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【読書感想】貧困と地域 - あいりん地区から見る高齢化と孤立死

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貧困と地域 - あいりん地区から見る高齢化と孤立死 (中公新書)貧困と地域 - あいりん地区から見る高齢化と孤立死 (中公新書)

Kindle版もあります。

貧困と地域 あいりん地区から見る高齢化と孤立死 (中公新書)貧困と地域 あいりん地区から見る高齢化と孤立死 (中公新書)
内容紹介

 「日雇労働者の町」と呼ばれ、多くの暴動などで注目を集めた大阪のあいりん地区(釜ヶ崎)。しかし、高齢化が進み、単身者が多いため孤立死の問題が顕在化した今は、「福祉の町」として知られる。

本書はこの地域の問題と取り組みを論じるものだ。高齢化、再開発、社会的孤立、弔いのあり方などは、日本が抱える課題にも通じている。あいりん地区の試行錯誤は、今後の地域社会を考えるうえでも資するはずだ。

 僕は、あいりん地区(釜ヶ崎)には一度も行ったことがなくて、『あしたのジョー』で丹下ボクシングジムがある泪橋みたいな感じのところなのかな、と思っていたのです。
 いまちょっと検索してみたら、泪橋は、東京の山谷がモデルなんですね。

 本書の主な舞台となる「あいりん地区」は大阪市西成区の北東部に位置する人口密集地域で、一般的には東京の山谷、横浜の寿町とならぶ「日雇労働者の町」として知られている。

 あいりん地区は、1960年代に繰り返し生じた暴動をきっかけに誕生した。1966年に大阪市・大阪府・大阪府警本部から成る「愛隣対策三者連絡協議会」によって地区指定されたのだ。そして、今日にいたるまで、主に日雇労働者を対象にした治安、労働、福祉、医療などの対策が講じられてきた。

 近年のあいりん地区は長期不況や高齢化が背景となって失業および生活保護受給が進み、「日雇労働者の町」から「福祉の町」と形容されることが増えた。
 住民の大半は中高年の単身男性であり、地縁・血縁と切れている人も多いため、社会的孤立が深刻化している。さらに再開発が進み、景観も変わってきた。

 このように地区指定から半世紀以上が経過し、地域の様相は大きく変化してきている。しかし、貧困が集中している現実は変わっていない。

 著者は、大学院に進学した2003年から、あいりん地区にずっと関わりながら、フィールドワークを行ってきたそうです。

 この地区に初めて足を運んだときの記憶は鮮明に残っている。筆者の目に飛び込んでくるのは中高年男性ばかり。路上に佇む人々。ブルーシートで覆われた小屋が林立する公園。鼻をつく小便の異臭。町を闊歩する野良犬たち……。

見慣れぬ光景に圧倒されつつ、あいりん地区を深く知りたいという感情が芽生えた。

 研究をはじめた当初は、ホームレス支援に従事する民間団体との関わりが中心で、筆者自身、夜まわりなどの活動を続けてきた。そのなかで野宿を余儀なくされる人々の厳しい現実を目の当たりにしてきた。2007年から2012年にかけて勤めた地域福祉施設「西成市民館」で相談援助の仕事に従事して以降は、古くから定住している地域住民や行政との関わりも増えた。大学に職を得てからは、まちづくりの動きにも関わるようになった。

(中略)

 あいりん地区の指定から50年以上が経過したが、貧困は一貫して続いている。行政による一連の対策は、必ずしも貧困の解消を目的にしておらず、むしろ、貧困を特定地域に囲い込んできた。そして囲い込まれた貧困層は、日雇労働市場に吸収されることで、不十分ながらも経済システムに組み込まれてきた。
 しかし、バブル崩壊以降、あいりん地区の日雇労働市場が停滞するなか、貧困層の囲い込みは行政にとって大きな負担となっている。

 つまり、半世紀で大きく変化したのは、あいりん地区の機能だ。日雇労働力の供給地としての機能が小さくなる一方、行き場を失った人々のセーフティネットとしての機能だけが極大化している。こうした文脈のなかで西成特区構想が進められており、今日のあいりん地区のあり方が根本的に見直されはじめている。
 このことは、ひるがえって各々の地域がどのように貧困に向き合うのか、という難題を突きつけている。本書を通じてもっとも読者に伝えたかったことは、貧困の地域集中の影響である。

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