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eスポーツ施設、風営法規制「逃れ」の3類型

さて、eスポーツと風営法にまつわるエントリの続きです。先のエントリをまだ読んでいない方は以下の記事をお先にどうぞ。

●【悲報】大阪でeスポーツ施設の閉鎖が始まる
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9808634.html
●JeSU(日本eスポーツ連合)さん、実は風営法も理解してない
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9813617.html

先のエントリでは「風営法とネットカフェを巡る問題に関しては、JeSUの主張する賞金部分とは異なる点で大きな問題が存在するとし、それが『風営法無許可営業』問題です」と述べました。

ここでまず、風営法のゲーム施設に対する規制の内容を改めて確認してみましょう。風営法はその第二条第一項第五号において以下のような定義で、ゲーム施設を許可取得が必要な営業種として規定しています。

五 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
ここでいうテレビゲーム機は、風営法施行規則第二条第三項において更に詳細に以下のように定められています。
二 テレビゲーム機(勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有するもの又は遊技の結果が数字、文字その他の記号によりブラウン管、液晶等の表示装置上に表示される機能を有するものに限るものとし、射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く。)

風営法によるゲーム施設規制は一般的にゲームセンターと呼ばれるアーケードゲーム専用施設だけに及ぶものと思われがちですが、風営法で規制されるテレビゲーム機の定義は「勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有するもの又は遊技の結果が数字、文字その他の記号によりブラウン管、液晶等の表示装置上に表示される機能を有するもの」と、かなり幅広い概念であることが判ります。

この規定に基づけば実は凡そ全てのデジタルゲーム設備を客に提供する営業者は「風営5号業種」としての営業許可の取得が必要となってくることとなります。

勿論、eスポーツ施設やゲームカフェと呼ばれる施設もその例外ではありません。ところがこれは現実のものとして、一部の例外を除き、現在日本国内に存在するeスポーツ施設、もしくはゲームカフェと呼ばれる業態の殆どは、風営法上の営業許可を取得しないまま営業を行なっている違法状態にあるのが実態。

これが、私が先のエントリ内で述べた景表法問題の次に待ち構えるeスポーツ業界における次なるリスクであるわけです。

ただし、多くのeスポーツ施設も何の準備もなく無許可の店舗営業を行なってるワケではなく、多くの場合は一応の「言い訳」とでも言いましょうか、申し訳程度の「自店が風営許可を取らなくても良い理論武装」を準備しています。その多くはとても理論武装とは呼べない「紙装甲」であるわけですが、一応私が知る限りその類型には大きく以下の3つが存在します。

1)「ゲームは客が持ち込んだもの(&忘れていったもの)」

これは家庭用ゲーム機を中心とした提供を行なっているゲームカフェなどの業態に多い説明であります。店舗内に存在するゲームは「あくまで客が持ち込んだものであり、店が準備したものではない」という論法を使って、自施設はゲーム施設ではなくあくまで飲食店であるとの主張を展開している業者があります。

このような業者によって運営される店舗では、ご丁寧に店内に設置しているゲーム機に1つずつ客の名前を書いたシールを張り「店のものではない」アピールをしているケースも見うけられるワケですが、「客が忘れたもの」と主張するゲーム機をその他の客に利用させ、ましてやそれをもって「ゲームカフェ」として集客を行なうなど、論理矛盾が噴出していることうけあい。

そもそも、風営5号営業の運営許可を取得しているゲームセンターに設置されているゲームの中には、いわゆるリース形式で所有権がゲームセンター業者とは異なる第三者に帰属する設備も存在しておるわけですが、それらは全て風営法上は「営業に使用されている遊技機」として認知されているわけです。

即ち「設備を設けてゲームを遊技させているかどうか」という風営法上の判断は、ゲーム機そのものの所有権がどこにあるのかを基準に判断されているのではなく、営業の実態としてそのゲーム設備が営業者から客に提供されているかどうかが基準になるということ。

勿論、究極的には裁判所による判断を仰ぐこととなるのでしょうが、少なくとも警察に対してはこの「ゲームは客が持ち込んだもの」という論法は通用しないものと思われます。

一方で、例えば携帯用ゲーム機やスマホゲーなどを中心として、客が店舗にゲームを持ち込んでいることが明確であり、ゲーマーにコミュニティスペースを提供することだけを目的とする店舗の展開は、「営業者が遊技設備をもって客に遊ばせている」とは言えず風営法の規制範疇からは除外され得るのではないか?と考えているところ。この辺りは、今後のeスポーツ施設を巡る論議課題であると言えます。

2)「ウチはあくまでインターネットカフェ」

次に見られる論法がPCゲームを主体とするゲーム施設が主に主張する「当店はあくまでインターネットカフェであり、ゲーム施設ではない」と主張するものです。PCゲームの設備提供は、必ずしもゲームだけに使用されるワケではない汎用PCを客に利用させる形で行なわれるものであり、施設の外形上はいわゆるインターネットカフェと類似したものとなります。

本シリーズ投稿の第一稿で論じたとおり、インターネットカフェはそれが適正に運営されている限りにおいて風営法の規制対象「外」となる営業種であり、PCゲームを主体として提供するゲーム施設の多くは「あくまでインターネットカフェ」の体を貫くことで風営法上の営業許可の取得が不要であることを主張しています。

この点に関して、現状では警察庁側から風営法上規制対象とならないインターネットカフェと、規制対象となるPCゲーム施設との明確な線引きは示されておらず、今回ご紹介する幾つかある店舗側の主張の中では最も「グレーゾーン」に近いと言っても良い営業形態といえるでしょう。現時点では先述の風営法施行規則第二条第三項に示される「射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く」とされる規定をどの様に解釈するかの争いとなろうかと思われます。

但し、現在存在するPCゲームを主体とするゲーム施設の中には「ゲーミングPCを完備!」や「ゲーミングチェア導入」などとして、明らかにインターネットカフェではなくゲーム施設としての集客を行なっている業者が散見されます。

これまで行なわれてきた所轄警察署によるインターネットカフェに対する指導では、汎用PC上で客がゲームを遊ぶことが可能であることは容認されるものの、一方でことさらにゲーム利用を即すような表現をもって店内案内や集客を行うことに対して指導が行なわれた過去の事例も私自身は聞き及んだことがあるところ。

例え汎用PCを使った営業者であっても、厳密に詰めてゆけば風営法施行規則上で規制上の例外とされている「射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らか」とはいえない営業を行なっている営業者に関しては、風営法上の無許可営業が適用されると判断されるのではないかと個人的には考えているところであります。

(本稿は次エントリに続きます)

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