政府、与党が、この国会の最重要法案と位置づける働き方改革関連法案が、先ほど、衆議院厚生労働委員会で採決が行われ、一部修正のうえ、自民・公明・日本維新の会の賛成多数で可決されました。
この法案は、何回も指摘しているように、規制強化と規制緩和のいくつもの法案をひとつにまとめたもので、これは分けて十分な審議をすべきものです。
委員会採決について、立憲民主党、国民民主党、共産党は、厚生労働省が平成25年に行った労働時間の調査結果の一部に誤りの可能性が高いものが確認されたことなどから、「審議は不十分で、採決には応じられない」と主張し、昨日25日に審議、採決を、という与党側と折り合いませんでした。
このため自民党の高鳥委員長が25日に委員会を開いて、法案の質疑採決を行うことを職権で決めました。
野党側は加藤厚労相の不信任決議案を提出しましたが、本会議で否決され、委員会採決となりました。
働き方を改革することは、超少子高齢社会で働き手が少なくなっていくことからも喫緊の課題です。
方向性としては、男女を問わず、人間らしく働ける、心身ともに健康で能力を発揮できる環境整備のはずです。ところが、同一労働同一賃金も実効性が疑われるもので、長時間労働の規制も過労死の限度時間を上限とするなど、働く側にとっては不十分なものです。
一方で、経営者が強く望んだ高度プロフェッショナル制度は、過労死の危険が増すという、労働組合や過労死家族の会など多くの反対を押し切って導入されることになってしまいます。
この高プロ制度というのは、対象者は専門的で高度な知識などが必要な職種で、新たな契約によって全労働者の平均の3倍(1057万円)の年収が見込まれる人たちです。
それなら関係ないと安心してはいられないのは、経団連などが、すでに年収要件の引き下げを求めているからです。
派遣労働のように、一度堰を切ったら、どんどん広げられる恐れがあります。
問題なのは、経営者が法に基づいて労働者を長時間労働させることが可能になることです。
経営者は「年間104日」かつ「4週で4日」以上の休日を確保すれば、1日何時間でも働かせることができることになります。
必要と考える労働者がどれ位いるのか、厚労省は12人の研究者などからしかヒアリングをしていません。
日本維新の会が、高プロで働く本人が制度適用への同意をした後に撤回できる規定などを設ける修正案を出し、そうなりましたが、経営者と労働者の力関係があり、このことで改善されるとは思えません。
安倍首相は、面会を求める過労死家族の会のメンバーとの面会を断りました。
都合の悪い人たちとは会わず、お友達とは秘密裡に会う、ということなのでしょうか。
この法案では、働き方改革ではなく、働かせ方改革になってしまいます。
参議院で、さらに審議を尽くしてもらいたいと思います。