記事

深海底レアアースはペイしない

1/2
画像を見る

トップ画像:レアアース元素 出典 photo by Terence Wright

文谷数重(軍事専門誌ライター)

【まとめ】

・深海底レアアースの採掘は難しい。だからコストも極めて高い。

・採掘に成功すればレアアース価格は暴落しペイしない。

・日本はエネルギー・鉱業資源の確保に不安感を抱いているが、経済性の議論はない。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapanIn-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=39520でお読み下さい。】

深海底レアアースはうまくいかない。採掘は難しい。だからコストも極めて高い。そして成功すればレアアース価格は暴落する。そのためペイしない

深海底レアアース採掘が再びニュースとなっている。これは政府開発計画が提示された結果だ。6日付の日刊工業新聞電子版内閣府、深海域調査技術の開発計画 22年度までに100億円超計上」が報道された後、各メディアはあたかも資源開発が始まるかのような記事を配信している。

画像を見る
▲写真 レアアース堆積物(いわゆるレアアース泥) 水深約6,000mの海底下に粘土状の堆積物に含まれて広く分布(南鳥島周辺海域)。 出典 経済産業省 資源エネルギー庁鉱物資源課(平成25年11月)

だが、これは技術開発と商業採掘を混同したものだ。政府で予算化が考慮されているのはあくまでも技術開発である。しかも海底表層部の泥を海面まで回収できるかどうかを見極めるものだ。商業採掘として安価かつ大量の底質を継続的に収集する技術の開発ではない。

では、深海底レアアースの商業採掘は可能なのだろうか?

経済的には意味はない。そこに落ち着く。以下その理由を述べる。

画像を見る
▲図 レアアースの主な用途(経済産業省

■ 成功すれば価格は暴落する

深海底レアアース開発は意味はない。

なぜならレアアース価格の暴落を招くことだ。

深海底採掘はレアアースを対象としている。レアアースは極めて高価であり、同じように高コストとなる深海開発でも目論見が立つためだ。一番高いテルビウムはキログラムあたり7万円である。大雑把に言えば100億かけても14.5トン取れれば元は取れる。そういった計算である。

だが、テルビウムを14.5トンも採掘すれば相場は暴落する。世界の年間需要は酸化物ベースで130トン、単体に換算すれば100トン程度だからだ。ちなみに需要量が倍のユーロピウムの値段は1kgで2万円しない。なおレアアースはネオジミウムは5000円程度である、ランタニウムは1000円もしない。

一度は商業化しても価格暴落で採算が合わなくなる。そのような構造なのである。

あわせて読みたい

「レアアース」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    15日で変異 コロナの性質に驚愕

    大隅典子

  2. 2

    春節が日本での感染爆発防いだか

    岩田健太郎

  3. 3

    米医の「コロナ99%予防」に感心

    原田義昭

  4. 4

    外出禁止 日本人の消えたハワイ

    荒川れん子

  5. 5

    エコバッグ禁止令 全米に拡大か

    後藤文俊

  6. 6

    朝日は布マスク記事を撤回せよ

    青山まさゆき

  7. 7

    迅速な現金給付を阻む野党に疑問

    宮崎謙介

  8. 8

    現金給付 収入減の証明は難しい

    大串博志

  9. 9

    志村さん 最後の収録と夜遊び姿

    NEWSポストセブン

  10. 10

    世界の一歩先を行くマスク配布策

    青山まさゆき

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。