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福島産農産物調査 なお続く風評、払拭へ総力を

風評被害の根深さが改めて浮き彫りになった格好だ。分析を急ぎ、新たな手だてを講じていく必要がある。

東京電力福島第1原発事故から8年目。福島県産農産物の取引価格は依然として低く、取扱量も原発事故前の水準に戻っていないことが、農林水産省が初めて実施した流通実態調査で分かった。

調査は米や青果物など5分類20品目について、全国の生産・販売・流通の各事業者と消費者を対象に行われた。

まず全体として浮かび上がったのは、福島県産食品に対する“負のイメージ”が依然、色濃く残っている現実だ。

消費者アンケートでは「安全性に不安がある」との回答が2割近くに上り、小売業者への聞き取りでも「産地を気にする消費者は少なくない」との声が数多く寄せられた。

さらに首都圏の仲卸業者の3割が、事故前より福島県産の取り扱いを減少させていることも判明。その理由(複数回答)として、「販売先が別産地を指定している」(43%)、「販売先が福島産以外を希望すると想定される」(39%)などを挙げている。

もとより、出荷されている福島県産食品の安全性は県の放射性物質検査で明らかだ。にもかかわらず不安が語られるのは「風評以外の何ものでもない」(県環境保全農業課)。国は県や農業団体などと連携し、正しい情報の発信とイメージ戦略の強化に一層努めなければならない。

一方で調査は、風評対策以外にも、流通ルートの見直しなど販売戦略の再検討が必要なことも浮かび上がらせた。

例えば特産の桃。取引価格は全国平均を23.3%下回るが、インターネットを活用した通信販売などで新規顧客の開拓に成功した事例なども報告されている。

福島農業の柱である米についても、小売店での取扱量は依然低調なものの、弁当など中食・外食面での需要は高まっていることが分かった。

農水省は、こうした“復活の兆し“にも敏感に対応し、新たな販路の開拓など流通分野に重点を置いた対策の強化にも取り組む必要がある。経済産業省など関係省庁とも協力し、調査結果を生かした「福島の農再生戦略」を早期に打ち出すよう求めたい。

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