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米ニュースメディアが相次ぎ打ち上げる「ポッドキャスト」の新番組、聴取デバイスに「スマートスピーカー」も加わりすそ野拡大へ

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米国の有力なニュースメディアが「ポッドキャスト」の新たな番組の立ち上げに力を入れ始めている。

新しいポッドキャストが次々と

 先日も話題の「TicToc by Bloomberg」を覗いていると、予告通り同サービスがリーチ拡大のために「ポッドキャスト」を4月27日から新たに始めていた。TicToc by Bloombergは、ブルームバーグが4か月前からTwitterで提供しているライブの24時間ニュースチャンネルである。そのスナップショットを図1に示す。その時の視聴者数は43万人であった。硬派のコンテンツにもかかわらず人気を集めているようだ。

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図1 ブルームバーグがTwitterで提供しているライブの24時間ニュースチャンネル「TicToc by Bloomberg」

 そのTicToc by Bloombergに追加されたポッドキャスト番組では朝版のTicToc Todayと夕版の TicToc Tonightとがあり、それぞれ6分少々の音声で最新のニュースダイジェストを流している(図2)。 世界のニュースのスナップショットという位置づけで、随時更新されているようである。ただし平日のみ。

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図2 「TicToc by Bloomberg」のポッドキャスト。2018年4月末から開始。PlayerFMから

  また続いて出くわしたポッドキャストも興味深かった。テック系ニュースアグリゲータであるTechmemeが3月6日から始めた「Techmeme Ride Home」である。平日の東部時間17時に、約15分の音声でその日の注目テック系ニュースを紹介している。Techmemeサイトの特徴は、選ばれたニュース記事に対して識者のレベルの高いコメント(ツイート)が多く付記されていることだが、ポッドキャストでも注目すべきニュース記事へのコメント(識者のレベルの高いツイート)も選んで紹介している。

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図3 ニュースアグリゲーターのTechmemeもポッドキャストを立ち上げ

 このように、ニュースメディアが本気にポッドキャストに取り組むようになってきたのは、NYタイムズの大成功があったからであろう。

毎日100万人が聴き入る「The Daily」、NYタイムズのフロントページ的な存在に

 NYタイムズが2017年1月に立ち上げたポッドキャストThe Dailyの勢いは凄まじい。これまで280万回以上もダウンロードされ、毎日、平均すると100万人が聴いている。今やApple iTunesの Top 10 podcasts の常連だし、The AtlanticはThe 50 Best Podcasts of 2017 のナンバー1に挙げている。


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図4 NYタイムズのポッドキャスト「The Daily」。PODTRACによる2018年3月のU.S. Unique Monthly Audience ランキングでは第2位。

 パーソナリティーは同新聞の政治ジャーナリストのMichael Barbaro氏が務め、インタビューをベースにした約20分のエピソードを毎日(平日のみ)流している。ニュースの注目トピックスに関するコメントに加えて、そのトピックス関連者とのインタビューも目玉になっている。Barbaro氏の評判も高く、昨秋には雑誌Peopleで“sexiest newsmen alive” listと持てはやされていた。The Dailyがその日にどのようなコンテンツを取り上げたかまでがニュース記事になったりしている。
 今やThe Dailyは、NYタイムズの一部ユーザーにとって、新聞紙やサイトに代わる事実上のフロントページ的な存在になっているようである。聴取者の多くは、週に4~5回聴いているという。 BMW, Budweiser, Googleなどが大手広告主として付いている。同社CEOのトンプソン氏は今週の決算発表でもthe Dailyの成功を誇らしげに語り、このthe Dailyの成功手法をお手本にして、これからの進出するTVとフィルム分野(参考記事)での成果を目指すと意気込んでいた。


スマホでポッドキャストをいつでもどこでも聴取へ

 音声版ブログとして誕生したポッドキャストは、10年少し前から新しいネットサービスとして注目はされていた。アップルのiTunesでも2005年からポッドキャストの配信に着手しており、その2005年には”podcast"がオクスフォード英語辞典の新語として収録されたぐらいだから、その頃には既にかなり話題にはなっていた。
 ニュースメディアをはじめ多くのパブリッシャーも、その当時からポッドキャスト・サービスに手掛けていた。ただし一部の根強いファンに支えれらていたものの、ニッチな目立たないサービスの域を出ていなかった。例えばいち早くポッドキャストメニューを充実させていたGuardianは今も約20番組を備えているが、あまり注目されることはなかった。
 ところが、ポッドキャストの聴取デバイスがパソコンからスマホへとシフトするに従い、ポッドキャストに接するユーザーが増え始めた。Nielsenの調査によると、2017年には2390万人の米国人(18歳以上)が、最近の30日間にスマホでポッドキャストを利用していた。図5で示すように、2014年の930万人から、3年間で2.5倍以上も増えている。スマホだといつでもどこでも聴けるようになるので、1人当たりの視聴時間も増えている。

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(ソース:Nielsen)
図5 ポッドキャストの聴取デバイス。過去30日間でポッドキャストを聴いたユーザー数(聴取デバイス別)


 これからは聴取デバイスにスマートスピーカーも加わり、オーディエンスはさらに増えそう。Statistaの予測では、2021年には米国の月間のポッドキャスト・ユーザー数は1億1200万人に膨らむと見込んでいる。
 もともとポッドキャストでニュースを聴くオーディエンスはエンゲージメントが高いとされているだけに、ある程度の規模が期待できるとなると、パブリッシャーも気合の入れ方が変わる。これまで以上に人と金をつぎ込み、専任のパーソナリティを立てて、ポッドキャスト向けにオリジナルコンテンツを作り込んでいきたくなる。The Atlanticもポッドキャストの専門スタッフを募集している。
 世界の有力パブリッシャーの多くが、今年、注力する分野としてポッドキャストをあげているのも頷ける。ロイターが世界29か国(日本も含む)の主要パブリッシャーの編集者リーダー194人を対象に2017年12月に実施した調査によると、回答者の属する有力パブリッシャーが2018年に注力する分野として、58%の回答者がポッドキャスト、また同じく 58%の回答者が台頭してきたスマートスピーカー向けに特化した音声コンテンツにトライしていくと答えた。

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