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焦点:需給改善継続でも鈍いインフレ期待、シナリオ再点検へ

[東京 4日 ロイター] - 日銀が4日発表した昨年10─12月期の需給ギャップは、1.50%と需要超過幅が拡大した。内外景気の回復持続や人手不足の強まりなどを背景に、日本経済の需給改善を示す結果と言える。

ただ、日銀が掲げる物価2%目標の実現に不可欠なインフレ期待の高まりは現段階でうかがえず、4月の金融政策決定会合で議論する新たな「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」に向け、シナリオの再点検が必要になりそうだ。

需給ギャップは日本経済の潜在的な供給力と実際の需要の差を示す指標。日銀の試算によると、昨年10─12月期は1.50%と2007年10─12月期(プラス1.79%)以来の需要超過水準となった。5四半期連続のプラスで、日本経済の需給は着実に引き締まっている。

日銀では、2%の物価安定目標の実現には、需給ギャップの改善によって実際の物価が上昇し、それが企業や家計のインフレ期待や賃金に波及して、さらに物価上昇圧力が強まるメカニズムを想定している。

実際、需給ギャップの改善とともに消費者物価(生鮮食品を除く、コアCPI)は徐々に上昇率を高め、2月には5合目となる前年比1%にようやく到達。日銀が物価の基調として重視しているエネルギーを除いたベースも、同0.5%上昇にプラス幅が拡大している。

それでも、目標の2%には「かなり距離がある」(黒田東彦総裁)のが実情だ。今後のエネルギー価格の押し上げ要因のはく落や、今年に入ってからの円高傾向などを踏まえ、市場ではさらなる物価上昇に懐疑的な見方が多い。

2%に向けて物価が上昇圧力を強めるには、インフレ期待の高まりが不可欠といえる。だが、需給改善を背景に実際の物価が上昇しているにもかかわらず、その動きは鈍い。

日銀が3日に発表した3月調査の日銀短観における「 企業の物価見通し」では、企業が想定する消費者物価(CPI)は、平均で1年後が前年比0.8%上昇。3年後と5年後が同1.1%上昇となり、前回の12月調査から横ばいにとどまった。

日銀は1月に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、インフレ期待の判断をそれまでの「弱含みの局面」から「横ばい圏内」に引き上げたが、現段階で加速感はうかがえない状況だ。

3月短観でも明らかになったように、需給ギャップ自体は今後も改善基調が続くとみられ、今年の春闘における賃上げも前年を上回る実績が相次いでいる。

他方、短観では原材料価格の高騰などコスト上昇に加え、人手や設備の不足感の強まりという供給制約に企業が直面している現状も浮き彫りになった。ただ、ここから価格転嫁できるかは、人々のインフレ期待の高まり次第といえる。

4月26、27日の金融政策決定会合では、見通し期間を2020年度まで延長した展望リポートを巡る議論が日銀内で交わされる見通し。

そこでは、ひっ迫する需給と鈍いインフレ期待の関係をどのように分析して、新たなシナリオを提示するのか注目される。

*見出しを修正して再送します。

(伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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