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社会保障改革は「制度別」ではなく、全体で丸ごと行うべき - 「賢人論。」第60回駒村康平氏(中編)

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高齢化の進行にともない、年金・医療・介護の社会保障給付費が激増している。2017年度の給付費総額は約120兆円となり、これは約540兆円を計上する日本のGDPの20数%におよぶ。高齢化は今後も進み、団塊の世代の約800万人が75歳を超える2025年には、約150兆円が必要になると言われている。そのとき、日本の社会保障は持ちこたえられるのだろうか?社会保障の専門家として政府の政策決定にも関わっている駒村康平氏に、今後あるべき社会保障の姿について語ってもらおう。

取材・文/ボブ内藤 撮影/公家勇人

社会保障改革を進めるキーワードは「我が事・丸ごと」

みんなの介護 社会保障給付費が激増し、財政危機が叫ばれています。そんな中でさまざまな改革が行われていますが、事態は良い方向に進んでいるのでしょうか?

駒村 社会保障制度には年金や医療、介護に加え、児童福祉や障害者福祉、難病、それから生活保護などがありますが、財政改革がそれぞれの「制度別」に行われるところにむずかしさがあるんです。

例えば、2004年の年金改革で「マクロ経済スライド」を導入することが決まり、高齢化率の上昇に連動して年金水準を引き下げることになりました。この仕組みによって、年金財政は長期的には持続可能性を確保できることになったわけです。

しかし今後、医療や介護などの保険料を引き上げようとすると、手取り年金が少ないために病気や要介護になっても自己負担分を支払うことが困難になり、通院や介護サービスの利用をあきらめるケースが増えていくでしょう。あるいは、手取り年金が低くなり過ぎて生活保護を受給せざるを得なくなるケースが増えていくかもしれません。

このように、それぞれの制度の財政を維持するために改革を進めても、制度を利用できない人が増えてしまったり、他の制度の財政にしわ寄せがいってしまうことがあります。

人々の生活は制度ごとに成り立っているわけではありませんから、社会保障全体で生活が困難な人々を効果的に支えることが重要なのです。

みんなの介護 しかし、社会保障全体をいっぺんに改革するというのは、非常にむずかしいことではないですか?

駒村 まさにおっしゃる通りで、私自身、社会保障改革国民会議や社会保障審議会などで「制度横断的な議論をすべきだ」と発言してきましたが、なかなか前に進まない状況でした。

とはいえ、お先まっ暗かというと、そういうわけでもありません。

みんなの介護 …といいますと?

駒村 2006年以降、全国の市区町村が中心となって「地域包括ケアシステム」の整備を進めています。「住まい」「医療」「介護」「生活支援・介護予防」を包括的にサポートする仕組みです。

正直なところ、地域によって取り組みがうまく進んでいるところとそうでないところがあるのは確かなんですが、厚生労働省は次のステップとして「『我が事・丸ごと』地域共生社会実現本部」を設置して地域包括ケアの“深化”に取り組んでいます。

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