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「ご飯論法」は安倍政権に共通する感覚では

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 上西充子・法政大学キャリアデザイン学部教授*1が高度プロフェッショナル制度(いわゆる「高プロ」「残業代ゼロ法案」)をめぐる加藤厚労大臣の答弁の不誠実さを「ご飯論法」として批判し、辞任を求めている。

高プロの「異次元の危険性」を指摘した小池晃議員に、「#ご飯論法」で否定してみせた加藤大臣は、辞任を(上西充子) - 個人 - Yahoo!ニュース

 記事の中でぼくのことも触れてくれていますけど、上西先生、本当に律儀な人ですね…。*2

 「ご飯論法」とは上西が特徴づけた言い逃れ答弁の論法で、「朝ごはんを食べましたか?」という質問に「(朝、パンは食べたけど、ごはん=米飯は)食べていない」と答えるようなやり方である。

 共産党の小池晃参院議員が“この制度が通ったら4日間休ませれば、あとはずっと働かせることが、104日間を除けばずうっと働かせることができることになる。そういうことを法律上排除するしくみがあるか”と聞いたのに、加藤大臣は「働かせるということ自体がこの制度にはなじまない」とか「そういう仕組みになっていないんです。法の趣旨もそうでないんです」「今委員おっしゃったようなことにはならないだろう」などとくりかえす。

 ふつうに聞けば、「小池が無知杉。返り討ちワロタ」とか「ブサヨは印象操作もたいがいにせえや……」とか思うところだが、小池はしつこく食い下がり「ご飯論法」を暴いてしまう。

 ついに加藤は認めるのだ。「それ自体を規制するという規定はありません」。

佐川答弁で見た「ご飯論法」

 それで、この「ご飯論法」については、前にぼくが森友疑惑での佐川前財務省理財局長の証人喚問でのやりとりで似たものを聞いて、愕然としたことがある。(それを上西記事を読んで思い出し、ツイッターで「ご飯論法」だとつぶやいたのである。)

 今年(2018年)3月27日の衆院予算委員会での証人喚問、共産党の宮本岳志議員の質問と佐川の答弁だ。

 森友疑惑が起きて、面会等の記録があるかどうか2017年2月の国会で問題になった。17年2月に佐川は“破棄を確認した”という趣旨のことを国会で言っている。だとすると文書は破棄してなかったんだからこれは虚偽答弁になるよね、と宮本が追及するのである。追及するのだが、佐川の証人喚問での答弁はこうだった。

 宮本 日本共産党の宮本岳志です。この森友問題、昨年2月15日の私の当院財務金融委員会の質問から始まりました。そこで聞くんですが、あなたは昨年2月24日の衆院予算委員会で面会等の記録は平成28年(2016年)6月20日の売買契約締結をもって破棄していると、こういう答弁を私に初めてしました。この答弁は虚偽答弁でしたか。

 佐川 委員おっしゃる通り、2月半ばから委員のご質問で始まったことでございまして、いまのお話の6月20日をもって廃棄をしたという私の答弁は、財務省の文書管理記録(規則)の取り扱いをもって答弁したということでございまして、そういう意味で本当に丁寧さを欠いたということでございます。申し訳ありませんでした。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2018-03-28/2018032804_01_0.html

 佐川のいう「文書廃棄を確認した」というのは「文書を捨てたことをシュレッダーで現認した」という意味ではもちろんないし、「文書は捨てたよなということを実際に文書を調べて確認した」という意味でもなかった。

 ふつうはそんなふう(個別文書の廃棄の個別的確認)にとらえる。

 ところが、佐川は“文書廃棄を個別に確認したわけじゃねーよ、何年たったら捨てるっていうルールがあるのを確認したって意味だよ。そういうルールがあるから捨てたんだろうね、ってコト”と答弁していたんだと言い逃れたのである。

 そりゃ宮本は怒るわな。

 宮本 そういう問題ではないんですね。あなたは、午前中の証言で個別の事案についてもきちんと確認をして答弁をしなかったという点で丁寧さを欠いたと、こういう答弁をしているんですね。しかし、2月24日の私に対するあなたの答弁は「昨年6月の売買契約に至るまでの財務局と学園側の交渉記録につきまして、委員からのご依頼を受けまして、確認しましたところ、近畿財務局と森友学園の交渉記録というのはございませんでした」と。このとき確認をして「なかった」と答弁しているので、一般的な規定を答弁しているんじゃないんです。これはどちらかがうそですね。

 佐川 大変申し訳ありません。その「確認をした」という意味ですけども、理財局に文書の取り扱いを確認したということでそういう答弁をしてしまいました。申し訳ありませんでした。

(議場騒然)

 宮本 そんなの通りませんよ。委員長、だめですよ、そんなの。答弁になってない。そんなの通らない。答弁なってないじゃないか。

 (委員長「再答弁してください。佐川証人」)

 佐川 本当に申し訳ありませんでした。文書の取扱規則の話をしてございました。すいません。

 宮本 じゃあ、この答弁については、虚偽答弁を認めますか。

 佐川 それはその、虚偽というふうに(宮本「虚偽じゃないか」)、私自身は、その虚偽という認識はそのときはございませんでした。

 宮本 「確認をして」というのはですね、規定をただただ確認しただけだって、通りませんよ、それは。そして今日やっている証言は、確認をしてなかったから丁寧さに欠けたって言ってるんですよ。これは午前中の答弁がまさに証言が偽証であるか、昨年の答弁がまさに虚偽答弁であるか二つに一つですよ。じゃあ、午前中の答弁撤回してください。

 佐川 ですから、あの、おわび申し上げますが、昨年の委員に対する答弁がそういう趣旨の答弁だったということでございます。

文書改ざんはアウトにされているが「ご飯論法」はセーフにされている

 ぼくが、ツイッターでこのことについて「足元が崩壊する感覚に襲われた」と書いた。

 そのあとのツイートでも書いたように、

もしこんな不誠実な答弁が許されるなら、野党議員はどんな答弁を聞いても安心できないし、記者は百万通りの質問をしないと回答が定まらないことになる

https://twitter.com/kamiyakousetsu/status/993514940056059905

からだ。

 「そんなの、森友でそもそも文書改ざんまでやられていたんだから今さら驚くことでもねーだろ」と思うかもしれない。

 しかし、「文書改ざん」はアウトであることはもうハッキリしている。誰がやったのかはまだ決着がついていないけど。

 だけど、この佐川・加藤の「ご飯論法」はアウトだとはされていない、「やってはいけない」ということにはなっていないのだ。セーフ判定なのである。あまりにもひどい。

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