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爆笑問題・太田光が元SMAPの3人を映画に 垣間見える北野武監督作品との符合

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BLOGOS編集部

爆笑問題・太田光が元SMAPの3人を映画に撮った

元SMAPの3人、稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾が出演する映画「クソ野郎と美しき世界」が4月6日に公開。初日を鑑賞した。三人各々が主役の短編と各エピソードが集約されるエピローグという構成のオムニバス作品である。

映画全編に通底するコンセプトは「別離した大切な何かとの再会」か。SMAP解体を経た三人の現在の心象を、物語というフィルターを通してファンへ伝えたいというものだった。

とくには彼らのファンというわけではない自分の目当ては、太田光監督だった。太田が商業映画で監督を務めるのは、1991年「バカヤロー!4YOU!お前のことだよ/第1話 泊まったら最後」以来となる。当時の太田は20代半ば。脚本&プロデュースは森田芳光。主演は春風亭小朝。ストーリーは、奥まったペンションの理不尽なオーナー(小朝)により宿泊客の若者がさんざんな目に遭遇するというもの。短編4本から成るオムニバスの1本だった。

そして今回「クソ野郎と美しき世界」もまた、全体で短編4本から成る内の1本を太田が監督・脚本で担った。タイトルは「光へ、航(わた)る」。公式サイトで公表済みのテキストから内容を引けば、「失った息子の右腕を探す旅を続ける夫婦。2人が沖縄の海で出会ったのは・・・?」という話だ。

結論から言えばこの作品が「当たり」だった。

(公開中につき、ネタバレは極力避けるが)正直に粗さを感じるカットも少し目についたのは確かだが、それはそれとして、太田光ならではの時事ネタを背景にした幾つかの会話を主役の草彅剛と尾野真千子が重石をつけて我が台詞に昇華していたことに感心したし、緊張感を孕んだ磁力を有する幾つかのカットが目を惹きつけたし、「右手」「小指」「硬式球」というタテ糸が適所で仕掛け糸の役割を果たす脚本がきっちり機能していたし、シリアスとナンセンスを連ねて成立させる際の演出に繊細な抑制手腕を感じたし、他の監督には内緒だがこの作品だけ使用しているカメラが実は桁違いでハイクオリティなものだった・・・と太田が「爆笑問題カーボーイ」(TBSラジオ)で明かしたトークの真偽定かではないが、オムニバスの中でこの作品だけ映像の密度と深度が見違えて見えてしまったりもした。

主演の草彅剛は、どうしてかというほど身体が空虚で、その消身した容れ物にひとたらしの雫のように役柄を身に纏っていて、表面は薄く濡れているがその内側は影に覆われた空洞を感じさせ、そうして振る舞うクズなアウトサイダー役は強い磁力でスクリーンを統べていた。

尾野真千子は草彅と相対する熱量を担っていた。クライマックスの「右手」のシーンは、真正面から撮りきられていて清々しく、この数秒に今作の太田組の力が象徴されているように見えた。

という、太田光監督の「光へ、航る」だが、隅々に太田の匂いを漂わせており、それを深々と吸い込みつつも、観終えて同じ感触を抱いた誰かがそれなりにいるだろうと感じたことがある。それは幾つかの場面によぎる北野武監督作品との符合だ。モノトーンのジャケットに身を包んだ草彅が見せる脅しの場面、容赦の無い暴力は「その男、凶暴につき」を、背景が沖縄の砂浜へと移った際は「ソナチネ」を、キャッチボールは・・・etc。

だがそれは、太田作品を北野映画の型枠に押し込める話ではない。監督の力量が伴わなければ、符合も陳腐なトレースに流される。太田監督はむしろキタノとの符合を意識しながら映画を推し進めていたのではないか。

そしてもう一つ、観終えて同じ希望を抱いた誰かがそれなりにいるだろうと感じたのは、「次を観たい、今度は長編で」という思いだ。作品を重ねるその先に、「オオタ」がさらにまごうことなき「オオタ」になる作品を観てみたい。

それはまるで、たけし(ツービート)に衝撃を受けて憧れてかぶれた80年代の無数の若者達の中から太田光(爆笑問題)が現れ、あの笑いの(漫才の)スタイルに感化された第一歩から、歩を止めることなく未踏峰を登り続け、彼(彼ら)だけの登頂旗を立てた今があるように。

近くても遠くてもいい、太田がいずれ長編を撮った際は、それを題材に、たけしと太田(と水道橋博士)で放談する姿を見てみたい。そう願うのは、昨年秋に実現した三者による下記のような「!!!」という時間にまた出逢えたらと、勝手に妄想しているせいだ。

それは、北野映画「アウトレイジ 最終章」のプロモーションを兼ねて、たけしが10月2日(月)~6(金)までの5日間、テレ東の午前7時半から8時までの30分枠に生放送で出演した(うち水曜は欠勤)特番の4日目のことだ。

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