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企業不祥事発生時の「第三者委員会」はなぜ嫌われるのか?

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1月31日の日経新聞法務インサイトにおきまして、上場会社を対象としたアンケート調査の結果が出ておりました。企業に不祥事が発生した(発覚した)際に、事実調査や原因究明、責任追及を目的とした、いわゆる第三者委員会によって調査してほしい不正行為のトップが「役員が関与している不正」(73%)ということだそうでして、これは事の性質上、当然のことかと思います。

ただ、たいへん興味深かったのが日弁連が昨年7月に公表(12月に改訂)いたしました「第三者委員会ガイドライン」に準拠して調査すべきか?という問いに対しまして、「ガイドラインに準拠すべきである」と回答された企業はわずか10%であり、「参考にはするが、完全に準拠する必要はない」との回答が圧倒的に多かった、ということであります。今回のアンケートは時価総額上位150社ということですから、そもそも社内調査のスキルをきちんとお持ちの企業さんが多かったことも影響しているのかもしれません。ただ、それでも「日弁連のガイドラインには必ずしも準拠しない」と明言されておられるわけですから、どこに問題があるのか少し考えてみる必要がありそうです。

ここのところ会計不正事件が発覚した上場会社の適時開示を閲覧いたしますと、社外調査委員会の設置とともに、当該委員会は日弁連ガイドラインに準拠して報告をいたします、といったことを明記することが増えておりますし、東証の上場会社向け危機管理マニュアルにおきましても、日弁連ガイドラインに準拠した第三者委員会の設置を勧めておられます。したがいまして、日弁連ガイドラインに準拠した第三者委員会が歓迎される向きも多いのではないか、とも思われます。しかし、結果は上記のとおりであります。私は不祥事を起こした会社の信用再生委員に就任したり、内部通報窓口に新たに就任したり、またセミナーに招かれる機会などを通じて、第三者委員会の報告書が出された後の企業担当者の方とお話をすることがありますが、そこで担当役員や職員の方々が受けた「第三者委員会」の印象としましては、かなり批判的な意見が見受けられます。

「なぜ第三者委員会が嫌われるのか」というのは、少しタイトルが大げさではあります(関係者の方々に叱られそうです)が、私がコンプライアンス統括役員や担当社員の方々から見聞きしたところを、私見も交えて概括的にまとめますと、だいたい以下のようなところに不満の種があるように思います。なお、これは日弁連第三者委員会ガイドラインを批判しているわけではなく、今後(自分を含めて)委員に就任する場合に、委員と会社の役職員との認識のズレをすこしでも解消するための前向きな示唆、とお考えいただければ幸いであります。

1完全な独立性の確保

「第三者委員会」という名前のとおり、ガイドラインは委員の独立性を求めています。しかも、独立した委員のみで構成されることが望ましいとされています。たとえば不祥事を起こした会社の顧問弁護士や、社外役員でも、就任を控えるべきだ、とされております。また、事務局に協力する社員には厳しい情報管理が求められます。しかし、時間的制約のなかで事実を解明するにあたり、完全に独立した委員のみで構成される委員会が、どこまで真実にアクセスしうるか・・といいますと、これはかなり限界があるように思います。また、不祥事の原因究明のためには、過去の出来事などのヒアリングも必要となりますが、社内の事情に精通した人間がいなければ、なかなか効果的な調査が進められないようであります。これがまず、役職員の疑心暗鬼を生む要因になっているのではないか、と思われます。

(ご参考まで)
第2.第三者委員会の独立性、中立性についての指針
1.起案権の専属
調査報告書の起案権は第三者委員会に専属する。
2.調査報告書の記載内容
第三者委員会は、調査により判明した事実とその評価を、企業等の現在の経営陣に不利となる場合であっても、調査報告書に記載する。
3.調査報告書の事前非開示
第三者委員会は、調査報告書提出前に、その全部又は一部を企業等に開示しない。


顧問弁護士は、「利害関係を有する者」に該当する。企業等の業務を受任したことがある弁護士や社外役員については、直ちに「利害関係を有する者」に該当するものではなく、ケース・バイ・ケースで判断されることになろう。なお、調査報告書には、委員の企業等との関係性を記載して、ステークホルダーによる評価の対象とすべきであろう。
2自由心証主義・灰色認定・疫学的証明の許容

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