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シリア情勢(個人的印象)

シリアの情勢については、本10日アサド大統領の重要演説があるとのことですが、現在までのシリア情勢についての個人的な印象をとりまとめてみると、次のようなところでしょうか?
全くの印象論ですが、ぜひ厳しいご批判をいただければと思います。

1、シリア政府は、反対派は武装テロリスト集団だとしているが、この主張はこれまでの経緯に鑑みれば、事実に反すると思われる。
2、事実関係とすれば、そもそも昨年当初頃までだったかと思うが、ダマスカスやその他の都市で、抗議運動が細々と行われ(大体数百名規模か?)、その都度治安警察に手荒に追い払われていたが、アラブの春の影響もあってか、参加者が序に増えて行き、それに対する治安当局の手荒な取り締まりで、特に死者が出た場合に、その葬儀が契機となり更にデモ参加者が増えると言う循環を見せだした。特に南部の町ダラアで、児童を含む多数が殺害されてから、抗議運動は全国的に広がりを見せて行った。
3、この間、抗議運動の方から、テロ活動は勿論のこと、武力による抵抗も見られなかったが、一部兵士が政府軍から離脱して、武力をもって抵抗し始めたのはかなりたってからである。
4、自爆テロと言う形は、ダマスカスでの情報本部に対するものとバス停でのもの以前には、見られなかった。両事件を含めてテロリストの逮捕または殺害で、身元、組織の判明した例と言うのは聞かない。
5、テロがシリア政府の主張するように、何らかの組織に属するものとすれば、反政府派には、そもそも国内派(調整機関)と国外派(国民評議会)等種々の組織がある他、自由シリア軍があり(これが総ての離脱兵士を組織しているか否かも不明)、更にテロ組織があると言う形で、統一された反対運動と言うのは存在しない様に見られる。
国民評議会と自由シリア軍は共にトルコに拠点を有しているのが、どれだけ緊密に協力しているのか不明である。自由シリア軍の兵力も12000とか40000とかの数字を聞くも、正直なところ信頼できる数字はない。
6、シリア政府の主張するように、反政府派がテロリスト・グループであれば、むしろアサド政権にとっては幸運である。と言うのはこれまでテロリストが政権を奪ったという例はほとんどない。PLOも政治闘争に転換したし、アルカイダがどこかの政権を取れる可能性などない。ヒズボッラーだって、とうのシリアとイランの支持が無ければ現在の勢力は維持できない
敢えて言えば、昔のキプロスのEOKA(だったと思うが)と南アフリカのANC位のものだがどちらもしっかりした組織をもった政治団体でもあり、単なるテロ組織ではなかった。
7、現地の情勢は、基本的には現在でも武力の点で政府軍、治安機関が圧倒的に強いように思われるが、他方反政府活動を根絶するだけの力はなさそうである。また時間がたつにつれて逃亡兵士も増え、力のバランスは少しずつ対等の方向に向かっていく可能性もある。
もう一つの反対派の弱点は、統一できないことで、統一した力を発揮することができないでいる。
8、更に、これまでも既に宗派的対立の様相を見せ始めているが、更に事態が深刻となれば、その様相は更に強まると思われる。これはアサド政権の性格(アラウィ派中心)及びシリアの宗派構造からすれば、半ば必然とも言うべきものかもしれない。
9、アラブ諸国の反応も、カタールや湾岸と他の諸国との間で温度の差があるようであるが、近い将来リビアの場合のように安保理に持ち込む様な動きを示すことはなさそうである。また、アラブ連盟の監視団も、人数、行動の自由等基本的にシリア政府に規制されていて、今すぐ実行的な組織となることを期待するのは難しいと思われる。
10、国際社会(などと言うものはないので、敢えて言えば欧米のことだが)も安保理が中ロの強硬な立場で動けず、単独で武力行使に踏み切るほどのインセンティブも熱意もないので、当面口先での非難と経済制裁位しかできない(やらない)ものと思われる。
11、と言うことで、誠に遺憾ながら、当面の間、連日2けT台の死者を出しながら、政権と反対派の力比べが続く、という状況が続くのではないだろうか?どちらかが先に音をあげる可能性はあるが、どちらがupper hand を得ても、いわゆる平和的解決とは程遠く、流血と不安定が相当長期間続くのではないか?
12、最悪のシナリオは本格的内戦であるが、最善のシナリオは解らない。政権内部に反政府派に大きく譲歩して妥協をしたいと考える有力な分子、グループがいれば、平和的解決は可能であろうが、そのようなグループが存在するのかも全く不明である(と言うことは期待しない方が良い)

以上、取りあえず思いつくままを書いてみましたが、どうにも悲観的過ぎるような気がします。誰かもう少し明るい見通しをしてくれる人はいませんか?

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