記事

家族と同居でも高齢者が孤立する「日中独居」が起きる理由

1/2

【同居しながらも“日中独居”が起きている(写真/アフロ)】

 家族と同居しているにも関わらず、孤立状態で死を迎える高齢者の「同居孤独死」が問題となっている。東京都福祉保健局の2016年調査によれば、都内で家族と同居しているにもかかわらず、孤立状態で“異常死”した65才以上の高齢者は、2044人(男性1103人、女性941人)。1人暮らしの孤独死3121人(男性2018人、女性1103人)に迫る勢いなのだ。

 なぜ同居しているにもかかわらず孤独死が起こるのか。全国展開する遺品整理業者「グリーンハート」の専務取締役・吉留健一さんが指摘する。

「私の知る同居孤独死の事例は、ほぼすべて一戸建てで家族仲がよくないという共通点があります。同居して常に側にいるという安心感が逆に油断させるのでしょう。そのうえ仲がよくないと顔を合わせなくなるので、容体の急変に気付きにくい」

「日中独居」のケースも大きな要因の1つだ。日中独居とは、同居する家族が、日中は仕事や学校に出かけるため、家に取り残された高齢者が事実上の「独居状態」になること。淑徳大学社会福祉学部の結城康博教授が指摘する。

「日中独居は、親子2人暮らしの家庭で陥りやすい。中でも最近目立つのは、子供が独身で要介護の親と同居しているケースです。そうした、介護が必要な高齢者ほど行政や外部の目が必要になりますが、同居家族がいる場合、地域包括支援センターのスタッフや民生委員の訪問は対象外になってしまう。経済的に困窮している家庭なら、なおさら介護費用を工面するのは難しいでしょう。外部とのコミュニケーションが絶たれ、周囲の目が届かなくなるほど、孤独死のリスクが増すことは言うまでもありません」

◆「こんなはずじゃなかったのに…」

 一方で、一見賑やかで、普通の家庭に見える家庭の中にも、問題の本質は潜む。横浜市在住の松尾恵さん(仮名・82才)は、息子夫婦(50代)と孫(20代)、犬1匹の3世帯暮らし。恵さんは、5年前にがんで亡くなった夫と建てた自宅で、死ぬ時まで暮らすと決めていたが、近頃この家が終の棲家だと思えなくなったという。

 日中は家族が全員働きに出ており、足腰が弱った恵さんは誰もいない家に1人とり残される。かつて近所にいた友人たちはほとんど他界して、話し相手もいない。

「同居を始めて以来、息子の嫁としっくりいかず、よそよそしい関係が続いています。昔は懐いていた孫も、今は携帯をいじるばかりで、私のことなど気にもかけません。唯一の後ろ盾のはずの息子も仕事で帰宅が遅いうえ、露骨に妻に遠慮して、私の肩を持つことはありません」

 恵さんはそう嘆息する。一家は食事時間もバラバラ。恵さんはいつも簡単な食事を自炊して自室で食べているという。

あわせて読みたい

「孤独死」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    企業の短命化で「高学歴」が仇に

    内藤忍

  2. 2

    堀江氏「ヤクザはグイグイくる」

    NEWSポストセブン

  3. 3

    テレ朝は宮迫の降板を決断すべき

    渡邉裕二

  4. 4

    年金の仕組み知らない国民に呆れ

    永江一石

  5. 5

    橋下氏がネット番組批判「虚偽」

    橋下徹

  6. 6

    はあちゅう AV男優の夫もつ心境

    AbemaTIMES

  7. 7

    橋下氏 戸籍晒し巡り雑誌に怒り

    橋下徹

  8. 8

    上田晋也の政権批判番組が終了へ

    女性自身

  9. 9

    G20の日韓会談「何も決まらず」

    ロイター

  10. 10

    山本太郎氏の演説は人を酔わせる

    早川忠孝

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。