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ダメな人でも偉くなれます

 さて世間では財務省の偉い人のセクハラが結構な問題にもなっているわけです。元より日本の政界では政策面の誤りは許されても金銭問題と女性問題は命取りと相場が決まっています。どうしても与党筋の問題の方が世間の注目が高くなる一方、新潟では野党系の知事がひっそりと女性問題で辞職しました。政策的な誤りの方が国民の生活への影響は遙かに甚大ですが、「個人的にオイシイ思いをする」ことをこそ我々の社会は許さないのです。

 どこも対立勢力に攻撃材料など与えたがっているはずもなく、閣僚や高官への起用ともなれば当然「身辺調査」は行われているはず、無用なスキャンダルを抱えていないであろう人を選んでいると考えられます。しかし、週刊誌がその気になりさえすれば速やかに問題が見つかるのも事実です。果たして週刊誌記者の調査能力が秀でているのか、それとも「人事権を持った人」の目がことごとく節穴であるのか――皆様はどっちだと思いますか?

 まぁ政党や官僚の世界は知りませんけれど、民間企業だったら「明らかにヤバい奴」が普通に出世していたりするわけです。部下や同僚から見れば問題だらけの人物であっても、不思議と「人事権を持った人」の目には欠陥が見えない、そういうものなのでしょう。かくして機能しない組織が作られる、仕事の出来ない人やパワハラが習慣の人に権力が与えられるものです。これぞ「民間なら当たり前」のことと言えますが、霞ヶ関と民間企業の差はどれほどでしょうね。

 第三者を一目で呆れさせるセクハラおじさんを昇進させたのが財務省でありますが、「コイツの存在が知れたら赤っ恥」とは考えられなかったのかどうか――やはり「人事権を持った人」は普通の人とは目の付け所が違うようです。振り返れば男性ばかりの理系の世界でも、若くして理化学研究所のユニットリーダーに上り詰めた女性がいました。「リケジョの星」などと讃えられた彼女は――不正が発覚して失脚、利権の権威を貶めるのに大いに貢献しました。やはり理研でも「人事権を持った人」は目の付け所が違ったのだと思います。

 もっとも偉い人に限らず組織における人間間の「信頼」は大いに怪しいものだな、と感じないでもありません。例えば私の勤務先の場合、非公開の社内情報は速やかに井戸端会議を通じて拡散されるのが常です。発令前の人事情報は元より幹部限りのはずの通知事項も秘密裏に進められているはずのプロジェクトも、常に公開前に知れ渡っていたりします。誰かが情報をリークして、それを聞いた人は「ここだけの話」とオトモダチに披露する、そこからさらに先のオトモダチへと機密は伝達され、日数を要することなく全社に知れ渡る、至って普通の日常です。

 よく新聞には「ある与党議員によると」「ある○○省高官によると」云々と、出所不明な情報が踊っています。内部告発なら別として、安易に内部情報を漏らすような輩は人間的に信用できませんけれど、そういう人も多いのでしょう。どこもかしこも、口というより頭の緩い人でいっぱいです。だからこそ格好の取材源にもなる、女性記者と一緒に食事でもさせてやれば尚更のこと倫理意識も緩んでネタを吐き出してくれるだろうと、そう受け止められてきたフシもありそうですね。しかるに「ここだけの話」は必ずしも「ここだけ」では終わらないものです。

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