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- 2010年09月30日 01:38
法律家も気付いていない(と思う)監査法人の法的責任問題
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ちょっと大げさなタイトルで、ひょっとしたら私だけが気付いていなかったのかもしれませんが、昨年の日本監査研究学会(西日本支部)で特別講演をさせていただいたときの反応や、今年6月の会計不正シンポで登壇させていただいたときのご質問等から、「なんでだろう?」と疑問に思っていたことが、どうやら少しばかり理解できてきました。いや、理解というのは言い過ぎで、少しばかり問題意識を共有できるようになったように思います。
いままで「粉飾決算の監査見逃し」に関する会計監査人の法的責任が問われる場面といいますと、会社側の偽装工作を現場の会計監査人が見抜くことができず、「一般的な監査人に要求される注意(相当な注意)をもって監査すれば見抜けた」か否かが争点となることがほとんどだったように思います。この「一般的な監査人であれば」というのは、監査調書や監査報告等から、現場の監査責任者の業務を注視して、そこに過失があったかどうかを判断するわけであります。「監査法人の過失」といいましても、それは手足となって法人の監査証明業務を執行する現場担当者の過失を認定する、というものであります。
しかし、昨年の監査研究学会での発表の際、時間がなくなって「チーム医療に関する平成20年以降の最高裁判決の紹介」を(ここはあんまり重要ではないから省略しよう、との思いから)飛ばして解説させていただいたところ、後で多くの会計士の方から「なぜ、一番聞きたかったところを解説しなかったのか?」「あのチーム医療の責任負担のところは、また別の機会に解説してほしい」等との感想を多数いただきました。また、今年の不正会計シンポでも司会の方が、しきりに「品質管理担当者は同じように法的責任は負わないのですか?」「信頼の原則というのは品質管理者にとって有利なのか不利なのか?」といったご質問を受けました。(学会での発表の時、私はおそらく監査役と会計監査人の連携・協調のなかでの責任分担を説明すべく、チーム医療に関する判例解説を用意していたものと記憶しております。)
監査における「品質管理」の重要性、というものは、おそらく法律家にはあまりなじみのないものでして、現場の会計監査上の過失と並列的に考える・・・というのはどこか違和感があります。どうして監査法人の方々は、こんなに「品質管理云々」と問題視するのだろうか・・・という点は(おそらく私だけではなく)法律家にとってはよく理解できていないところではないか、と思われます。2005年10月に「品質管理基準」が出来上がったようでありますが、これは監査法人に対して向けられたもので、どちらかといいますと組織体制や業務管理、ルール作りを志向しているように思われます。私などは、「品質管理」といいますと、現場の会計士の質の確保に向けられている・・・というイメージを持っておりますが※、それよりもむしろ監査法人自身が監査証明業務を行うわけですから、全体としての監査法人による「監査の質の確保」というのが本来の趣旨に近い理解ではないでしょうか。(「法律事務所全体としての質の確保」というイメージはあまり聞かないですし・・・・笑)
※・・・よく考えてみると、「現場の会計士の質の確保」というのは、どうやってその質を検証するのでしょうか?会計士さんの監査証明業務というのは、そもそも「事故なく100点満点」をとってあたりまえの世界ですし、業務の性質上「会計士人気ランキングベスト10!」のようなことも考えられませんし。。。やはり「監査法人全体としての監査証明業務の質を確保する」と考えたほうが自然なように思いますが。(「新版・公認会計士法」羽藤秀雄著55頁以下参照)
いままで「粉飾決算の監査見逃し」に関する会計監査人の法的責任が問われる場面といいますと、会社側の偽装工作を現場の会計監査人が見抜くことができず、「一般的な監査人に要求される注意(相当な注意)をもって監査すれば見抜けた」か否かが争点となることがほとんどだったように思います。この「一般的な監査人であれば」というのは、監査調書や監査報告等から、現場の監査責任者の業務を注視して、そこに過失があったかどうかを判断するわけであります。「監査法人の過失」といいましても、それは手足となって法人の監査証明業務を執行する現場担当者の過失を認定する、というものであります。
しかし、昨年の監査研究学会での発表の際、時間がなくなって「チーム医療に関する平成20年以降の最高裁判決の紹介」を(ここはあんまり重要ではないから省略しよう、との思いから)飛ばして解説させていただいたところ、後で多くの会計士の方から「なぜ、一番聞きたかったところを解説しなかったのか?」「あのチーム医療の責任負担のところは、また別の機会に解説してほしい」等との感想を多数いただきました。また、今年の不正会計シンポでも司会の方が、しきりに「品質管理担当者は同じように法的責任は負わないのですか?」「信頼の原則というのは品質管理者にとって有利なのか不利なのか?」といったご質問を受けました。(学会での発表の時、私はおそらく監査役と会計監査人の連携・協調のなかでの責任分担を説明すべく、チーム医療に関する判例解説を用意していたものと記憶しております。)
監査における「品質管理」の重要性、というものは、おそらく法律家にはあまりなじみのないものでして、現場の会計監査上の過失と並列的に考える・・・というのはどこか違和感があります。どうして監査法人の方々は、こんなに「品質管理云々」と問題視するのだろうか・・・という点は(おそらく私だけではなく)法律家にとってはよく理解できていないところではないか、と思われます。2005年10月に「品質管理基準」が出来上がったようでありますが、これは監査法人に対して向けられたもので、どちらかといいますと組織体制や業務管理、ルール作りを志向しているように思われます。私などは、「品質管理」といいますと、現場の会計士の質の確保に向けられている・・・というイメージを持っておりますが※、それよりもむしろ監査法人自身が監査証明業務を行うわけですから、全体としての監査法人による「監査の質の確保」というのが本来の趣旨に近い理解ではないでしょうか。(「法律事務所全体としての質の確保」というイメージはあまり聞かないですし・・・・笑)
※・・・よく考えてみると、「現場の会計士の質の確保」というのは、どうやってその質を検証するのでしょうか?会計士さんの監査証明業務というのは、そもそも「事故なく100点満点」をとってあたりまえの世界ですし、業務の性質上「会計士人気ランキングベスト10!」のようなことも考えられませんし。。。やはり「監査法人全体としての監査証明業務の質を確保する」と考えたほうが自然なように思いますが。(「新版・公認会計士法」羽藤秀雄著55頁以下参照)



