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- 2010年09月24日 02:37
社外取締役制度の強化について(大証金商法研究会)
9月16日に大阪証券取引所のHPにアップされておりました大証金融商品取引法研究会「公開会社法制の検討・社外取締役制度の強化について〜日米における近年の動向を概観しつつ〜」をじっくりと読ませていただきました。この大証さんの研究会は毎回、会社法、金融商品取引法に関連するテーマを東西の学者さん方がご議論されるのですが、「法の解釈の枠組み」がさすがにしっかりとしておりますのでたいへん勉強になり、とても楽しみにしております。また、こういった一流の商法学者の方々の議論にしては、ほとんど発言内容の修正なしで議事録が作成されておられるようでして、(テレビ会議も活用されておられるようですが)議論の場の空気まで伝わってくるようであります。
今回も神戸大学法科大学院のY教授(私と修習同期)が社外取締役制度の強化に関するテーマを中心にご発表されていらっしゃいます。私のブログでもすこし問題提起をして、常連の皆様方からご異論を多数頂戴した「証券取引所に届出のなされた独立役員の法的責任」問題・・・・・、これがまた著名な大先生方のご異論・ご批判の嵐のなかでY教授が孤軍奮闘されるわけで、これに対する諸先生方の反論がなかなかキビシイ・・・・・(涙)。社外取締役制度につきましては、いわゆる制度化の問題と社外要件の厳格化(独立性強化)の問題が一般的ではありますが、こういった問題についても「顔洗って出直してこい!!」的なご発言が多数を占めておられるようでして、法律家が「社外取締役」問題を人前で話すことが、これほどムズカシイものであることは、このご議論を拝読して本当に身にしみたような次第であります。(汗)ちなみにY教授の名誉のために申し上げますが、Y教授は個人的な意見とは別におそらく問題提起、という意味で社外取締役制度の強化論を展開されたのではないかと思います。しかし、そもそも諸先輩の先生方のご意見が法律家としての「正論」なのですから、「世の中の空気がこうなっています」的な発言では到底太刀打ちできないことを悟りました(笑)
やはり社外取締役制度を制度論だけで議論しても、なかなか建設的な議論には向かないようであります。アメリカでさえ過半数の社外取締役を導入してうまく機能していない、ということをどう解釈するのか、「うちはいらんねん。うまいこと社内の役員だけで回ってるねん」とおっしゃる経営者に、なぜ「よそ者」を平時から導入しなければいけないというのか、その根拠はどこにあるのか、「よそ者」なら社外監査役でもいいのに、なんでこれと別に社外取締役をいれないといけないのか、といったあたり、開示規制と区別された行為規制の問題として解説することは非常に困難が伴う問題ですね。決して社外取締役制度そのものが悪い、というわけではなく、入れたいところは入れたらええねん、入れたことを宣伝したらええねん、でも入れたくないところに入れんとあかん、というのはそもそも法制度を変えなければいけないような弊害もなければ、メリットもない、ふさわしい人間もそんなにおらんやろう・・・というあたり、やはりソフトローだとか、開示規制、(先日の)機関投資家による議決権行使結果開示などによって検討していかねばならないのでしょうねぇ。。。いままでいろんなガバナンスの本を読みましたが、今回の研究会議事録が一番勉強になったような気がいたします。。。
ちなみに独立役員の届出制度で「独立役員」に就任した社外役員につきましては、会社法で定めた義務以上の、なんらかの注意義務の加重、ということは理論的にありえない、との意見が学者先生のなかでは通説でございます。会社と取締役間における任用契約によって独立役員になるのではなく、あくまでも取引所からの要請によって独立役員が届出されるわけですから、「期待される役割」はあっても、「注意義務の水準が上がる」ということにはならない、もし何か問題が発生すれば、その具体的な問題ごとに善管注意義務違反の有無が判断されるだけであり、たまたま「独立役員」に就任していたことはとくに個別判断においては考慮すべき問題ではない、ということのようであります。なるほど、たしかに独立役員に就任したことによって取締役としての注意義務のレベルが上がることはないかもしれません。しかし、取締役の善管注意義務を議論するにあたっては、経営判断に関与するような作為義務の履行とは別に、取締役会を通じての監視義務のように不作為による義務違反、といった問題もあろうかと思われます。この不作為による善管注意義務違反を議論するにあたりましては、たとえば取締役が「財務担当」であったり、監査役間で業務分担したり、といった社内合意の結果が「違反の有無」、つまり各人の注意義務の程度に影響するようなことにはならないのでしょうか。もし影響するのであれば、たとえば社内の取締役や監査役の合意によって、たまたま「独立役員」就任に同意した場合、たとえその役員の注意義務のレベルが上がることはなくても、他の役員は信頼の原則によって監視義務違反や内部統制構築義務違反が免責されるのに、独立役員だけは免責されない、といった事態は考えられないのでしょうか。(「財務担当」や「監査業務の分担」ほど、内容が明確になっていないので、そもそも「独立役員」というだけで法的責任を異にする・・・というのもおかしいかもしれませんが。。。)私自身も独立役員ですので、あまり厳格な法的責任が問われない方向で考えたいですし、実際には責任限定契約がありますので、とくに大きな影響を及ぼすことはないとは思うのでありますが、理論的には、そのあたりがいまひとつ疑問の残るところであります。
今回も神戸大学法科大学院のY教授(私と修習同期)が社外取締役制度の強化に関するテーマを中心にご発表されていらっしゃいます。私のブログでもすこし問題提起をして、常連の皆様方からご異論を多数頂戴した「証券取引所に届出のなされた独立役員の法的責任」問題・・・・・、これがまた著名な大先生方のご異論・ご批判の嵐のなかでY教授が孤軍奮闘されるわけで、これに対する諸先生方の反論がなかなかキビシイ・・・・・(涙)。社外取締役制度につきましては、いわゆる制度化の問題と社外要件の厳格化(独立性強化)の問題が一般的ではありますが、こういった問題についても「顔洗って出直してこい!!」的なご発言が多数を占めておられるようでして、法律家が「社外取締役」問題を人前で話すことが、これほどムズカシイものであることは、このご議論を拝読して本当に身にしみたような次第であります。(汗)ちなみにY教授の名誉のために申し上げますが、Y教授は個人的な意見とは別におそらく問題提起、という意味で社外取締役制度の強化論を展開されたのではないかと思います。しかし、そもそも諸先輩の先生方のご意見が法律家としての「正論」なのですから、「世の中の空気がこうなっています」的な発言では到底太刀打ちできないことを悟りました(笑)
やはり社外取締役制度を制度論だけで議論しても、なかなか建設的な議論には向かないようであります。アメリカでさえ過半数の社外取締役を導入してうまく機能していない、ということをどう解釈するのか、「うちはいらんねん。うまいこと社内の役員だけで回ってるねん」とおっしゃる経営者に、なぜ「よそ者」を平時から導入しなければいけないというのか、その根拠はどこにあるのか、「よそ者」なら社外監査役でもいいのに、なんでこれと別に社外取締役をいれないといけないのか、といったあたり、開示規制と区別された行為規制の問題として解説することは非常に困難が伴う問題ですね。決して社外取締役制度そのものが悪い、というわけではなく、入れたいところは入れたらええねん、入れたことを宣伝したらええねん、でも入れたくないところに入れんとあかん、というのはそもそも法制度を変えなければいけないような弊害もなければ、メリットもない、ふさわしい人間もそんなにおらんやろう・・・というあたり、やはりソフトローだとか、開示規制、(先日の)機関投資家による議決権行使結果開示などによって検討していかねばならないのでしょうねぇ。。。いままでいろんなガバナンスの本を読みましたが、今回の研究会議事録が一番勉強になったような気がいたします。。。
ちなみに独立役員の届出制度で「独立役員」に就任した社外役員につきましては、会社法で定めた義務以上の、なんらかの注意義務の加重、ということは理論的にありえない、との意見が学者先生のなかでは通説でございます。会社と取締役間における任用契約によって独立役員になるのではなく、あくまでも取引所からの要請によって独立役員が届出されるわけですから、「期待される役割」はあっても、「注意義務の水準が上がる」ということにはならない、もし何か問題が発生すれば、その具体的な問題ごとに善管注意義務違反の有無が判断されるだけであり、たまたま「独立役員」に就任していたことはとくに個別判断においては考慮すべき問題ではない、ということのようであります。なるほど、たしかに独立役員に就任したことによって取締役としての注意義務のレベルが上がることはないかもしれません。しかし、取締役の善管注意義務を議論するにあたっては、経営判断に関与するような作為義務の履行とは別に、取締役会を通じての監視義務のように不作為による義務違反、といった問題もあろうかと思われます。この不作為による善管注意義務違反を議論するにあたりましては、たとえば取締役が「財務担当」であったり、監査役間で業務分担したり、といった社内合意の結果が「違反の有無」、つまり各人の注意義務の程度に影響するようなことにはならないのでしょうか。もし影響するのであれば、たとえば社内の取締役や監査役の合意によって、たまたま「独立役員」就任に同意した場合、たとえその役員の注意義務のレベルが上がることはなくても、他の役員は信頼の原則によって監視義務違反や内部統制構築義務違反が免責されるのに、独立役員だけは免責されない、といった事態は考えられないのでしょうか。(「財務担当」や「監査業務の分担」ほど、内容が明確になっていないので、そもそも「独立役員」というだけで法的責任を異にする・・・というのもおかしいかもしれませんが。。。)私自身も独立役員ですので、あまり厳格な法的責任が問われない方向で考えたいですし、実際には責任限定契約がありますので、とくに大きな影響を及ぼすことはないとは思うのでありますが、理論的には、そのあたりがいまひとつ疑問の残るところであります。



