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伊調馨のパワハラ問題で往生際の悪い面々

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五輪4連覇を達成、国民栄誉賞を受賞した女子レスリングの伊調馨(33)らに対するパワハラ問題。キッカケは日本レスリング協会で強化本部長を務めていた栄和人氏(57)から「パワハラを受けた」と、同協会の所管である内閣府に告発状が送られたことだった。

日本レスリング協会の面目丸つぶれ

この問題を巡って当初、協会側は福田富昭会長が「パワハラはなかった」と断言。さらに栄氏が所属し、レスリング部の監督を務めきた至学館大学(愛知県大府市)の学長であると同時に、協会の副会長も務める谷岡郁子氏に至っては「(栄氏は)パワーのない人間」と断じた上で「パワーのない人間によるパワハラというのは、一体どういうものなのか、私には分かりません」「そもそも、伊調馨さんは選手なんですか?」などと憮然とした表情で言い放っていた。

ところが、この問題のために同協会が設置した第三者委員会が「パワハラがあった」と認定したことから、さすがに面目丸潰れとなった。

第三者委員会は3人の弁護士によって、2008年8月から18年3月8日までの10年間について、伊調ら19人からの聞き取り調査を行った。その結果、4件のパワハラがあったことを認めたのだ。

そのうち2件は伊調が栄氏から離れた10年に直接受けたものだったという。それは、女子合宿中に伊調を部屋に呼び「よく俺の前でレスリングができるな」という発言をしたことと、その後の代表選手選考で11月の「アジア大会」に選出しなかったことを挙げた。

また、内閣府に提出された「告発状」に関しては、以前にも、この欄に記したが、伊調の従兄弟とされる人物の関与が問題視されていた。

だが、実際には栄氏に代わって伊調がコーチを務めてきたレスリングの元男子日本代表コーチの田南部力氏や安達巧氏も作成に関わっていたことが明らかになったこともあって、今回のパワハラ問題で第三者委員会は、栄氏が「田南部氏に伊調のコーチをやめさせようとした」ことや「男女合同合宿で田南部氏の外出だけを叱責した」ことも認定した。

その一方で、(栄氏が裏から手を回して)警視庁の練習場への出入りを禁じたことなどは除外し、やや曖昧にした感じだったが、どっちにしろ、いくつものグレーな部分があったことは否めない。

アスリートにとって、五輪を目指すのは(もちろん五輪だけではないだろうが…)、それこそ人生を賭けた〝勝負〟であり〝目標〟だろう。それだけに、常にフェアであることが望まれる。が、現実は「嫉妬」と「妬み」が渦巻いていることも確かだろう。

馳元大臣がパワハラ体質を知らなかったはずはない

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今回の第三者委員会の調査結果に馳浩元文科相は「顔面蒼白になったようにショックだった」なんて言っているが、五輪代表(84年=ロス五輪)の経験もある元プロレスラーなんだから、そういった現実は十分に認識していたはず。それとも、第三者委員会が、そんな報告を出すとは思っていなかったのか?どっちにしても〝ヤンキー先生〟(義家弘介文科副大臣)といい、国会議員になると人格が変わってしまうのはどうしてなんだろう…。

今回の調査結果に伊調は「日本レスリング協会がアスリート・ファーストの確立に尽力されること信じており、私なりに努力してまいります」とする一方で、内閣府の調査結果も待つ意向を示したが、伊調のコメントを見ただけでも何か、この問題の根の深さが透けて見えてくるようだった。

そもそも、この問題の根底には、至学館大学の谷岡学長が日本レスリング協会という公益団体の副会長で、さらに、その協会の強化本部長を同大のレスリング部監督が兼ねてきたということがアンフェアであり、現実にも一極集中になっていた。

確かに、至学館大学は過去にも有能な選手を多く輩出してきた。しかしそれは、ある意味で当然だろう。「実際に、内閣府の調査内容の中には(栄氏が)強化選手のための費用を搾取、横領していたかどうかも含まれている」ことからも分かる。とにかく、ここまで組織の中で立場が強大になれば、福田会長だって選手より栄氏を庇ってしまったり、谷岡学長が伊調に対して暴言を吐くのも当然といえば当然だったのかもしれない。

今回のことで栄氏は「自分の不徳の致すところ」として強化本部長を辞任、さらに日本代表の指導からも退くことを明らかにした。であったら、道義的に福田会長はもちろん、谷岡学長についても協会副会長を辞任すべきだろう。実に往生際が悪いと言うしかない。

それにしても、日本相撲協会にしても、ここ最近になって発覚し続ける財務相や厚生省、文部科学省など各省庁の呆れた問題も含め思うのは、やはり内部の人間だけで組織を固めると腐敗していくということである。結局、そういった問題を解決してきたためには外部の――第三者の目を取り入れ、膿を出していかなければ、いつまで経っても同じことの繰り返しになる。

ま、そういった部分で考えるなら、日本レスリング協会の今回の問題は、長い目でみるならば救われた部分があったとのかもしれない。

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