自分に睡眠負債が溜まっているかどうかを調べるのに、いちばん簡単な方法。それは、日中に眠気を感じるかどうかだ。
健康な人でも午後2時頃に眠くなる「アフタヌーンディップ」と呼ばれる現象が起きることが知られている。多くの人は「食事をとると消化のために腸に行く血液が増えて、血液が脳に行かなくなるから」と思い込んでいるが、それは間違いだ。スタンフォード大学の研究によれば、昼食は午後に起きる眠気の襲来とは関係ない。
とすればなぜか? スタンフォード大学医学部教授で、現在同大学睡眠生体リズム研究所の所長を務める西野精治氏は、その原因の一つが「睡眠負債によって睡眠圧が増してくること」であるとする。「霊長類はよく昼寝をしますので、『アフタヌーンディップ』はその名残りかもしれません。ただ、昼寝をしない人類でも、睡眠負債は午後の眠気としてもっとも敏感に反映されます」(西野氏)。
つまり日中の眠気は、睡眠負債の蓄積のサインである可能性が十分にある。もし、日中、眠くなることがあれば、睡眠負債の蓄積を疑ってみた方がいい。西野氏の恩師にあたるデメント氏も、「人が大量の睡眠負債を抱えると、どんな状況下であれ、眠りやすくなります」と話している。
そしてこの日中の眠気は、仕事や家事といった日常生活のパフォーマンスを低下させるのはもちろん、時には重大な危険を引き起こす原因となることがある。
睡眠負債が認知症のリスクを高め、男性の前立腺がん、女性の乳がんの発症の可能性も上げる、というデータが報告されているのです。
ちなみに、「睡眠負債を解消するための方法について、専門家たちは、口を揃えて、「もっと眠ること」だと言っています。
「摂取カロリーを減らせば痩せる」というのと同じくらい自明の理ではあるのですが、万人に通用する「裏技」的なものは存在しないみたいなんですよ。体質的に睡眠時間が短くても大丈夫な「ショートスリーパー」も存在するようですが、人口の1%にも満たず、多くの人は「自分が睡眠時間が短くても大丈夫」だと思い込んでいるだけなのです。
この本を読んでいると、「睡眠に対して、自分が誤解していたこと」の多さに驚かされます。
そして、「眠りとアルコール」についてのこんな知識は、持っておいたほうがよさそうです。
寝酒を睡眠薬代わりにする人もいるようですが、微量のアルコール摂取は脳の興奮を促し、かえって眠れなくなります。多量のアルコールで眠くなる経験はあるかもしれませんが、アルコールには眠気を誘発する効果はありません。覚醒を抑制する効果があるだけで、それによって本来ある眠気が出てくるだけです。
結論から言えば、お酒は飲まない方がいいです。逆効果です。飲みすぎると睡眠の質が悪くなります。微量だと興奮性の作用がありますので、寝つきが悪くなります。お酒を飲んだ時は基本的にはよい睡眠はできないと思った方がいいです。寝る3時間前にワインなら1、2杯、日本酒なら1、2合程度。それならアルコールが抜けますから。
寝る前に緊張して寝つきが悪い人は軽いストレッチ、ヨガ等、あまり無理をしない程度、時間なら5分ぐらい、ほんのわずか体温を上げる程度の運動をすればいいでしょう。
「アルコールで眠くなる」わけじゃないんですね。
そして、「寝る直前に飲む」のは、とくに良くないみたいです。
というか、飲むとかえって眠れなくなったり、眠りの質が落ちたりするのです。
知っているようで、知らなかったり、誤解していることも多い「睡眠」の話。
一度は読んでおいて、損はしないと思います。

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