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人工知能と人間の付き合い方

 日本が生んだ世界の漫画家・手塚治虫さんの『火の鳥』を読んだ時、子ども心にもとても感動したことを覚えている。巨大な人工知能(AI)が支配する国家同士が戦争を引き起こし、人類滅亡直前まで行ってしまった話。AI搭載のロボットが人間社会にサボタージュし、集団自殺してしまった話など、当時は絵空事と思っていたが、昨今はあり得ない話ではないように思う。

 AIに関する技術開発は著しく、世界各国が競い合っている。AI自身が学んでいくディープラーニング、ビッグデータの分析による高度な処理技術、自動運転のレベルアップなど多岐にわたるが、我が国における課題は、AI人材の不足や社会実装に向けての制度的制約である。中国では北京郊外のある都市を、丸々自動運転技術の実験場とするなど、思い切った開発普及の手段を進めている。我が国でもAI特区や「サンドバッグ」と言われる手法を駆使しなければならない。またAI人材の育成には、文化系・理科系の垣根を乗り越えなければならない。

 一方、AIの開発と普及においては、必ずしもプラス面だけではないことにも、注意を払う必要がある。以前のオピニオンでも述べたが、AIの進展に伴う技術的特異点(シンギュラリティ)が2045年頃に出現し、その時には今の仕事の半分がAIに取って代わられると言われている。労働力のスムーズな移動のための制度改善や、再教育の充実が不可欠となるだろう。

 さらに先ほど述べた『火の鳥』に描かれたような、AIと人間との関係を本気で心配しなければならないだろう。AIが学習することによって、自らが価値判断をしたり価値を創造することもあり得る。その際それらの価値と人間が作り出した価値のいずれを優先するのか、両者の衝突をどうすれば防げるか、ややSFの世界に踏み込むようだが、社会学、哲学、倫理学などの力を動員して、ルールを作っておく必要があるだろう。

 さらに深刻なのは、AIを搭載した新しい兵器が開発されることも考えられ、圧倒的な破壊力を持ってしまうかもしれない。世界の安全保障のために、AI兵器の禁止に関する国際的取り決めが必要となる時が必ず来るはずだ。人類がいつの時でも、AIをコントロール出来る状況を保つことが、極めて重要なことになりつつある。

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