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今、日本の家電メーカーに一番必要なもの

今週はラスベガスでCESが開かれているが、CESの時期になるとトラフィックが増えるエントリーが二つある。

どちらも2010年のCESに参加した後に感じたことを率直に書いただけだが、その状況は2012年になってもあまり変わりがないようである。

日本の家電メーカーや携帯電話メーカーの本質的な問題がどこにあるかを理解したければ、Simon Sinek の "How great leaders inspire action" というビデオを見るのが一番良い。アップルにあって、日本のメーカーに欠けているのは、作り手と消費者の間の「目的意識の共有」である。

戦後の高度成長経済には、「家電三種の神器」と呼ばれたテレビ・冷蔵庫・洗濯機に代表される「もの」を持つことにより生活を向上させることが人々の夢だったために、その手の「もの」を人々が購入できる価格で提供することそのものが家電メーカーの存在目的であった。そのころの日本人は、誰もが「先進国なみの生活を手に入れる」という目的意識を共有していたのである。

90年代には、デジタルカメラ・DVDレコーダー・薄型大型テレビが「新・三種の神器」として同じような役割を果たして来た。その意味では、パソコンも携帯電話のビジネスもほぼ同じような形で立ち上がったと言える。

しかし、2012年の今、状況は少し違って来ている。表向きはスマートフォンやタブレットや超薄型ノートブックが同じような役目を果たしているようにも見えるが、「もの」と「情報」があふれる今、消費者は単に「ものを手に入れる」以上の理由を必要としているのだ。

どのメーカーもが、同じようなスペックのデバイスを同じような値段で売ることが出来るようになり、単なる「何メガピクセルのカメラを搭載しているか」とか、「CPUのクロック数がいくつだ」などのカタログスペックだけでは勝負できない時代に突入しつつあるのだ。

2012年の消費者の心を動かすには、カタログスペック以上の「何か」が必要である。そして、その「何か」とは、「それを作っている企業が何のために存在するか」「そのデバイスは何を目的に作られたのか」という企業の存在目的であり、デバイスに込められた魂なのである。

多くの人々がアップルの製品を発売日に行列してまで手に入れたがるのは、アップルのデバイスに「込められた魂」に共感しているからである。そこを理解せずに、「うちも家電メーカーとしてタブレットぐらい作らなければならないから」とスペック重視のもの作りをしていても、誰も見向きもしない。

今、日本の家電メーカーに一番必要なものは、「どんなライフスタイルを人々に提供したいか」というビジョンとパッション(=熱い思い)だと思う。どのOSを使うのかとか、何メガピクセルのカメラを搭載するとかは、何らかの目的を達成するための「道具」に過ぎない。そして、売り上げとか利益とかマーケットシェアは「結果」にしか過ぎない。

「はっきりとした目的意識を持った、魂のこもったもの作り」が必要とされているのだ。

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