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「日米首脳会談で直面した2つの大問題」 ―重要課題に目を背け政権批判を続ける野党に政治家としての資質を問う― - 屋山太郎

 トランプ・安倍首脳会談によって、日本は2つの大問題に直面した。1つは北朝鮮に中・短距離ミサイルまで廃棄させることができるか。2つは貿易政策をTPPのように多国間で運用すべきか、米国がいうように2国間協定でやるべきかである。

 このような大問題を抱える中で、国会では野党が審議拒否を行った。野党6党が求める4項とは①麻生太郎財務相の辞任 ②森友学園問題に関わった柳瀬唯夫元首相秘書官らの証人喚問 ③財務省による森友改竄文書の全部の即時公開 ④自衛隊の日報問題の真相解明―である。

 このうち麻生氏への辞任要求は、福田淳一財務事務次官のセクハラ問題を庇ったように見えたこと。福田次官が辞任したので根拠は失われたのだが、安倍政権を痛めつける思惑もあるだろう。

 ②の森友学園問題は大阪地検が事件全体を調査中だ。先の佐川宣寿氏の証人喚問でも、事件に関わるかも知れない点は何も解明されなかった。

 ③の決裁した文書を改竄したのは違法とされるが、佐川氏が省いた部分によって結論が変わってくるわけではない。また、加計問題を取り継いだと言われる柳瀬秘書官を呼び出して意味があるのか。獣医学部は昨年、正当な手続きで認可され、既に開校して、問題は完結している。

 ④の日報問題は軍機に属する問題なのか、行政文書として取り扱うべきなのか議論されていない。この分類の問題を棚に上げて、戦闘地域だったかどうかの議論をしても全く無意味だ。安全が確保された地域以外に行ってはいけないのなら、最初からイラクに行かない方がよい。

 冒頭に掲げたように日本はまさに国家的な大問題に直面している。このことに目を背けて、事務手続きの差違をめぐって国会を止めているのは何故なのか。

 4月17、18の両日、安倍首相はトランプ大統領のフロリダ州パームビーチの別荘に招かれて首脳会談をした。会談はトランプ氏の希望でゴルフ付きで行われた。訪米の許可を与えるに当たって立憲民主党の福山哲郎氏が「親密な関係なら会議室でもできる。何故ゴルフなのか理解しかねる」と述べた。この後の記者会見でも「会議室の中でお茶を飲みながらでも真剣な議論はできると思う。ゴルフはさすがにこの状況では国民の理解は得られないのではないか」と述べた。

 国会で無理筋を押している問題と国家の安全問題を同格に見る政治家がどこの国に居るのか。福山氏は75年に帰化する前の姓名を「陳哲郎」と明らかにしている。私は帰化した人を数多く知っているが、皆、日本を愛している。しかし福山氏は北朝鮮問題を前に小野寺五典防衛相の米国行きを承諾しなかった。福山氏は外交の重要さを理解できない。政治家の資質に欠けている。

(平成30年4月25日付静岡新聞『論壇』より転載)
屋山 太郎(ややま たろう)
1932(昭和7)年、福岡県生れ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、ローマ特派員、官邸クラブキャップ、ジュネーブ特派員、解説委員兼編集委員を歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社し、現在政治評論家。「教科書改善の会」(改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会)代表世話人。

著書に『安倍外交で日本は強くなる』『安倍晋三興国論』(海竜社)、『私の喧嘩作法』(新潮社)、『官僚亡国論』(新潮社)、『なぜ中韓になめられるのか』(扶桑社)、『立ち直れるか日本の政治』(海竜社)、『JAL再生の嘘』・『日本人としてこれだけは学んでおきたい政治の授業』(PHP研究所)など多数。

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