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【朝鮮半島・南北首脳会談緊急企画】韓国のキーパーソンが語る北朝鮮の非核化、平和構築のための 「韓半島式」の可能性

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平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックを契機に、北朝鮮の対話ムードが加速している。金正恩朝鮮労働党委員長は3月26日、中国を訪問して習近平主席と会談した。
4月27日には韓国・文在寅大統領との首脳会談が開催され、またトランプ大統領との米朝首脳会談も予定されている。
朝鮮半島の戦争終結と平和構築のための歴史的な合意がなされるのか。盧武鉉政権時に韓国統一部長官として南北首脳会談の準備を企画総括した李在禎(イ・ジェジョン)氏に話を聞いた。

――4月27日に南北首脳会談が開催されます。その意義は?

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イ・ジェジョン  現在は京畿道教育庁教育監。2007年南北首脳会談当時、盧武鉉政権最後の統一部長官として会談準備を企画統括した。27日に予定されている南北首脳会談では、準備委員会諮問団委員。

今回、開催される南北首脳会談は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が1月1日の「新年の辞」で明らかにし、平昌五輪期間中に直接特使を派遣して文在寅(ムン・ジェイン)大統領と協議し、その後、文在寅大統領の特使が金正恩委員長を訪問して確定した。

この過程で南北は米朝首脳会談を推進することにした。文在寅大統領は米国に特使を派遣し、トランプ大統領に米朝首脳会談に向けた金正恩委員長の意志を伝えた。

それをトランプ大統領が電撃的に受け入れたことで、今年の首脳会談開催が発表された。その意味で最も重要な意義は、韓国・北朝鮮・米国の3者が、同時に意志を持って首脳会談を開催することで合意したということだ。

また、南北首脳会談が板門店「平和の家」で開かれることも非常に重要な意味を持っている。「平和の家」は南(韓国)の地であり、施設である。金正恩委員長が軍事境界線を越えて南にくる、最初の北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の最高指導者になるということだ。

――予想される議題は?

今回の南北首脳会談は大きな枠組みでの対話となるだろう。

朝鮮半島の非核化、米朝外交関係の正常化と北朝鮮体制への積極的な支援、朝鮮半島の平和構築が議題の中心にある。

過去数年間、北朝鮮が核実験とミサイル発射を行なうたびに、国際社会は国連安全保障理事会で強力な制裁決議をしてきた。とくに最近、米国は北朝鮮に対してあらゆる手段を動員し、最も強力な経済制裁による圧力を加えてきた。今回の首脳会談では、まず、金正恩委員長が韓国特使を通じて明らかにした「非核化の原則」と、それを推進するための基本的な原則を議論することになるだろう。

非核化の原則と行程については、すでに1994年の「ジュネーブ合意」から2005年の6カ国協議での「9・19共同声明」まで数多くの合意と履行の過程があった。今回の会談では、北朝鮮の核兵器とミサイル開発の全面的な廃棄の問題とともに、北朝鮮と米国の外交的な正常化を通して、北朝鮮の体制をいかに保証していくか、ということが話し合われるだろう。それは同時に、終戦宣言と朝鮮半島の恒久的な平和を実現するための、平和体制に関する議論でもある

北が核開発する目的

――統一部長官当時と今の南北関係はどのように変わりましたか。

当時、北朝鮮の核実験(06年10月)後、劇的に南北関係が改善され、1年後に第2回南北首脳会談(07年10月)が実現したが、その過程では、6カ国協議が南北対話と並行して行なわれており、南北対話の改善に重要な役割を果たした。ところが、過去10年間、南北関係は最悪の状態に陥り、国際社会は、北朝鮮に対して制裁と圧力の一辺倒であった。6カ国協議も米朝対話もすべて断絶された。

しかし、文在寅大統領の積極的で一貫した南北対話の提案と金正恩委員長の決断により、南北首脳会談のみならず、米朝首脳会談までその見通しが示された。朝鮮半島問題は、今も過去も、南北が強固な関係を築いた時、解決の道が開かれるということだ。

――南北の今後の課題は?

国際社会が主張するように、北朝鮮の核兵器は「完全、検証可能かつ不可逆的な廃棄」の段階までいかなければならないと考える。

ところが、北朝鮮が核兵器を開発する目的は、今年1月1日の金正恩委員長の「新年の辞」に非常によく現れている。結局、北朝鮮が核兵器を開発するのは、北朝鮮政権の安定維持と安全保障を担保するための手段、というのだ。そして、北朝鮮の目的は、米朝関係の正常化にある。もしそうであれば、北朝鮮が核開発することは、韓国を攻撃したり、米国を攻撃するためではなく、むしろ北朝鮮の主権を確保するため、北朝鮮政権を維持するためといった安全保障の上での意味合いが強い。そのような点で、北朝鮮の核兵器問題を解決するということは、結局、米朝関係の正常化と北朝鮮の体制の確保と言えるのではないか。

3月に韓国特使団が北朝鮮を訪問した際の金正恩委員長の発言、また、共同発表文によれば、北朝鮮への制裁と圧力が解消され、北朝鮮政権の尊重がなされれば、核兵器を持つ必要がないということだ。それが先代の遺訓という立場を確認することになるだろう。

――文在寅大統領が米朝会談を仲介したことをどう見ますか。

私たちは、韓米同盟関係の中で、朝鮮半島の安全を守ってきた。南北対話も、韓米関係の堅固な土台の上に可能である。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は、当時の南北首脳会談を準備しながら、私たちが国際社会よりも半歩後ろを行くことが正しいという原則を打ち出した。実際に、6カ国協議で北朝鮮の核問題を解決するための様々な具体的な議論が進展するに伴い、「2・13合意」がなし遂げられたわけだが、その時には南北閣僚級会談も開催可能だった。また、「10・3合意」直後には、南北は首脳会談で「10・4宣言」に署名した。こうして見ると、6カ国協議と南北会談はお互いに影響を与え合いながら進展してきたと言える。
2000年の南北首脳会談も米朝最高位級会談とかみ合って開催されたということも注目すべきである。朝鮮半島問題は南北会談だけで解決できる問題ではない。ここに、米朝会談や米中会談、6カ国協議が交わることで成功することができる。したがって、南北首脳会談は、米朝首脳会談と一緒に行なわれることで成功することができると言えよう

北東アジアの主導権

――トランプ大統領が金正恩委員長と会談する目的は何でしょうか。

米国政府は、リビア、イランなどとの核問題はもちろん、キューバとの国交を正常化するという外交の成功を遂げた。現在、米国に残っている課題は、対北朝鮮関係を解決することだけだ。

トランプ大統領にとっては、米国内の政治的地位を強化し、北東アジアでの外交的な主導権を行使し、米国の国益を最大化するために、金正恩委員長に会って外交的な成果をなすことが目的となる。過去の6カ国協議では中国が主導権を握った。だが、これからは北朝鮮との対話を通じ、北東アジアにおいて、中国との関係の上で優位を占めようとする意図があるのだろう。

――米朝会談は成功するでしょうか。

トランプ大統領の意志で、成功すると期待する。

これまで米朝会談はいくつかのステップがあった。「ジュネーブ合意」の際には、北朝鮮の核問題を解決することと、北朝鮮に軽水炉を提供し、北朝鮮との外交関係を樹立するという目的があった。2000年に北朝鮮の趙明禄(チョン・ミョンロク)国防委員会第1副委員長と米国のオルブライト国務長官の間で行なわれた合意は、「ジュネーブ合意」の確認とその履行の約束だった。その後、6カ国協議で結んだ「9・19共同声明」(05年)は、朝鮮半島の問題を解決していく決定的な合意の総論であった。

これまで米国と国連安保理は継続的に、北に対する制裁と圧力政策を進めてきたが、結果は、北朝鮮の核能力を増強させただけだ。トランプ大統領は、過去の米国政府とは異なる結果を得るためにも、対話と圧力の両面戦略で、金正恩委員長との対話を通じ最良の結果を得る努力をするだろう。

朝鮮半島非核化のために

――非核化の解決策では、北朝鮮と米国の立場が違います。米国は、03年にはリビアと、15年にはイランとの間で、核兵器廃棄に向けた「核合意」をした。リビア式解法とイラン式解法、また、ゴルディアス式解法で、北朝鮮の核関連問題を妥結する可能性はありますか。

リビア式解法やイラン式解法は、有用な方法だと思う。しかし、リビアと米国、イランと米国の関係と、北朝鮮と米国の関係では状況が根本的に違うと思う。リビアとイランは当時、米国にとって直接的な脅威ではなかった。だが、現在、北朝鮮のミサイル能力や核兵器の開発は、明らかに米国にとって脅威となっている。したがって、北朝鮮の核関連問題を解決するためには、イラン式、リビア式、ゴルディアス式解法ではない、第三の「北朝鮮式解決法」を追求することになるだろう。 では、北朝鮮式解決法とは何か。
北朝鮮の問題は、北東アジアの安全保障の問題、南北問題、そして米中関係が尖鋭的に?がっている。北朝鮮の核の解決策は、米朝関係の解決、南北関係の強化、米中間の適切な調整、そして日本と北朝鮮の関係正常化などが絡み合う複雑な方程式である。
結局、ここで最も大きな役割を担うのは、米国のトランプ大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)主席だろう。そのため両国間で北朝鮮問題について適切な合意がなされることが必要である。今回の南北首脳会談、米朝首脳会談後には、南北米首脳会談が必要ではないか。

また、ここでは、南北中首脳会談も必要に応じて開催しなければならないと考えている。さらに、米国と中国、そして南北が参加する4者首脳会談だ。金大中(キムデヂュン)大統領の時も、4者首脳会談について相当な力点を置き、4者(4カ国)の外交関係の強化が朝鮮半島問題を解決する糸口になると主張した。4者首脳会談が開かれた場合には、「10・4宣言」(07年)で明らかにしたように、関係国の首脳が朝鮮半島に集まり、朝鮮戦争の終結と平和体制構築への議を行なうものと考えている。

――それを第三の解決策と位置づけてもいいでしょうか。

私はそのように考えている。当時、金正日(キム・ジョンイル)国防委員長は「3者または4者会談の首脳が朝鮮半島に集まって終戦と平和体制について会談することを、盧武鉉大統領が主導的に米国と関係国を説得してきてくれたらいい」との意見を提示したことがある。私は今でもこれが有効であると考えており、文在寅大統領の役割が重要だ。

――それでは第三の解決策は、何と呼ぶべきでしょうか。

「北朝鮮式解法」または「韓半島(朝鮮半島)式解法」とすることはできないか。

――では、北朝鮮の核問題を解決するためにはどうすべきですか。

対北朝鮮制裁への最も強力な意志を持っているのは、やはり米国である。

まず、米国が態度を軟化させなければならない。北朝鮮の非核化への解決策は、米国と北朝鮮が会談を通じ、最終的に解決しなければならないと考えている。米朝間で解決の糸口が示されれば、そこに、中国、日本、ロシアなどの関連国が協力して、解決策を探っていけばいい。

――金正日国防委員長が言及した3者または4者首脳会談はどの国を想定したのでしょうか。

3者または4者首脳会談が誰であるかということは、議題ごとに異なると考えられる。韓国と北朝鮮に加え、第三の国は、米国にもなるし、中国にもなる。私は朝鮮半島の平和のためには日本もなれると考えている。
もちろん、ロシアも参加可能だ。南と北と米国、南北と中国、もしくは南北米中を想定することができるだろう。当時、金正日国防委員長がどの構想を考えていたのかを知ることはできなかったが、南北会談を中心に周辺国との議題に沿った2者または多国間協議を想定していたのではないかと思う。

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