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郵政民営化についての議論はどうなってしまったのか

 要すれば、郵便事業のユニバーサルサービス維持のコストとして、関連銀行(ゆうちょ銀行等)、関連保険会社(かんぽ生命等)に拠出金を納付させること、等を目的とした法的な仕組みを作るということです。

 自分自身としてはユニバーサルサービス、郵便局ネットワークの維持には何の不満もありませんし、もちろんそれは重要なことと認識しています。しかし、親子上場して民間株主がいる日本郵政とゆうちょ銀行、かんぽ生命が、その親子間で費用の納付を上納する仕組みを国(政府であっても国会であっても)が法律で定めるというのは仕組みとして如何なものかということで、反対の意見を述べさせていただいたところです。

 そもそも、親会社と子会社が共に上場するケースは日本以外ではあまり見られません。それは資本関係が垂直的であるにもかかわらず双方が上場されているという状況が、企業側にはメリットが多かったとしても、ガバナンス的に問題があると認識されているからです。

 特に今回のケースのように、子会社が親会社によってその利益を移転させられるようなケースは極めて大きな問題をはらんでおり、本来であれば日本の金融市場の世界からの信認を考えれば、政府として慎重な対応を求めるべき案件です。

それを与党が主導して法律でやるとなれば、日本は資本主義経済の笑い者になり、日本への投資には大きな政治リスクがあるという評価になりかねません。投資家保護の観点からも大きな問題です。

 ただし、三社の株式公開が行われた以前の公開情報でそのリスクが予見できるのであれば当然問題はないわけですが、そこが一体どうなっているのか。

 実は平成24年の改正郵政民営化法の中でこんな記述があります。

第七条 第一項 第二号 日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式は、その全額を処分することを目指し、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の経営状況、次条に規定する責務の履行への影響(筆者注:ユニバーサルサービスの維持等を指す)等を勘案しつつ、できる限り早期に、処分するものとする。

参議院における附帯決議

二.金融二社の株式について、その全部を処分することを目指し、金融二社の経営状況、ユニバーサルサービスの確保に係る責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分するものとするとの規定に基づき、日本郵政株式会社がその処分に向けた具体的な説明責任を果たすこととなるよう努めること。(略)

 この改正法は、改めて整理すると、元の郵政民営化の完全民営化に不可欠であったゆうちょ銀行、かんぽ生命の金融二社の完全民営化の期限が平成29年9月30日であったものを、ユニバーサルサービス維持への懸念があるとの当時の与党(国民新党や民主党(いずれも当時))の意向を受け、上記第七条第一項第二号のように改正するとの法案で、自民党・公明党も賛成する形で成立したものです。

 法律は当然公開情報ですから、今回の法改正が、ここに書かれていた郵政の金融二社の完全民営化への障害であったユニバーサルサービス維持への財政的懸念を解消するための手段ということであれば、まだ市場参加者への説明のつじつまも確保できます。しかし、だとすれば、当然完全民営化の時期がいつなのか、今回の法案によって障害がかなり解消する以上は、我々自民党には説明責任があるはずです。

 この点を明確にしてほしいと、私の方からは発言させていただきました。

 残念ながら明確な回答は得られなかったので、さらに最後に私の方からは、「5回前の選挙で我々自民党の全議員が郵政民営化を訴えて当選してきた。そしてそれぞれの立場で悩んで決断を下したはずだ。国民は政党や政治家の発言・信念がぶれていないかどうかをよく見ている。だからこそ、我々はこのような仕組みを作るのであればそのタイミングで、あの時公約していた郵政の完全民営化がどうなっているのか、どうすべきなのか、国民の皆さんに明確に示す必要がある。それが責任政党自民党の責任ではないか」との趣旨の二度目の発言を党の会議では異例ながらさせていただいたところです。

 この問題を明確にしなければ、ゆうちょ銀行の預入限度額の問題も含め、様々な問題が歪みを持ったまま議論されることになりかねません。

 引き続き、この問題、完全な少数派ではありますが、しっかりと注視してまいりたいと思います。

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