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将来、大学に進学するのは難しいかなと思っている中学生、高校生も読んでみよう。

僕自身は大学に入学させてもらったものの二年で中退、その後、米国に留学するも大学を卒業することなく帰国しました。日本では「奨学金」を考えることはありませんでした。親にとても感謝しています。

しかし、米国留学は1ドルが140円とかだったので、さすがに学費と生活費が厳しく、現地で奨学金の情報を探したり、(コミュニティカレッジだったので)大学進学後の学費を安くできないかと模索したりしてました。もう20年前のことです。

現在は、里親家庭で育った子どもたちで大学や専門学校進学を目指すひとに向けた民間企業の「給付型奨学金」 の審査員なんかもさせていただいています。経済的に厳しい家庭に育った子どもたちの学習支援や生活支援もしていますが、その「家族」という形が一般的なものと異なるがゆえに、その背景にあるものだけでなく、いまある家族と自分の間で葛藤したりと、本当に大変な子どもたちで幸せになってほしいと願ってやみません。

そんな活動をしていますので、「奨学金」というものには少なからず関心があります。自分が活用したことがないということもあり、本書『(145)今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。: 貧困の連鎖を断ち切る「教育とお金」の話 (ポプラ新書)   本山 勝寛』の著者のような自己体験はないのですが、中学から高校へ、高校からその先へと、進路を考えるにあたって、「奨学金」などを前提としないと進学が難しい子どもたちのことは多少理解しています。

本書は、「奨学金」を切り口としながらも、日本の家庭経済格差と教育格差について構造的に分析をされながら、それを埋めるための提言へと展開されていきます。その意味で、奨学金をどうこうすべきというよりも、奨学金以前にまずは知っておくべきことがあるよね、ということで完結に情報が整理されており、勉強になります。奨学金の本というより、教育格差の本です。

これだけだと教育格差などに興味があるひとや、教育における課題解決に取り組むひとに限定されてしまいそうですが、一方、僕が本書を読み終えて「将来、大学に進学するのは難しいかなと思っている中学生、高校生も読んでみたらいいのでは」と思いました。ちょっと難しい話もあるかもしれないですけど、どうしても将来学びたいとしたとき、どんな選択肢や武器があるのかを端的に把握することができます。

第二章では「大学授業料免除制度」にも触れられています。これは僕の友人である東京工業大学の西田亮介さんは、支払わなければならない授業料のためにお金を調達する「奨学金」もあるが、そもそも大学の授業料(学費)を払わなくてもいいことが、大学には結構あるんですよとおっしゃってます。まさにそれについても書いてあります。

ざっと目を通すと難しい言葉があったり、数字データがあったり、「東京大学」という大学名が出てきたりしますけど、そこは面白いと思えば読んでみたらいいと思いますし、それ以上に、将来大学などに進学したい気持ちが強ければ、、本書にはかなり多くの有益な情報が散りばめられていると思いますので、海外留学!を含めて手に取ってみられたらいいと思います。

※個人的には第4章「教育格差をなくすための9つの提言」が新書だから仕方がないんですけど、もう少し(倍くらい)紙面を取ってほしかったなというのがあります。提言を具体化するためのプロセスや方法論を筆者はお持ちなんじゃないかと思っており、踏み込んだ話があるのかなと思ったところで終わってしまい、ちょっと残念です。

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