- 2018年05月28日 19:17
久里浜医療センター院長、樋口進氏の大罪
1/2さて、先のエントリにおいて立憲民主党がギャンブル依存対策について何も勉強してないことがバレバレとの記事を書きました。
立憲民主党の山内議員は、我が国ギャンブル依存問題に対して、「厚生労働省の調査によれば、病的賭博の推定有病率は、男性で9.6%、女性で1.6%とされており、先進国平均の1.5~2.5%に比べて極めて高い水準」という2013年調査で取得された古いデータを用い、それを他国の水準と比べながら現政権の政策に対して批判を展開したワケです。
一方、先週に行なわれた衆議院内閣委員会でのギャンブル等依存症対策基本法案審議の中では以下のような参考に答弁が明確になされていたわけです。
樋口進(独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長):
海外におけるギャンブル依存に係る調査結果と私達の行なった全国調査の結果の比較については、先ほども申し上げましたけども、調査の方法が違うこともありまして、双方の結果を単純に比較することはできませんが、私達、研究班の行なった全国調査において、SOGSというスクリーニングテストを用いてギャンブル等依存が疑われる人の割合を推計いたしました。
その結果は、生涯の経験等による評価でギャンブル等依存の疑われる人の割合は3.6%、これは生涯の過去のどこかでSOGSを満たす期間があったと、そういう風な理解で御座います。それが3.6%。
同じように海外の調査では、オーストラリアは男性と女性で分けてありまして男性2.4%、女性1.7%という報告が御座います。オランダは男女合わせて1.9%、フランスは1.2%、スイスは1.1%、カナダは0.9%、イタリアは0.4%、ドイツは0.2%と報告されています。国ごとに調査手法が異なる為、各国の調査結果を単純に比較することには注意が必要だと思います。
という事で、山内議員の用いた2013年の調査結果は既に新しい調査によって上書きをされているのが実態、またそれを他国水準を単純比較すること自体も国会答弁中において明確に否定されているわけで、国会議員としてどうなん?という話になってしまったわけですが、私として個人的に追記をするのならば実はここで参考人として招致されている樋口進(独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長)氏自身も、そこに輪をかけて「どうなんか?」という存在であるのが実態であります。
実はこの樋口医師ですが、山内議員が引用した古い調査を実施した責任者その人であり、2014年にその結果を発表した記者会見において、以下のような発言をしております。
賭博依存疑い500万人超 厚労省、世界より高い割合と警告
2014.08.20 共同通信
ギャンブルに対する気持ちが抑えられない「ギャンブル依存症」の疑いがある人が、国内に500万人以上いるとする推計を厚生労働省研究班(代表、樋口進・国立病院機構久里浜医療センター院長)がまとめ、20日発表した。成人の約5%に上り、世界のほとんどの国が1%前後にとどまるのに比べて日本は非常に高い割合と警告している。[…]
2014年8月に行なわれた上記の記者会見でありますが、太線を見ていただければ判るとおり実はその発表当初、樋口医師自身がこの結果を他国の水準と比較して、政策批判をしていた張本人であるわけです。一方で、この2013年調査に関しては、樋口医師らによる発表のあった直後から関係学会の中でその調査精度は元より、異なる調査手法による推計結果を他国と比較するなど不備があるとのことで壮大な批判が噴出しました。
その結果、樋口医師がこの記者発表を行なった一週間後に田村厚生労働大臣(当時)自身がその発表内容を訂正するという異例の記者会見が行なわれたものであります。以下当時の大臣会見の議事録から転載。
田村大臣閣議後記者会見概要
(H26.8.29(金)10:55 ~ 11:26 省内会見室)
http://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000056071.html
536万人というギャンブル依存症の数字でありますけれども、調査対象にパチンコ、スロット、こういうものを含んでおります。そういう意味からしますと、これをギャンブルと見るかどうかという問題、それから当然、店があるということはやってる方がおられるわけでありまして、世界で、このようなギャンブルというのかどうか分かりませんが、パチンコ、スロットがこんなにある国は日本しかないわけでありまして、当然それだけ多いパチンコ、スロットでありますから、やっている方々がおられれば、それに依存症というものがカウントされてくるわけでありますから、これをもって世界と比べてギャンブル依存症が多いというふうに判断するかどうかというのは、詳細に分析しないと、なかなか一概には言えないものであろうと思います。