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金商法192条(緊急停止命令)と金融庁の新たなる旅立ち

本日、東京の某所で開催されました「第12回ふしぎな開示研究会」に出席してまいりました。月1回ペースですから、もう始まって1年が経過したのですね。本日も盛りだくさんの事例が取り上げられましたが、11月19日にSESC(証券取引等監視委員会)からリリースされましたZ社に対する「有価証券報告書等の不提出に係る課徴金納付命令勧告」などとともに、私にとりまして、やはり一番注目だったのが昨日(11月18日)SESCからリリースされました「D社およびその役員に対する金融商品取引法第192条第1項に基づく裁判所への申立てについて」であります。まさに「抜かずの宝刀」だった金商法192条の緊急停止命令申立てが、日本ではじめて活用されております。グーグルで検索してみましたところ、あまり取り上げられているブログなども見当たらないようであります(今後の金融行政への影響力、という意味でも、もう少し話題になってもいいのではないか、と)。

昨年6月のエントリ−「金商法157条と課徴金処分との親和性」でも触れておりましたとおり、昨年の金融庁SG(スタディ・グループ)報告書で積極的活用が望まれる、とされておりました金商法192条(緊急停止命令申立て)が、このたび初めて活用されました。金融庁は17日にD社を相手方として、東京地裁に金融商品取引法違反行為の禁止を命ずるよう、申立てを行ったそうであります。事案は、D社が金融商品取引業の登録を受けずに、S社の新株発行にあたって、投資家に取得勧誘を繰り返し行っており、今後も同様の違反行為を行う蓋然性が高いと認められたため、というものであります。黒沼先生のブログで「証券取引等監視委員会において、現在192条の使用が検討されている」とのお話が出ておりましたが、たぶん本件がその検討事例だったのかもしれませんね。

これまで金融庁は、登録・届出業者に対する監督を行う、というのが通常の業務であったと思いますが、この192条を行使する、ということは未登録業者、つまり言葉は少し悪いですが、「海のものとも山のものともわからない」業者さん方を調査して、証券市場の健全性を確保する、という未開拓の分野へと舟を漕ぎだしたものと言えるのかもしれません(インサイダー取引における一般人の調査とはまた違った意味で、新たな使命を担うことになったような・・・)。またそれ以上に、この規定は条文をお読みになるとおわかりのとおり、相当に包括的な条項としての色彩が強いものであります。つまり応用の効く条文となっておりますので、たとえ今回の申立てが本件に効果的とは言えないような事態が生じたとしましても、他の事案にも適用される前提が築かれたものと思いますし、「ひょっとしたら192条の申立てがなされるかもしれない」といった一般予防的効果が期待できるものではないかと。課徴金制度とは別に、金商法上の新たなエンフォースメントの誕生という意味で、今後の展開がとても気になるところであります。

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