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10年後に向けたゲーミフィケーション:井上明人さんインタビュー

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ネオニートphaさんに続く、インタビュー第二弾を公開します。今回は友人でゲーム研究者の井上明人さんに、ゲーミフィケーションについてお話を伺いました。

ゲーミフィケーションは、レベルアップ、アイテム収集、仮想通貨など、ゲームの仕組みをゲーム以外の分野にも応用するという概念で、昨年大きな話題となりました。私自身ゲーマーなので、ゲームの面白さを他にも活用するというアイデアはとても魅力的に感じます。

しかし、実際にゲーミフィケーションが私たちの生活にどのような変化をもたらすか、具体的なところはあまり耳にすることがなく、概念先行のぼやっとした流行という印象も否めません。

お話を伺った井上さんは国際大学GLOCOM研究員としてゲームの研究を行っており、多くの評論やテレビなどでもご活躍のほか、節電ゲーム「#denkimeter」のデザイナーでもあります。

そして何より、井上さんはまもなくNHK出版から「ゲーミフィケーション <ゲーム>がビジネスを変える」を刊行される予定。ゲーミフィケーションの具体的なところを伺うにはぴったりです。それではさっそくどうぞ。

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(井上さん @ 六本木)


<ゲーミフィケーションのそもそも話>

−流行語が次々生まれるのは業界の常ですが、特にゲーミフィケーションは急に流行った気がします。なぜ今ゲーミフィケーションという概念が出てきたのでしょう。

ライフログの技術水準が上がったこと、それからスマートフォンが普及したことが下地としてあります。

ゲームを作るには、勝敗や得点を判定する仕組みが必要です。その仕組みを考えるとき、ライフログはとても相性が良かった。今、スマートフォンには万歩計やGPS、振動センサのような機能がはじめから組み込まれていて、ライフログデータを取得するのに他の機器を買う必要がありません。

スマートフォン以外にも、JawboneのUPという腕輪型のデバイスでは、睡眠パターンを計測して点数をつけてくれます。眠りに点数がつくというのは新しい時代ですね。オムロンの体組成計は体重やら体脂肪率やらのデータを記録して、クラウド上で管理できます。昔からあるような計測技術もありますが、クラウドと結びついたり、小型化したり、利便性が高まったというのがでかい。

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Jawbone UP

日常の行動を評価する仕組みがライフログとしてあって、そのインタフェースとしてスマートフォンがあることで、日常をゲームにする強力な力が揃い、ゲームを作りやすくなったと言えるでしょう。

スマートフォン以外にも、ウェブのアクセスデータをゲーム化するBadgevilleのようなサービスがあります。どのページを訪問したかといった、普通はGoogle Analyticsで調べるようなデータを使うわけで、これもライフログを使ったゲームのひとつです。

−ライフログのデータがあるからゲームを作れるようになったと。それにしてもゲーミフィケーションは、誰がいつ流行らせたのでしょう。

キーワードとして流行らせたのは、米国のマーケッターでしょう。中でもゲイブ・ジッチャーマンは本も出していて、流行の立役者と言えます。

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(ゲイブ・ジッチャーマン @ Oscon 2011

言葉としては2010年の8月くらいから海外のビジネス誌で言われるようになって、ゲーミフィケーションサミットが開催された2011年の1月くらいから、Google Trendsではぐっと話題になっています。そして2011年中頃にガートナーが取り上げ、バズワードとして確定した感じです。

−ハイプサイクルですね。

ビッグデータ、Internet of Thingsと並んで、新しいトレンドとして取り上げられました。

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(ガートナー:2011年のハイプサイクル

ただ、ゲームをマジックワードとして盛り上げようという試みは周期的に流行っていて、たとえばゲームを日常のためのツールにしようという「ゲーミングシュミレーション」は三十年前からある概念です。

−じゃあ、今回ゲーミフィケーションが話題になったのはなぜですか。

ゲーミフィケーションが実ったのは、インパクトのある事例が揃ったからでしょう。Foursquareや、Nike+、Badgevilleなど、実際に流行っているものが幾つか出てきて、ただの言葉ではなく「なるほど、これね」と具体的なサービスと結びつけられるようになりました。

−ではゲーミフィケーションの流行はなにかが新しいというより、ただ事例が整ったということでしょうか。すこしまえには「シリアスゲーム」というのもありましたが。

新しい部分もあります。リアルかバーチャルで考えると、シリアスゲームはあくまでバーチャルが主です。ゲーミフィケーションはリアルがベースで、日常にゲームが付加される、拡張現実に近い感じ。このバーチャルからリアルへの転換があったのはでかいです。

また、リアルがベースとなったことで、コンピューターゲームと比較されずに済むというのもあります。シリアスゲームのようにバーチャルだと、マリオやドラクエと直接比較されてしまう。しかしマリオやドラクエより面白い教育ゲームがそう作れるかというと、それはまあ難しい、無理ですよね。相手は任天堂ですから。負け戦です。

−なるほど。

たとえばFoursuqareに対して、ドラクエよりつまんないという声はあるかもしれませんが、それは当たり前です。しかし、特別おもしろくもない日常の行動がFoursquareによって面白くなったら、これはいい結果です。ランニングも、ただ走るよりは、Nike+があったほうが相対的に面白い。

基準がマリオやドラクエにある人にとっては、ゲーミフィケーションのなにが面白いのかと思うかもしれませんが、そこで勝負しているわけではないというのが重要です

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