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- 2012年01月21日 10:37
欧州の信用不安は後退したのか
ここにきてのユーロ圏を取り巻く状況をみていると、一時に比べ緊張感や不安感が緩和しつつあるように思われる。それを示しているのが、外為市場でのユーロの動きとみられ、ユーロ円は100円台を一時回復している。
11日のドイツの5年債入札、12日のスペインの期間3~4年の国債入札などは順調な結果となり、これによりイタリアやスペインなどの国債利回りが低下した。このあたりですでに地合の変化が感じられたが、その後13日に格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)はユーロ圏9か国の格付けを一斉に引き下げ、16日にS&Pは、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の格付けをAAAからAA+に引き下げたことで、また地合が悪化するかに思えた。
これまでであればこの一連の格下げは欧州の信用不安を再燃させてもおかしくはなかったが、ところがそうはならなかった。もちろん、これにはS&Pが1か月も前に格下げの予告をし、何度となくフランスの格下げ観測が流れるなどしたことで、市場はかなり織り込んでいた面もあろう。それは実際に格下げが発表されたことで、材料出尽くし感としてむしろ信用不安を緩和させる方向に影響した可能性もある。
ただし、今回の各下げでポルトガルがBBB-からBBと投機的水準に格下げされたことで、ポルトガルの国債はその後も下落基調となっており、まったく影響が出なかった訳でもない。
それでも19日のスペインの国債入札は目標の45億ユーロに対し66.1億ユーロを調達し、フランスの国債入札でも、79.7億ユーロとほぼ目標上限の金額を調達できたように、国債需給の面においても不安感は後退しつつある。
これについてはECBが昨年12月8日の理事会で流動性を供給するため期間36か月の長期リファイナンス・オペ(LTRO)を新設したことが大きな役割を果たした。12月のLTROによる4892億ユーロの資金供給により、銀行の資金繰りが楽になり、さらにその資金はいずれ国債に向かうであろうとの期待もあり、それがユーロ圏の国債市場を支えた面もある。
日本の不良債権問題を振り返っても、日銀による量的緩和政策、そして政府による公的資金の導入により、金融システム不安が徐々に解消していった。このため2003年の足利銀行の経営破綻が明るみに出た際は、これで金融システム問題がさらに悪化するというより、これでもう金融機関の悪化には歯止めが掛かるとの印象が強まり、その後は不良債権問題は市場で悪材料視されなくなっていった。このあたりと今回のユーロ圏を取り巻く地合が似てきてはいまいか。
要するに相場のセンチメントが変化すると、同じ材料に対しての反応が異なってくる。それが現在の欧米市場でも感じられる動きであり、あきらかに地合が変化しているものと思われる。
もちろんこれでユーロ圏の信用不安が一気に解消されるとみるのは楽観的すぎるであろう。ギリシャの債務に対する協議も気になる。格付け会社からはギリシャのデフォルトの可能性も指摘されている。さらにユーロ圏の銀行に対しては、今後の保有資産の圧縮や公的資本の注入等の可能性もある。ただし、ユーロ圏の国債価格の下落が止まり、むしろ上昇してくればこれらの状況は緩和されることも確かであろう。
過度な楽観視も禁物ながら、市場の地合の変化も読み取ることも重要であろう。ユーロ圏の信用不安が後退すれば、今後はあらためて市場は新たな材料を模索する。それはいまのところ米国を主体とした景気動向に向かいつつあるように思われる。
11日のドイツの5年債入札、12日のスペインの期間3~4年の国債入札などは順調な結果となり、これによりイタリアやスペインなどの国債利回りが低下した。このあたりですでに地合の変化が感じられたが、その後13日に格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)はユーロ圏9か国の格付けを一斉に引き下げ、16日にS&Pは、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の格付けをAAAからAA+に引き下げたことで、また地合が悪化するかに思えた。
これまでであればこの一連の格下げは欧州の信用不安を再燃させてもおかしくはなかったが、ところがそうはならなかった。もちろん、これにはS&Pが1か月も前に格下げの予告をし、何度となくフランスの格下げ観測が流れるなどしたことで、市場はかなり織り込んでいた面もあろう。それは実際に格下げが発表されたことで、材料出尽くし感としてむしろ信用不安を緩和させる方向に影響した可能性もある。
ただし、今回の各下げでポルトガルがBBB-からBBと投機的水準に格下げされたことで、ポルトガルの国債はその後も下落基調となっており、まったく影響が出なかった訳でもない。
それでも19日のスペインの国債入札は目標の45億ユーロに対し66.1億ユーロを調達し、フランスの国債入札でも、79.7億ユーロとほぼ目標上限の金額を調達できたように、国債需給の面においても不安感は後退しつつある。
これについてはECBが昨年12月8日の理事会で流動性を供給するため期間36か月の長期リファイナンス・オペ(LTRO)を新設したことが大きな役割を果たした。12月のLTROによる4892億ユーロの資金供給により、銀行の資金繰りが楽になり、さらにその資金はいずれ国債に向かうであろうとの期待もあり、それがユーロ圏の国債市場を支えた面もある。
日本の不良債権問題を振り返っても、日銀による量的緩和政策、そして政府による公的資金の導入により、金融システム不安が徐々に解消していった。このため2003年の足利銀行の経営破綻が明るみに出た際は、これで金融システム問題がさらに悪化するというより、これでもう金融機関の悪化には歯止めが掛かるとの印象が強まり、その後は不良債権問題は市場で悪材料視されなくなっていった。このあたりと今回のユーロ圏を取り巻く地合が似てきてはいまいか。
要するに相場のセンチメントが変化すると、同じ材料に対しての反応が異なってくる。それが現在の欧米市場でも感じられる動きであり、あきらかに地合が変化しているものと思われる。
もちろんこれでユーロ圏の信用不安が一気に解消されるとみるのは楽観的すぎるであろう。ギリシャの債務に対する協議も気になる。格付け会社からはギリシャのデフォルトの可能性も指摘されている。さらにユーロ圏の銀行に対しては、今後の保有資産の圧縮や公的資本の注入等の可能性もある。ただし、ユーロ圏の国債価格の下落が止まり、むしろ上昇してくればこれらの状況は緩和されることも確かであろう。
過度な楽観視も禁物ながら、市場の地合の変化も読み取ることも重要であろう。ユーロ圏の信用不安が後退すれば、今後はあらためて市場は新たな材料を模索する。それはいまのところ米国を主体とした景気動向に向かいつつあるように思われる。



