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山口達也メンバー送検。「メンバー」と呼ぶ理由は

人気アイドルグループTOKIOの山口達也メンバーが書類送検されました。事件の内容には触れませんが、この手のニュースで常々話題になってきたのが「メンバー」という呼称です。その点を解説した記事もしばしば目にしますが、結構わかりにくい。そこで、自分の新聞記者経験をもとに、なるべく分かりやすく解説してみます。

まず前提として、新聞(一般紙)やテレビでは、基本的に人物を呼び捨てすることはありません。「~さん」「~大臣」など、敬称や肩書きをつけます。ただ、スポーツ記事における選手と、芸能記事における芸能人は別。この場合は原則として呼び捨てです。同一人物でも社会面に載るかスポーツ・芸能面に載るかで、呼び方がかわります。

たとえば、スポーツ記事だと「イチロー、3千本安打」ですが、社会面では「イチローさんがチャリティ」「イチロー選手が義援金」となります。余談ですが、スポーツ面でも芸能面でも、なぜか監督やコーチ、マネージャー、演出家等のスタッフは呼び捨てにしません。あくまで「ジャイアンツの高橋監督」「オフィス北野の森社長」です。

話を戻します。事件記事の場合、もちろんスポーツや芸能ではないので、呼び捨てはしません。では、事件の加害者側・犯人側をどのように表記するのか。原則は以下の通りです。

逮捕されたら「容疑者」

   ↓

その後、起訴されたら「被告」

   ↓

刑務所に収監されたら「受刑者」「服役囚」(死刑判決なら「死刑囚」)

その例外はどうでしょう? 有罪判決だが執行猶予の場合、「元被告」だったり、「~さん」だったり、あるいは肩書き呼称だったり、判決からの期間や記事内容によってケースバイケースです。執行猶予中や「また不適切なことをやった」という記事なら「元被告」が多く、「更生してボランティア活動」という記事なら「さん」が多い、という感じでしょう。

今回の「山口メンバー」は書類送検です。書類送検と逮捕(身柄送検)の違いは「証拠隠滅や逃亡を防ぐため、身柄を拘束するかどうか」です。必ずしも罪の軽重とは関係がないという建前ですが、実際は書類送検から実刑判決が出るケースは少ないでしょう。「社会生活を営みながら更生することが可能」と判断されたからこそ、身柄を拘束されなかったという面もあります。

「容疑者」というレッテルは社会生活を営む上で障害となりかねないため、報道機関としても書類送検の場合は「容疑者」という表記を避ける場合が多いのです。ただ、犯罪の容疑があるのは事実で、「~さん」のように敬意を含んだ「敬称」をつけるのもおかしい、という意見もあります。そこで、比較的中立的な表記である「肩書き呼称」が多用されることになります。

もちろん、「~社長」「~課長」「~議員」「~弁護士」「~医師」「~コーチ」「~記者」「~監督」「~アナ」「~教授」「~七段」「~教諭」「~親方」「~理事長」など、一般的に呼称として使われている職業や肩書きなら、違和感はないでしょう。

ただ、常に都合の良い肩書きがあるとは限りません。スポーツなら「選手」という万能の肩書きがありますが、芸能人全般に通用する肩書きはなく、「島田紳助司会者」や「小泉今日子タレント」などという奇妙な呼称の出番となるわけです。

「山口達也メンバー」も、逮捕ではなく書類送検なので「メンバー」という肩書き呼称になったというわけです。被害者と示談が成立しているとすれば、起訴猶予の可能性も高く、なおさら「容疑者」と表記する必然性は薄くなります。「容疑者」という表記を避けているテレビ局のスタンスは今回の場合、自然なものといえるでしょう。

「メンバー」の呼称で思い出されるのは、元SMAPの「稲垣吾郎メンバー」の事件です。稲垣元メンバーはいったん逮捕されているので、「容疑者」と表記されてもおかしくはありません。新聞は「容疑者」表記が多かったのに、テレビでは「メンバー」という呼称が目立ったために、「ジャニーズ事務所への忖度ではないか」と議論を呼んだのも記憶に新しいところです。

ただ、必ず「容疑者」と表記すべきだった、とまでは言えないでしょう。逮捕後、稲垣メンバーは短時間で釈放されているので、状況的には書類送検に近いとも言えます。実際、起訴猶予にもなっています。背景に忖度があったのかどうかは分かりませんが、容疑者という表記を避けたことには、一応の筋が通っています。

とはいえ、「メンバー」「タレント」「司会者」等々という呼称に、違和感があるのも事実。報道の原則云々以前の問題として、日本語としておかしい。今はだれもかれも「~さん」と呼ぶ時代です。敬称だという意識はかなり薄れています。「容疑者をさん付けするな」という声も、昔に比べれば少ないでしょう。個人的には、適当な肩書きがない場合は「~さん」で構わないのではないか、と思っています。

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