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米朝会談が決まった本当の理由は「ICBMの迎撃」不可能だから

写真・米海軍
写真・米海軍

 6月12日、治安のよさが売り物のシンガポールで初の米朝首脳会談が開かれることになった。本音を明かさないことで知られるトランプ大統領と金正恩委員長だけに、本当にトップ会談にこぎ着けることができるのか、まだまだ予断を許さない。

 安倍首相は「トランプ大統領から相談を受けたので、板門店ではなく、シンガポールでの開催を提案したところ、その忠告を聞いてくれた。トランプ大統領と連携して拉致問題の解決を迫る」と自信たっぷりだ。しかし、過剰の期待は禁物。

 なにしろ、昨日まで「北朝鮮を地上から抹消する」と豪語していたと思いきや、今日になると「金正恩との首脳会談を楽しみにしている」と態度を急変させるのがトランプ流だ。

 一体全体、その真意はどこにあるのだろうか。

 確かに、北朝鮮は核実験を繰り返し、アメリカ大陸にまで到達する大陸間弾道ミサイルを完成させたと主張している。とはいえ、どこまで信用できるかは判断のわかれるところであろう。

 しかし、「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ大統領とすれば、たとえ韓国や日本が火の海になったとしても、アメリカ本土は何としても守り抜くという立場に違いない。

 実は、北朝鮮の開発しているミサイルを撃ち落とすのは至難の業である。

 これまで北朝鮮のミサイルが日本列島を超えて太平洋上に撃ち込まれた際、トランプ大統領は「日本はどうして撃ち落とさないのだ? サムライはいなくなったのか?」と揶揄したものだ。

 その裏には「アメリカ製の迎撃ミサイルを使えば、簡単に撃ち落とせるはず。日本はもっとアメリカから迎撃システムを買えばいい」との思いが隠されている。

 ところが、アメリカの軍関係者の間では、「ことはそれほど簡単ではない」というのがもっぱらの反応なのである。

 というのも、現在、韓国や日本に配備されている迎撃ミサイルシステムでは、地上770キロから飛来する北朝鮮のミサイルを撃ち落とすことは不可能といわれているからだ。

 日本海に配備されているイージス艦による迎撃も同様で、守備範囲の高度をはるかに超えている。ましてや韓国やグアムに置かれているTHAADや日本に配備中のパトリオット・ミサイルは大気圏内でしか通用しない。

 しかも、これらアメリカ製の迎撃ミサイルは実戦で運用されたことが一度もなく、すべて好条件の下の実験でしか効果が試されていない。

 要は、日本も韓国も自ら試すことなく、アメリカの言うまま買わされているのが現実である。アラスカやカリフォルニアにも配備されているのだが、事前に飛来する時間やルートが明らかにされた「模擬ミサイル」への対応ですら、撃ち落とせたのは半分以下とされる。

 結局のところ、「いつどこから発射されるかわからない北朝鮮のミサイルを撃ち落とすことはほぼ不可能」というのが、アメリカ軍関係者の一致した認識である。

 マティス国防長官からアメリカの迎撃ミサイルの性能を知らされ、さすがのトランプ大統領も、遅まきながら「北朝鮮のミサイルの脅威」に目覚めたのであろう。(国際政治経済学者・浜田和幸)

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