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震度6強で倒壊も 名指しされた渋谷109、紀伊國屋書店の困惑

多くの人が訪れる渋谷の109も「危険」とされた

【多くの人が訪れる渋谷の109も「危険」とされた】

「首都直下型地震の被害は、従来考えられてきたよりもはるかに過酷な状況になることを覚悟しなければなりません」──そう語るのは、防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏である。

 3月29日に突如、東京都が「耐震診断結果」を発表した。この措置は、1981年5月以前の「旧耐震基準」で建てられた大規模施設などの所有者に耐震診断の受診、都道府県には診断結果の公表を義務づけた「改正耐震改修促進法」(2013年施行)に基づくものだ。

「震度6強で倒壊の危険性」を指摘された建物には、渋谷のシンボルともいえる「SHIBUYA109(道玄坂共同ビル)」や、サラリーマンの聖地と呼ばれる「ニュー新橋ビル」など古くから親しまれ、多くの人が訪れる商業ビルも含まれている。渡辺氏が続ける。

「東京都は、公表対象の852棟のうち、251棟の建物を“倒壊の危険性あり”と指摘しています。首都直下型地震のイメージは、東日本大震災ではなく、阪神・淡路大震災型です。

 当時、神戸では多くの建物が倒壊しましたが、東京は神戸より大規模な建物が多く密集している。崩壊した建物が道路を塞ぎ、大規模な交通マヒを引き起こす懸念がある。そうなれば、救急車はもとより、災害復旧まで阻害されることになってしまいます」

◆あの歴史的建造物も

 公表対象となったのは、病院やデパート、学校などの「要緊急安全確認大規模建築物」と「特定緊急輸送道路沿道建築物」(幹線道路沿いの高層建築物など)の2つのカテゴリーからなり、倒壊の危険性が3段階で示されている。

 その中で「最も危険(I)」とされた建物の一つが渋谷の109。建物を所有する道玄坂共同ビルの担当者はこう話す。

「耐震改修の基本設計はすでに済ませており、来年度中には改修工事に着手する予定です。ただ、10数人のオーナーさんが共同で所有する建物なので、改修計画についてもオーナーさんの間で見解の相違があります。もうすこし時間がかかってしまうかもしれません」

 紀伊國屋書店の新宿本店が入居する紀伊國屋ビルディングもそのひとつだ。世界的に著名なフランス人建築家のル・コルビュジェに師事し、近代建築を確立した一人といわれる前川國男氏の設計で、1964年に竣工。以来、半世紀以上にわたって、新宿のランドマークとして親しまれてきた。紀伊國屋書店に聞いた。

「昨年、東京都から〈歴史的建造物〉に選定してもらったところにこの発表だったので、戸惑っている面もあります。

 弊社は法令に基づいて都に耐震診断を提出しており、その当時から建物内部の耐震性を高める補強工事の検討を続けています。また、建物内の避難経路は常に確保されていますし、お客さまを誘導するための訓練も定期的に実施しています」(総務部)

※週刊ポスト2018年4月20日号

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