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NTTと“取引き”してきた男性が逮捕――背景にNTTとの不可解な関係か

 NTTドコモを恐喝したとして元暴力団幹部で経営コンサルタントの鴻池宗一容疑者が逮捕された。だが実は、ドコモは昨年まで鴻池容疑者が関係する企業と巨額の取引きをしており、両者は良好な関係にあった。事件の背後にNTTの「闇」が透けてみえる。

 報道によれば、鴻池容疑者は九月にドコモを訪れ、過去の不祥事を明らかにすることをほのめかして金品を要求した容疑がかけられているが、本人は「会社には行ったが脅していないし、金も要求していない」と否認しているという。

 実は、鴻池容疑者は逮捕前、「真実を報じてほしい」と、こんな話を筆者に打ち明けていた。

「ドコモなどNTTグループから、私が仲介して外部の企業に出ていた“仕事”の総額は一〇〇億円以上になる。私はその何パーセントかを受け取っていた」

 調査によると、鴻池容疑者が業務委託契約を結ぶ広告代理店などに、NTTグループから億単位の発注があったことは間違いない。

 それが昨年夏、鴻池容疑者はNTTと関係の深いビックカメラでテレビを購入した際、詳しい説明もないままにNTT関連の複数の契約を結ばされているという事態に陥った。そのためビックカメラやNTTコミュニケーションズなどに「不適切な営業はやめろ」と抗議。だが、NTT側から「問題はなかった」と突っぱねられたため、昨年末からはNTTとの仕事上の関係を自ら絶って抗議を続けてきたという。

 調査したところ、ビックカメラとの問題は鴻池容疑者に限らず、ほかにも多数の顧客が同様なトラブルに巻き込まれていることが分かった(本誌九月二日号参照)。つまり鴻池容疑者の抗議は、根も葉もない「脅し」ではなかった。

 ビックカメラは、NTTの元社長で今もNTT特別顧問の児島仁氏を社外取締役とするなど、NTTとの関係が深く、両者が問題を黙殺しているようにもみえる。

 一方、鴻池容疑者とドコモとの接点は一〇年以上前に遡り、以前の関係者などにも取材をすると、ドコモはかつて鴻池容疑者に、表沙汰にしにくいトラブルの処理などを依頼し、その見返りに「仕事を出した」(ドコモ関係者)ことがあったという。

 鴻池容疑者は約二〇年前に暴力団を辞めているが、「自分のような人間がこんなことをしていると、普通は逮捕されないことで逮捕される可能性もある」とも話していた。実際、二〇〇八年にも別の企業から金を脅し取ろうとしたとして逮捕されたが、その事件は結局、被害者の言い分がでたらめで、鴻池容疑者は嫌疑不十分で釈放されている。

 別の見方をすると、三年前にも暴力団関係者として逮捕された鴻池容疑者に、ドコモは以後も仕事を出していた。ドコモは鴻池容疑者を、まともなビジネスパートナーとして高く評価していたのか、それともよほどの弱みを握られているのか……。

 そして、「私はウソで(NTTに)言うことを聞かせようとはしていない」と訴えていた鴻池容疑者の行動は、自分とNTTとの関係が、協力や信頼で成り立ってきたのか、NTTが問題を隠すためのものだったのか、明確にさせようとしているようにもみえる。

 NTT各社は、鴻池容疑者との関係を問うと「個別の取引きについてお答えできない」などと説明を避けていたが、両者の関係は、さらに過去へと遡り、不可解な部分も多い。

 今回の逮捕が、単純な恐喝事件でないことは間違いなく、捜査の行方によってはNTTの闇が、さらに明らかになる可能性がある。

(杉原章一・ジャーナリスト、12月23日号)

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