目指して、人づくり、役職員の意識改革」に力を入れているという。さすがに、近年、福田赳夫、中曽根康弘、小渕恵三、福田康夫と4人も総理大臣を輩出した「保守王国」である。私は毎日新聞政治部時代、福田康夫総理大臣の番記者として、日々、総理大臣の尻尾を追いかけてきた。

◆私は、以下のようなレジメに従い、「真のリーダー論」を話した。

[1〕国家最高指導者(トップリーダー、首相)の条件

「将帥の具備すべき資性としては、堅確強烈なる意志及びその実行力を第一とし、至誠高邁なる品性、全責任を担当する勇気、熟慮ある大胆、先見洞察の機眼、人を見る明識、他人より優越しありとの自信、非凡なる戦略的識見、卓越せる想像力、適切なる総合力を必要とす」(陸軍士官学校「統帥綱領」より)

「将帥は事務の圏外に立ち、超然として、つねに大勢の推移を達観し、心を策按と大局の指導に集中し、適時適切なる決心をなさざるべからず。これをなし得ると否とは、実に将帥その人の自覚と信念に関す」(陸軍士官学校「統帥綱領」より)

「将帥の決心を準備し、これを実行に移すための事務は幕僚以下の職務にして、将帥は幕僚を信任して、その局に当らしむるを要す」(陸軍士官学校「統帥綱領」より)

「将帥の真価は実に難局に際して発揮せられる」(陸軍士官学校「統帥綱領」より)

*福田赳夫総理大臣は、「旧制高崎中学校→第一高等学校一東京帝国大学法学部→大蔵省→在英日本大使館(ロンドン)赴任→主計局長」と絵に描いたような超エリート。「オールマイティ」の総理大臣。
*総理大臣在任中は、秘書官(事務方)に小和田恒(後の外務事務次官)、保田博(後の大蔵事務次官)、棚橋祐治(後の通産事務次官)を配置。政務秘書官は、福田康夫(後の総理大臣)
*ダッカ事件「人の命は地球より重し」
*日中平和友好条約締結(安岡正篤「王道と覇道」)
「政治力」=「人と資金を動かす力」のある政治家であること。
(1)「景気を押し上げる5つの基礎的条件」を揃えられる政治家であること
政治理念・哲学・政策を持った強力なトップリーダーであること。
政財官学界から最低5~6人、多くて10人前後の「仕掛け人」のチーム編成ができる政治家であること。
国家のビジョンの掲揚(国家戦略・基本政策・実行計画の設定)・・・IT革命と金融革命が同時進行しているなかで、「IT社会」と「人生100年社会」という新しい社会を建設する。
新社会建設のための「資金」の調達
国家総動員態勢の確立・・・官民一致団結、挙国一致体制(人・モノ・カネ・情報・価値の動員、投資マインド熱、消費マインド熱、マスコミのフィーバー)
(2)国民に愛される「君子」=「ジェントルマン」であり、リーダーとして国民に「希望を配る人」(ナポレオンの名言)であること。
(3)危機管理に強い政治家であること(一旦緩急に即応、自然災害に万全の備え)

〔2〕現状
(1)政治、経済、社会、自然ともに「拍子」(リズム)が狂っているので、様々な異状
現象(病理現象)が起きている。
*宮本武蔵は著書「五輪書」の「地の巻」の最後の項「兵法の拍子の事」のところで「いずれの巻にも拍子の事をも専ら書き記す也」と述べ、勝負に勝つには、一にも二にも「拍子」が大事であるとわざわざ力説している。武蔵流兵法「神髄」である。いま世界は、「スピード」と「効率化」が求められ、人間の「体内リズム」との齟齬が生じている。「自然のリズム」を回復させるのは政治家をはじめリーダーの役目である。このリズムの異常に気づいている政治家は少ない。
*「景気10年サイクル説」
●1952年秋~1962年夏(不況)
○1962年秋~1972年夏(好況)=高度経済成長
●1972年秋~1982年夏(不況)・・角福戦争→福田赳夫総理大臣が先行すれば、「リズム」が守れたが、田中角栄総理大臣先行により、「リズム」が狂う。
○1982年秋~1992年夏(好況)=バブル経済
●1992年秋~2002年夏(不況)
○2002年秋~2012年夏(好況)
●2012年夏~2022年夏(不況)
(2)指導者と補佐役の関係は、大切である。「永遠のナンバー2」(上杉景勝に仕えた直江兼続)は、貴重な人材である。だが、なかなか得難い。
(3)政治力のある政治家が少ない。ましてや「景気を押し上げる5つの基礎的条件」を揃えられる政治家がいないばかりか、危機管理に強い政治家がいない。

〔3〕日本の政治の流れと展望
2012年世界大乱、「民衆の反乱、主要国最高指導者の交代への対応が求められる。
米国経済の困難、欧州債務危機、金融危機による悪影響と対策、米国からの激しい対日要求(経済=TPP参加、環太平洋軍事覇権の再構築)
「日本管理委員会」の米国対日工作担当者らによる日本政治と日本政府に対するコントロールの強化が進む。

〔4〕これからの日本政治と展望、トップリーダーの使命と役割
民の声=天声人語によく耳を傾ける。
「経済社会のリズム」に合わせて。善政を行う。
*「景気サイクル10年説」―現在は「2002年10月」から始まった「大勢上昇経済」の最終年、「2012年8月」に終わり、その後、「不況期」に入る。
外交力に優れ、欧米の財閥や対日工作者を手玉に取れる。
*坂本龍馬「船中八策」(八策金銀物価宜シク外国ト平均ノ法ヲ設クベキ事)、福田赳夫総理大臣の若かりしころ「パリのロスチャイルド」とのエピソード。

【参考1】「君子」と「ジェントルマン」
「君子」の「君」は、尹+口。「尹」は神杖を持った聖職者、口は祝詞を収める器。聖職者の「聖」は、「耳+口+壬」。「壬」は、「人の挺立する形。神の声を聴き得る人を示(白川静「字通」より)
「ジェントルマン」(gentleman)=「紳士」。紳士とは、社会的に高い地位にある男性。
過去には、英国における歴史的社会階層であるジェントリに属する者。ノブレス・オブリージュ(仏: noblesse oblige、フランス語発音: [nɔblɛs ɔbliʒ] ノブレッソブリージュ)は、直訳すると「高貴さは(義務を)強制する」を意味し、日本語では、しばしば「位高ければ徳高きを要す」などと訳される。一般的に財産、権力、社会的地位の保持には責任が伴うことを指す。
【参考2】「王道と覇道」(中国宋代の哲学者・邵康節)
道→化→自→聖→皇・・・
然・
↓↓↓↓↓・
徳→教→譲→賢→帝・王道
↓↓↓↓↓・
功→勧→治→才→王・・・
↓↓↓↓↓
力→率→争→術→覇・・・覇道
【参考3】「リーダーの心得10か条」(変革のための指針)
(1)悪条件のなかで建設する。
(2)具体的「戦略」として確立する。
(3)分身と協力者をひとりずつ増やす
(4)変革とは時間がかかることを覚悟
(5)したがって一歩ずつ歩め、一口ずつ食べる
(6)他人(物事)は思い通りにならないのが通常と思え
(7)与えられるのを待っているだけでは流される
(8)まず自分から変われ
(9)レベルが高い方が苦労するになっている
(10)嘆きの人生か楽しみの人生か二者択一
(「情勢判断学会」城野宏会長より)

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