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小池都知事に噛みついた小田原の温泉王、豊洲巡る銭闘の行方


【豊洲問題はどうなるか(AFP=時事)】


【万葉倶楽部の高橋弘会長】

「巨額を投じる豊洲の『千客万来施設』は当社の命運をかけた大事業。だからこそ、信頼関係を損なうような都知事の行為は許せない」

 こう憤るのは、日帰り温泉施設「万葉の湯」などを全国展開する、万葉倶楽部(本社・神奈川県小田原市)の高橋弘会長(82)である。

 東京都が豊洲市場を活性化させるために開設を掲げた観光拠点「千客万来施設」の事業者が、公募によって万葉倶楽部に決定したのは2016年3月のこと。しかし昨年8月、万葉倶楽部は突如、事業からの撤退を示唆した。この4月25日が、事業実施の可否の回答期日だったが、「築地の再開発計画が明らかにならないと判断できない」と答え、豊洲市場の新たな問題点として注目されていた。

 話がこじれ始めたのは昨年6月、小池百合子都知事が築地市場の跡地に「食のテーマパークを作る」と発表したことに起因する。

「築地と豊洲は目と鼻の先。そんな場所に似たような商業施設ができれば、お客さんを食い合うことになって採算が採れなくなる。都知事に説明を求めても本人が出てくることはなかった。我々が事業の可否を判断する前に、まずは都知事に説明、そして謝罪してもらいたい」(高橋氏)

 また、東京都が要請した施設の整備設計の一時中止により着工の延期も決定。それにより、当初180億円と試算されていた総投資額は200億円まで膨らんでしまったという。

「我々はすでに約10億円を投じており、その補填を求めて東京都に損害賠償を請求しました。築地の業者には補填しているのだから、我々にも払われないとおかしい」(高橋氏)

 東京都は、「損害賠償は基本協定に基づき『応じられない』と伝えています」(市場政策課)と話した。高橋氏がここまで強硬な姿勢を見せる理由について、ある神奈川県の経営者はこう語る。

「今や『小田原の温泉王』と称される高橋さんは元々、家業の酒屋から写真DPE事業に進出して全国チェーンを築いた。その後、デジタルカメラの普及で将来性に見切りをつけ、温泉事業にシフトチェンジして成功。機を見るに敏な辣腕経営者です。豊洲事業は、自らのビジネスの“集大成”と位置づけているので、妥協はできないのでしょう」

 5月1日、小池都知事は万葉倶楽部を訪問した。しかし、「謝罪もなければ理解できる説明もなかった。これでは何も変わらない」と、高橋氏は顔をしかめたという。解決は遠い。

●文/伊藤博敏(ジャーナリスト)

※週刊ポスト2018年5月18日号

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