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命とお金の話 (4) 具体例「抗がん剤治療」

前回は胃ろうによる延命医療をテーマにしましたが、今回は抗がん剤治療の今後を考えます。

続けて読んでくださっている方はわかると思いますが、医療費が削減された場合の話になります。

というのも、抗がん剤による化学療法という分野も、大きく変化する可能性のあると僕は思うからです。

この分野に関しても、前回同様、
医療保険の適応範囲が限定されることになるのではないか?と思うのです。

これがどういうことか?ということになりますが、今の日本では抗がん剤の適応に関して、やはりこれも具体的な決まりはありません。

つまり、治療効果が望める化学療法であろうと、治療効果が乏しいと思われる化学療法であろうと、患者の希望がある、もしくは医師の推奨があれば行われうるということです。

通常、どんな化学療法であっても、初回は効くものが多いです。

もっとも効く抗がん剤を最初に用いる、というような傾向がありますから、これは当然のこととも言えますし、あとはがん細胞の抗がん剤耐性の問題もあります。

化学療法を繰り返すうちにがん細胞が耐性を獲得していくのです。

こういった効果の見込める初回の化学療法や、がんの中でも白血病などのように化学療法で治癒の望めるものなど、要は「明らかに効果がある」と期待される化学療法に関しては、これまでどおり、変わらずに医療保険による治療が行われると思います。

しかし、たとえば再発後のセカンドライン、サードラインの化学療法など、効果の乏しいとされる化学療法に関しては保険の適応がなくなる可能性があります。

ご存知のように抗がん剤というのは非常に高額なものが多いので、高額な費用を要するにもかかわらず、奏功率が低い、というようなものに関しては、「やりたければ自費でどうぞ」となる可能性があるのです。

これまでの日本では、少しでも効く可能性のある抗がん剤に、わらにでもすがる思いで希望をかける、という光景が珍しくありませんでした。

たとえば、奏功率10パーセント程度しかない高価な抗がん剤といえども、惜しげなく使われている、ということが多かったのです。

抗がん剤の中には最新の物では一瓶数十万するような物もありますが、こういった薬をいくら使っても、今の日本では保険が利くため、3割負担です。

更に、月に10万を超える分に関しては1%になるといった制度もあります。

しかし、いつの日か、奏功率などで保険適用が制限されたらどうなるでしょうか?

たとえば「奏効率50%以上」がボーダーにでもなったりしたら。

そうすると、「少ない可能性にかける」「わらをも掴む」といったような抗がん剤の使い方はできないようになります。

保険が適応されないのであれば、自費で高価な抗がん剤治療をできるような人はほとんどいないでしょう。

とはいえ、これも決して悪いことばかりではないのではないか?と思います。

というものも、実際に奏功率の低い抗がん剤治療を行っても、メリットがあるとは思えないようなことも多いからなんです。

抗がん剤治療を受けるには、場合によっては入院が必要であったり、嘔気やけだるさなどの副作用による症状を覚悟しなければいけません。

そうすると、大して効きもしないのに、かえって患者さんの自由な時間ばかりを奪ってしまっている、ということも少なくないのです。

数パーセントでも可能性があるのなら、、、と思って、治療を希望する患者さんが多いのですが、結果としてマイナスになってしまう場合が多く、たとえ一時的に効いたとしても、結局治癒には繋がらないということがほとんどです。

もしも、化学療法が制限されるようになれば、こういった「勝算の薄い化学療法」を選択する患者は少なくなるのではないか?と思います。

そうすると、この制限も必ずしも国民にとってはマイナスにはならないのかもしれません。

反面、削減される医療費はかなり大きなものとなるでしょう。

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