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「陸山会」裁判の東京地裁判決について(6):事件の背景・動機i (小沢事務所と企業の癒着)

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はじめに

(1)小沢一郎元民主党代表の元秘書ら3名の東京地裁判決については、昨年、このブログで何度か投稿してきました。

検事調書不採用で小沢一郎元秘書ら3名は「陸山会」裁判で「無罪確実」!?

「陸山会」裁判の東京地裁判決について(1)

「陸山会」裁判の東京地裁判決について(2):「西松建設」違法献金事件

「陸山会」裁判の東京地裁判決について(3):土地取得をめぐる事件

「陸山会」裁判の東京地裁判決について(4):虚偽記載・不記載の一覧表(不記載・虚偽記載総額約18億5261万円)

「陸山会」裁判の東京地裁判決について(5):西松建設総務部長兼経営企画部長証言問題

(2)上記「(5)」を書いたのは昨年11月上旬で、それから2ヶ月余りが経過してますが、この連載は、まだ終わってはいません。

その後、「小沢事務所と業者の癒着」「検察の問題点」について、それぞれ投稿する予定でしたが、以上書いた時点で、他の問題について投稿することを優先しましたし、小沢一郎氏本人の裁判で新たな事実も判明したので、連載の続きを投稿してきませんでした。

そろそろ、残りの2つを書いて、この連載を終わりにしたいと思っていますから、まず、以下では、「小沢事務所と業者の癒着」について投稿します。

(3)久しぶりなので、元秘書ら3名の東京地裁判決について簡単な確認をしておきましょう。

「陸山会」裁判で東京地裁が小沢一郎氏の元秘書3名をそれぞれ有罪とする判決を下しました。

この判決は3名を有罪にした結論の点で言えば、共謀の一部を認定しなかったものの、検察側の立証のほとんどを認めました。

また、判決理由の点でも、必ずしも検察側の説明を全面的に認めているわけではないものの、特に西松建設違法献金事件の背景と土地取得事件の動機につき検察側の主張を認めた。

検察の捜査や立証のあり方の問題点については、被告人大久保氏の共謀の認定における問題とともに、次の連載最後の投稿で取り上げるとして、以下では、事件の背景・動機の認定について紹介し、私見を書くことにします。


1.西松建設違法献金事件の背景としての「天の声」

(1)西松建設違法献金事件につき、検察側は、その冒頭陳述(2009年12月16日)によると、

第一に、起訴事実になっている2003年以降2006年までの違法献金だけではなく、それ以前の1997年以降の複数の小沢関係政治団体への違法献金も列挙して、違法献金が長年行われていることを説明していました。

第二に、1995年以降「小沢事務所」から「天の声」を得て公共工事を受注するために違法な献金を増額したことを説明していました。

(2)これに対し、東京地裁判決は、いずれも検察側の説明を認めました。

その際、まず、以下のような事実認定をしました。

①東北地方では昭和50年代から公共工事の受注業者を、鹿島建設の業担(談合担当者)を仕切役とする談合により決めていた。

②遅くとも昭和50年代終わり頃から岩手県下の公共工事の談合における本命業者の選定に関し小沢事務所の意向が決定的な影響力を持つようになり、その了解がなければ本命業者になれないという状況になった。

③秋田県下の公共工事についても、小沢が支援する候補が秋田県知事に当選したことなどを契機として97年頃から同様の状況となった。

④そこで、岩手県等の公共工事の受注を希望するゼネコンは、小沢事務所の担当の秘書に対し、談合において本命業者になることの了解を与えて欲しい旨の陳情に赴き、当該秘書の了解が得られると、鹿島建設の業担担当者にその旨を連絡していた。

⑤この連絡を受けた当該業担は当該秘書に確認を取るなどした上で小沢事務所の意向に沿ったゼネコンを本命業者とする談合を取りまとめ、この談合に沿った入札・落札が行われ、本命業者が受注業者として決定されていた。

⑥そのため、小沢の秘書から発せられる本命業者とするとの了解は、ゼネコン各社にとっては「天の声」と受けとめられていた。

⑦以上は、鹿島建設の業担はもとより、西松建設、大成建設、大林組、清水建設、鉄建建設の各営業担当者らが具体的な工事との関係も示すなどしながら、一致して認めている(検察官調書)。

(3)そして判決は、被告人大久保隆規が2002年、2003年頃から、それまで「天の声」の発出役を務めていた小沢の秘書に代わって「天の声」を発出する役割を担うようになった、と事実認定しているのですが、被告人がそれを否認の供述をしていることについて次のように判示しました。

①被告人が「天の声」を発出していたことも鹿島建設、西松建設、大成建設等の各営業担当者らが一致して認めている(検察官調書)。

②小沢事務所が建設業者から陳情を受けた内容やそれに対する対応を記載した書面が綴られた青色ファイル1綴の中には、被告人が大林組の陳情について前任の秘書から聞いた旨の記載がなされ、この陳情は「簡単には認めない」と被告人が自ら記載した書面が綴られている。

②ほかの書面(ここでは詳細は省略)も含め、被告人は、それらを自ら記載した旨認めている(被告人第17回速記録)。

③被告人は、2003年頃、鹿島建設の業担担当者から「築川ダムのトンネル工事については西松建設ということでよろしいでしょうか」などと確認され、「そういうことで結構です」などと答えたこと、2005年初め頃、西松建設東北支店長から遠野第2ダム建設工事を西松建設が受注できるように力添えをしてほしいとの陳情を受けたとき、「よし、分かった、西松にしてやる」などと言ったとされること(検察官調書)につき、具体的にそうだったかとまでは思い出せないが、そういう虚勢を張って何か言ったように思いますと述べている(被告人第7回速記録)。

(4)判決は、このように判示し、被告人の「天の声」否認の供述を信用できないとして退け、工事の落札業者と小沢関係政治団体のゼネコン別寄附収入等を比較すると、実際の落札はそのような状況を反映した結果と推認できると判示したのです。

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